ぐんだいタウン 最新号 バックナンバー

Ⅱ-76号 2017.11.17 発行

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群大ノ未来ツクル
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2017年度中央執行委員会

2017年度中央執行委員会(左から4番目が豊泉委員長)

委員長ごあいさつ

組合の真価問われるとき

力を合わせて労働・研究環境を守ろう

豊泉周治(委員長/教育学部)

引き続き,今年度も委員長を務めます。教育学部社会科教育講座の豊泉周治です。専門は社会学。どうぞよろしくお願いします。

この1年間,大学とさまざまな問題について交渉を行ってきて強く感じるのは,大学側の著しい余裕のなさです。平塚学長の再任にあたって組合が申し入れた所信表明ための演説会の開催については,文科省の発令がない段階ではできないと断られました。人事院勧告水準のささやかな給与改善を他のほとんどの国立大学と同様に4月に遡って実施するように求め,そのための追加費用はわずか2000万円で済むことを示したにもかかわらず,赤字が見込まれるから無理だと拒否されました。一方,教職員の業務は多忙化し,研究費は驚くほど減っています。任期付き採用の教職員が増え,雇用の安定も脅かされています。

国立大学の法人化に際して懸念されていた問題が第3期に入ってますます顕在化しています。大学の法人化の際に,群大教職員組合も労働法に基づく「正式な」労働組合となりました。その真価がいま問われてると感じます。組合員を増やし,力を合わせて大学教職員の労働環境,研究環境を守りましょう。

7月に団体交渉

作題・採点担当者への手当に前向きな回答

軍学共同をめぐって平行線

群馬大学教職員組合広報部

組合は,2017年7月27日に国立大学法人群馬大学と団体交渉を行いました。組合が要求書で提示したのは,A. 給与について,B. 教職員の待遇改善,C. 群馬大学に関する事項,D. 荒牧キャンパスにおける組合の部屋について,です。以下,項目にしたがってその模様をお伝えします。

A. 給与について

1. 人事院勧告に伴う給与水準引上げについて


最初に取り上げたのは給与についてです。昨年・平成28年度の人事院勧告では民間との格差を埋めるため平成28年4月に遡って給与を引上げるよう勧告されましたが,群馬大学では平成29年1月からの適用となりました(ただし平成28年末の期末手当は引上げられました)。組合は,@昨年度と同様に給与引上げの勧告が出た場合は4月まで遡って全額支給できるよう,経営上の工夫をするように,またA人事院勧告を最低基準とし,全国的にみても低い水準に留まっている群馬大学教職員の給与水準の引き上げに努めるよう求めました*1

*1 その後8月8日に公表された人事院勧告では,国家公務員一般職の月給を平均631円(0.15%),ボーナス(期末・勤勉手当)を0.10カ月分それぞれ引き上げるよう求めています。


組合:人事院勧告でもし給与が引上げになった場合,4月まで遡れるように経営上の工夫をしてほしい。去年の場合は,遡っても2千万ぐらいだったのでできるはず。

大学法人:3年前の医療事故の影響があって,本学の状況は厳しい。特定機能病院の復活もできていないし,厚労省の社会保険医療監査の結果,不正請求・不当請求があるといわれていて,いまカルテ等を精査しているところだがある程度のことを覚悟しなおかなければならない。病院の患者数も減っていて,なかなか財政状況がよろしくない。対応しにくいというのが現状だ。教職員にたいへんご迷惑をおかけしていることはお詫びしたい。

組合:昨年度は結果として赤字が確定したので4月まで遡れないということだったが,赤字にならなかったら4月まで遡ることもありうるのか。

大学法人:遡りはいままでもやってきていない。上がる場合も下がる場合もやってきていない。

組合:群馬大学の教職員の給与は他の国立大学等よりも低くなっていて,教職員にとってもモチベーションにはマイナスになっている。どこの大学も4月まで遡っており,遡らないのは全国で,2,3しかない。仮に2千万だったら努力をしてもらいたい。

交渉に臨む組合役員

2. 人事評価について

組合はさらに,今年度から改められた教員の人事評価についてとりあげました。今回より単年度ごとに行うことになり,評価項目の「重みづけ係数」を学部で一元的に管理することになりました。今回の改定は,これまではAかSに偏っていた人事評価の中央値をBかCに寄せるための処置であると説明されましたが,この人事評価が年俸制の業績給査定に用いられると給与の引き下げにつながりかねず,人事評価基準を固定してしまうことで,得意分野の異なる多様な人材を集めることが困難になることも懸念されます。さらに,とくに研究に対するモチベーションが下がりかねないこと,単年度評価は研究課題の設定と進め方に影響を及ぼし息の長い研究が阻害されかねない点を指摘しました。

組合:要求としては3つ。1つ目は,この人事評価の活用方法について明確に説明すること。2つ目は,そもそもこの教員評価は人事評価に用いないという前提の下に導入されたはずなので,人事評価には用いないこと。3つ目は,大学教員の本務は研究・教育にあることを再確認するとともに,特に研究分野については複数年度評価に戻すこと。

大学法人:これについては誤解がある。教員評価の目的は何かというと,先生方の活躍を期待したい,活性化したいということ。教員評価については,評価項目のところに,教育,研究,社会貢献,管理運営,特筆すべき業績,とあって,その重みづけも学部長が決めることになっている。しかも「重みづけ」は固定していないので,各学部長のところで毎年変えられる。これを使って実際に業績を査定して下げたということはない。年俸制教員の評価で一番大事にしているのは「特筆すべき事項」で,これも学部長がこういういいところがありますと書くところで,「悪いところがある」というのは見たことがない。BやCにするためには使われていない。

組合:現行ではその通りで,教員評価を年俸制教員の業績評価には使わないと今年度の実施要項にも書かれていたが,今後は学長の判断で使うことも可能,という枠組みになっている。現行の教員評価のあり方は年俸制教員の業績評価に適用することは問題が大きすぎる。

大学法人:われわれはその気はないが,教員の評価を下げられるようにしておかないと大学評価のときに問題になる。絶対に下げないことは大学としてマイナスの評価になり,予算も削られる可能性がある。そこは約束できない。

組合:約束できないというのは,将来的に教員評価を業績評価に使わないとは約束できない,ということか。

大学法人:少なくとも現学長の間は使わない。

組合:現学長は来年度も教員評価を業績評価に用いることはないと確認した。

大学法人:今までは「特筆すべき事項」を別に作ってもらい,それをもとに年俸制に使っていたが,それぞれやるのは教員にとって大変なので,現在の教員評価に「特筆すべき事項」の欄を作って,その部分を年俸制の教員の評価,業績評価に使う,という形に変えていく予定である。形としては今までと同じことをやるが,それ以外の教員評価の部分は業績評価には使わない。ただ「特筆すべき事項」の欄だけは年俸制適用教員の業績評価に使う,ということになる。もともと全体の評価の表を作ったときに,学部毎に大きな差があったので,全体をそれぞれの学部で見直してくださいということででた話。決して,B,Cにしなければいけないという話ではない。

組合:複数年評価の話はどうか。

大学法人:教員評価の指針の「評価期間」では「原則として過去1年」になっているが,「評価の対象となる年度以外の活動について評価することができる」とも書いてある。

組合:従来は研究については5年をタームとしてやっていた。教員は5年,10年の長期で研究しいてる。ある年には業績が出て,ある年にはでないということがあって,もし5年がベースであったら,見通しがある研究がしやすくなるし,またそういう意見を私たちもよく聞く。

大学法人:やっぱり原則は1年。1年毎に,数字をもとに評価するような形になっている。ただ,質の評価は別のところで,例えば,学部長が先ほどの「特筆すべき事項」で,きちんとした研究をしているのならそういうところで評価してもらえばよい。

組合:「特筆すべき項目」欄にその辺のことは書くように,周知することが必要になる。

B.教職員の待遇改善について

1. 入試手当について 2. 入試に関わる超過勤務手当について


教職員の待遇改善では,引き続き入試手当について取り上げました。前回までの交渉では,作題・採点に関わる超過勤務の実態について大学の方でも調査するということになっていたので,今回はその調査結果の報告を求め,今後の対応について質(ただ)しました。


組合:前回の交渉で,大学の方でも検討をはじめて調査するということだったが,今日はその結果をうかがいたい。今後どんな対応をするのか。また,組合が要求してきた入試手当について一律1万円の手当がついたことは大きな前進だが,他大学の状況を見ると非常に少額に留まっている。近隣の大学の調査をしてみると,やはり特殊な勤務であるということで手当を付けている大学もある。

大学法人:入試手当については特に作題責任者はきちんと処遇すべきだと考えている。今,他の大学の状況も調べているところである。

組合:インターネットからとったデータでは,たとえば宇都宮大学の場合は一般入試の作題責任者への手当は8万円になっている。いろんな大学で工夫をしているので,ぜひ大学の方でも実態を調べてもらいたい。

大学法人:作題責任者だけでなく,全体を見直したいと思っている。超過勤務手当については,教員は裁量労働制なので時間の判断が難しい。実際に,何時に出勤して何時に退勤したのかを全部把握しないと出せないので,手当の方が整理しやすい。

組合:この間,入試にかかわる超勤について本部で調査をしたと把握しているが,その結果はどうだったのか。

大学法人:担当の人数と時間を調査したが,超過勤務手当は裁量労働には馴染まないので,超過勤務手当よりも入試手当の方でなんとか措置できればということで,今検討している。

組合:裁量労働制であっても,超過勤務が発生するであろう業務命令があれば超勤手当は出せるはずではないか。特に数学や理科は,作題責任者が会議の時間を把握しているはずで,何時間も缶詰になって問題を検討しているので,会議時間は客観的に把握できるのではないか。

大学法人:会議の時間は把握できたとしても,結局その前後の勤務状態まで把握しないとそれが超過勤務なのか,8時間のなかでしていることなのか確認するのは非常に難しい。逆にその処理をする業務が大変になる。それよりはある程度手当的なものを考えていった方がやりやすい。

組合:数学担当の教員と話をしていると,入試の採点は,朝から晩まで長時間拘束されることが何日も続くと聞いている。それに対する手当はどうしても必要だと思うので,引き続き検討いただきたい。

3. 副課長・副事務長の管理職扱いについて

次に組合は,副課長・副事務長の管理職扱いについてとりあげました。群馬大学では現在,副課長・副事務長を管理職として雇用しており,管理職手当が支給されますが超過勤務手当は支給されません。管理職は自分の業務に対する裁量と権限をもっているから,というのがその理由なのですが,本学の副課長・副事務長が管理監督者にふさわしい権限を与えられているのか,疑問の声が上がっています。


組合:実際に管理職になると超過勤務手当が支給されなくなって大幅に収入が下がってしまい,大きな不満を呼んでいる。場合によっては100万円以上年収が下がってしまう。組合として次のことを要求する。まず,副課長・副事務長が管理監督者にふさわしい権限,労働時間管理,仕事内容を行っているのか調査して報告すること。その上で,ふさわしくないと判断される場合には副課長・副事務長の管理職扱いをやめ,適切な地位を与えること。二番目,管理職にふさわしいと判断される場合には,実質労働時間と労働内容に見合う手当をきちんと支給し,それが困難な場合には超勤手当を支給することで穴埋めすること。三番目,管理業務に携わっている職員にはふさわしい手当と処遇を与えること。

大学法人:最初の点,副課長のレベルだと,所属している係長級以下の職員の勤務時間と人事評価の管理を行っているので,管理監督者としてふさわしい仕事内容と考えている。二番目は実質労働時間に見合う手当が出ていないではないかということだが,これについては,部課長級と同様に健康障害防止とか深夜労働に対する割増賃金支払いの観点から労働時間把握の管理が行われているので,対応したものになっていると考えている。三番目については,人事院規則と同額のものを支払っている,ということである。

組合:副課長,副事務長はどちらも要の仕事で,大変忙しく働いていることはわれわれも認識している。ただ,権限という点でいうと果たして管理職というポジションにあるといえるか疑問である。一般的に労働基準監督署の判断で,管理職・管理者というと,@経営者と一体的な立場で仕事をしている,A出社,退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない,Bその地位にふさわしい待遇がなされている,ということだが,本学の場合,副課長・副事務長は管理職とは言えないのではないか。副課長・副事務長は正直いって残業時間が長いので,膨大な不払い労働をつくっているのではないかと危惧をしている。他大学で,副課長・副事務長が管理職になっていて残業代がでないというのは聞いたことがない。きちんと調査をして,適切な対策を考えてもらう必要があるのではないか。

大学法人:まだ全部を把握しているわけではないが,いま把握に務めている。

交渉に臨む大学法人側

組合:場合によっては労基署に入ってもらうしかないかと思っているが,それは大学にとってもマイナスだし,われわれにとっても望ましくはない。やはり大学に誠実な態度をとってもらう必要がある。係長から副課長になったら給料が下がって仕事が増えて,全然家に帰れなくなって体も壊すというのは異常事態なので,真剣に調査をした上での報告と改善を求める。

文部科学省の課長補佐は管理職ではないと聞いている。ただ,課長補佐としての手当は出て,残業手当もでるとのことである。そういうことも含めて,確認して調査していただきたい。

大学法人:確認して,また検討したい。

4. 医療従事者の諸手当について


組合が要求したのは,(1)夜間看護手当の増額(1,000円以上程度),(2)患者と直接接して業務を行うことを常例とする医療技術者(歯科衛生士,言語聴覚士,理学療法士,作業療法士,視能訓練士,臨床工学技士)や退院支援を行う医療ソーシャルワーカーに対して診療放射線技師,臨床検査技師と同等の調整額を支給すること,(3)看護のみならず,全ての医療従事者の各種認定に対する手当を支給すること,です。

さらに関連する項目として,平成29年3月29日付の附属病院に対する行政措置を受けて大学および病院は具体的にどのような改善を行っていくのか,将来構想に関する意見を求めました。


組合:以前から手当の話はしているが,現状を把握した上で検討いただきたい。今回,資料を付けた。一昨年,2015年9月に全大教の病院協議会が行ったアンケート調査で,500名弱の回答の自由記述欄にある群大病院の看護師さんのナマの声である。休みがとれない,非常に体が疲弊している,給料増やして,手当増やして,とあるが,これが現状なのでこれを踏まえていただきたい。時短勤務は育児をしながら働ける面では助かっているが,その代わり一般の人が大変になっている。そういう面からすると,夜間看護手当を千円でも二千円でも上げることは,頑張っている看護師に対しての見返りになる。二番目の調整額もずっと取り上げているが,調整額は実態に合わせて出されると聞いているが,どんな状況にあるか資料に示した。

調整数職種外来患者入院患者集中治療室一般病院結核病棟精神病棟小児病棟
臨床工学技士
歯科衛生士
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
視能訓練士
心理療法士
2臨床検査技士
2診療放射線技士
1受付事務職員

◎常例に患者と濃厚接触 ○常例に患者と接触 △時折,患者と接触 −関わりなし
※ 集中治療室・精神科病棟・結核病棟に勤務している看護師の調整数は1

こういう状況でも調整額をつける意味がないというのか。三番目,新しく認定看護師への手当を作ったことは評価するが,他の職種でも専門の認定をもって,診療報酬の算定にも関わっている人はたくさんいる。

また,今後の病院としての方針について,教授会で学長が話しているとは聞いているが,病院の職員にはなかなか届かない部分もある。直接説明をもらえるとありがたい。

大学法人:一番最後の話は,要望があれば学長が病院長と一緒に説明にいく。看護師さんに手当を付けたのは,専門看護師,認定看護師がいれば加算されるということで,そこだけは獲得しておきたいということ。資格をもっている方自体はたくさんおられるのだろうが,加算はほとんどないのではないか。

組合:いや,加算とか施設基準にかかわる職種はあって登録もしている。たとえば理学療法士では,認定もあるし指導士の資格もある。そういうところも加味するべきだ。

大学法人:そういう資格を持っているのを前提として採用している部分もある。

組合:大学病院という高度医療をやるというところで,お金になるかどうかというところで線を引かれてしまうと,現場で士気が高まらない。現場では,看護師だけ認定をもっていれば手当がついて,他の職種ではつかないというのは,納得してもらえない。

大学法人:看護師の場合は看護師という基礎資格の上に,大学院を卒業した上でこれだけのトレーニングを経た上で認定看護師とか専門看護師ということになるが,たとえばここに書いてある職種すべてについてそれに相当する基準があって,診療報酬の可算につながっているという関係があるのか。

組合:診療報酬はかなりグレーな書き方があって,経験を要するとかそれを認めて振り替えて使えるという記載になっている。看護師はもちろんのことリハも検査も実際に診療報酬にかかわることはある。

大学法人:認定や専門看護師をとるために,追加的に必要なトレーニングの質や期間についてはっきり決まっているので,それに相当するものかどうか,その基礎資格自体の位置づけも含めて総合的に考えていかなければいけない。それでも足りないということになれば変えなければいけないが。

組合:現場で看護師の手当ができたのは大変喜んでいるが,なぜ専門看護師手当だけなのか現場では納得できない。なぜ看護師だけに今回手当をつけるようになったのか,説明いただきたいということ。いま時間がないと思うので,あらためて文書で回答を求める。

最後に一つだけ。病院では,業務量からすると,説明であるとか同意を得るとかいうことで,今まで以上に業務量が増えている。今回,医療事故調査委員会でも過重労働っていう部分を随分指摘されている。職場の労働環境の安全っていうことからも可能な限り増員を進めていただきたい。

大学法人:今,病院長とも話していて,外来の患者さんを減らしてそれで負担を減らそうか検討している。職員の負担が大変だということはよくわかっていて,負担を軽くしなければいけないと思っている。どこまで減るかわからないが,それによって職員の方の負担を軽くしたい,と思っている。

5.技術職員の諸手当について

組合は前回までに引き続き,労働安全衛生・安全管理にかかる資格(作業環境測定士,作業主任者,電気主任技術者,高圧ガス製造保安責任者)を取得して業務にあたっている技術職員に対して手当を支給することを求めましたが,これについては大学法人から文書で回答をもらうことになりました(大学法人からの回答はこちら)。

C. 群馬大学に関する事項

1.非常勤教職員の雇用期間限度の見直し案について

前回の団体交渉において組合は,非常勤教職員の雇用期間限度を一律に5年(非常勤講師等は10年)とする雇用期間限度の見直し案(平成28年11月28日付)は,そもそも雇止めの不安の解消を目的とした改正労働契約法の趣旨に逆行しており不当であると主張し,同法の趣旨を明記した現行の非常勤職員就業規則第9条の2に従って,希望する教職員の無期労働契約への転換を積極的に進めることを要求しました。これについて大学法人は,各学部等に照会して3年の期間業務の方が逆に5年いられる方向で改正していくと回答しました。

その検討結果について質しました。


組合:この件について結果がどうなったのかを報告していただきたい。

大学法人:非常勤教職員の件は,実際に決めたときに雇用されていた人に関してはまったく不利益がないようにした。平成29年以前に雇用された職員については適用外になる。29年4月以降に採用になった方については,5年間。パートで研究室で雇われた場合でも,雇用は学長が雇用したことになり,たとえば5年経ってその研究室の先生がいなくなれば大学としてずっと雇用しなければならないということになるが,そういうとこまで面倒を見ていくのは難しいので,29年4月以降については5年間の期限を設けている。

組合:従来の期間雇用職員の3年が5年になったのはよかったが,従来のパート職員の方は,期間の定めなく,1年契約が更新できた。今年の3月31日までに雇用された方は,その条件がずっと続くことになる。来年の3月31日に,この改正労働契約法によって契約が切れます,という方はひとりもいない,と理解してよろしいか。

大学法人:その通り。

組合:各職場では,事務でずっとパートとして勤めていただいている方の戦力で回っているところがある。当面はいまの方たちにずっとやってもらえるからいいが,何年かするとその方たちは退職し,後から入った人たちは5年で切られしまう。職場について経験して,モノを知っている人がいなくなってしまうのは大変なダメージになる。多くの人たちが任期なしの形になるようにする方が大学にとってもメリットがある。本人の希望があれば,5年を超えて安心して働ける環境をつくるということが,法の趣旨だし,その方向で検討すべきではないか。

大学法人:現段階でそこを確約はできない。5年後どういう状況になっているかは今のこういう状況では分らない。基本的には今のところはこの5年ということで,いったんは切らせてもらうという前提で進めていく。「学長が特に認めた場合はその限りではない」ということにはなっている。

組合:5年後どうなるかわからないというが,非常勤依存がますます高まるはず。本当に非常勤で長くいて,職場のことをわかっている人がいなくなってしまうと現場は困る。その辺も踏まえて,今後も考えていただきたい。

2.軍学共同について

前回の交渉においても軍学共同について取り上げましたが,大学法人は紙面での回答で,「日本学術会議において安全保障と学術について検討中であると承知しており,これらの議論を注視し,本学としての今後の取扱方針等について判断していきたいと考えてい」ると答えています。

日本学術会議は「軍事的安全保障研究に関する声明」(平成29年3月24日)で次のように述べています。

日本学術会議が1949年に創設され,1950年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を,また1967年には同じ文言を含む「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発した背景には,科学者コミュニティの戦争協力への反省と,再び同様の事態が生じることへの懸念があった。近年,再び学術と軍事が接近しつつある中,われわれは,大学等の研究機関における軍事的安全保障研究,すなわち,軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が,学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し,上記2つの声明を継承する。


この声明を受けて,組合は大学としてどのように対応するのか,意見を求めました。


組合:7月5日に理工学府の学府長と評議員から,関係のありそうな先生に集合がかかって意見を聴取する集まりがあったと聞いているが,まだその辺の情報は入ってきてないということか。

大学法人:それについては,やはり労使交渉とは違うと考える。この場でやることではない。 組合:大学のあり方の問題を考える,大変重要な問題だと考えるので,これからもこうした意見交換はしていきたいな,というのが私たちの考えだ。

大学法人:これは教育研究評議会で決める話なので。

組合:労働環境にかかわる話に入ってくる可能性もある。

大学法人:それをいうとすべてがそうなってくる。評議会の議論がなんの意味もなくなってしまう。

組合:別にこの議論で方針が決まるわけではなく,職員たちがこういう問題についてどう考えているか,どういう意見を持っているかを聞いていただく場所になる。とりわけ,教授会での議論は大変しづらくなっているので,そういう点で組合の役割はあると思う。

大学法人:お聞きはするが,回答するものではない。やはり評議会の中で議論されているので,各学部長に学部に持ち帰っていただくというのが基本ではないのかと。

組合:それが一つのルートだが,教職員組合としての議論があってそれをお伝えするというだけの話だ。

大学法人:お聞きはするが,それに対して回答する必要はないと考える。

D.荒牧キャンパスにおける組合の部屋について

現在,組合では荒牧キャンパスGC棟306室を使用していますが,組合では本部を昭和キャンパスから荒牧キャンパスへ移動させることを検討しています。組合は,現在使用されていない荒牧キャンパス内の部屋を使用させていただくよう,要望しました。


組合:現在は使われていない部屋もあるのではないか。

大学法人:申し訳ないが,いろいろプロジェクトを考えていて,部屋は確保できない。数理データセンターとか,次世代モビリティのセンターとか,いろいろできるので,部屋が足りなくて困っている。

***

今回の団体交渉は,入試手当や副課長・副事務長の管理職問題,パート職員の雇用期限の件などで一定の前進があったと考えますが,残念だったのは軍学共同の問題に関する大学法人の交渉姿勢です。

組合は,この問題を教職員の労働条件に深刻な影響を及ぼすものと考えます。防衛省予算で研究をする場合,予算獲得者以外の教員や技術職員,場合によっては事務職員もこの研究に関わることになり,こうした業務に携わることで彼らの良心の自由が阻害される可能性もある。とくに任期付の教員であったとすると,こうした業務を拒否することは実質的に不可能であり結果としてハラスメントを生む危険性があります。

また,研究成果の公開性についても疑念が残ります。公開できない研究を行うとなると,情報が漏れた場合には厳罰の対象になるのではないか,留学生や学生を研究に参加させることが困難になるかもしれないなど,多くの懸念が存在します。

このように軍学共同は業務従事者に様々な不利益を生じさせる可能性があり,「労使関係の問題ではないので交渉の対象ではない」というのは承認できません。組合は「全員が安心して働ける群馬大学をつくる」のが目的ですので,交渉の対象であると考えます。私たちはこれまでも,大学の自治や将来構想,学問の自由の問題をはじめ,理念的な側面についても団体交渉の中で協議してきました。病院問題をはじめとして,大学が真摯な対応をしているという点を確認し,教職員に周知してきた。これは組合にとってのみならず,大学にとってもプラスの面があったはずです。今回の交渉姿勢は,大学と組合がこれまで築き上げてきた信頼関係を一方的に反故にするものであり,非常に残念なものです。 群馬大学教職員組合は,防衛設備庁の研究費への応募に反対するとともに,学術会議の声明を受けて大学としての意思形成を行うよう大学側に引き続き働きかけます。

大学法人からの書面回答

その後,大学法人から組合に示された文書での回答を掲載します。


平成29年8月17日

群馬大学教職員組合執行委員長

豊泉周治殿

国立大学法人群馬大学学長

平塚浩士


2017年7月27日群馬大学教職員組合団体交渉要求書に対する回答について

平成29年7月27日の交渉の際の未回答の質問について,下記のとおり回答します。

○専門看護師・認定看護師の手当措置理由について

診療報酬における様々な施設基準について専門看護師及び認定看護師の配置が必要とされており,専門看護師4名,認定看護師16名(平成29年度現在)が業務を行っている。

専門看護師・認定看護師は,看護師の基礎資格に加えて取得する上位の位置づけとなる日本看護師協会が認定した資格である。専門看護師は,5年以上の実践経験を持ち看護系の大学院で修士課程を修了,認定看護師は,5年以上の実践経験を持ち615時間以上の認定看護師教育を修了が要件となっており,資格を取得するために自己啓発休業を取るなど,相当な時間を費やしている。

また,この施設基準を維持するにあたり,看護師が不在となると,施設基準が満たせず,加算が取れず病院は大きな減収となってしまう。資格取得者を確保するため,継続的な業務遂行やモチベーションの維持ができるよう,手当の措置をしたものである。

○技術職員の諸手当について

新たな手当の新設・増額は困難です。

なお,以前に安全確保等の観点から指摘がありました点については,昨年度(平成28年度)は技術職員を2名(機械1,化学1),今年度(平成29年度)も3名(機械1,化学2)採用しましたので,教育に係わる安全確保等の観点から全体的な負担は軽減されていると考えています。


組合はこれからも粘り強く大学法人と交渉していきます。みなさまの声をお聞かせください。