II-57号 2010.5.11発行

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【目次】団体交渉を申入れました団体交渉申入書・全文人々の幸福につながる手段としてのデザインシンポジウムのお知らせ ― 大学法人化問題を考える4コマまんが
春の桐生キャンパス
春の桐生キャンパス/© 横尾 享弘(桐生支部)
団体交渉を申入れました

群馬大学教職員組合は,先月2日付けで大学法人群馬大学に対して今年度2回目の団体交渉を申入れました。前回の交渉は本誌「ぐんだいタウン」でもお伝えした通り,教職員にとって厳しいものでしたが,われわれは粘り強く正当な要求をしていきます。次ページ以降に団体交渉申入書の全文を掲載しましたのでご覧ください。

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団体交渉申入書・全文

上の記事でお伝えした,病院長に対する団体交渉の申入書・全文を掲載します。

平成22年4月2日

国立大学法人群馬大学長

田邦昭様

群馬大学教職員組合委員長
黒須俊夫


申入書

貴職におかれましては,日々本学の運営に鋭意ご精勤のことと存じます。

さて,2009年9月の貴職と本組合との団体交渉以来,はや半年が過ぎ去ろうとしております。この間,私たちをとりまく労働環境及び教育・研究・診療環境は一向に改善される兆しが見えない状態にあり,私たちの働く意欲のあり方に大きな影響を与えています。

こうしたなか,本学の長である貴職の一層明確な指導力及び斬新な改革の実施が期待されるところであります。

本組合は,本学に働くすべての教職員の労働意欲,教育研究意欲の高揚,そしてそれぞれの職務を全うすることができる条件の整備のために,以下の通り申し入れます。

ご多忙中とは存じますが,速やかに団体交渉に応じていただけるようお願いいたします。


団体交渉申入書

要求項目

Ⅰ . 給与

1 . 人事院勧告に対する本学の対応について

私たち教職員組合は,法的根拠のない人事院勧告への準拠,労働契約法の要件を満たさない不当な給与削減に反対してきました。今後も,人事院勧告準拠という名のもとに行なわれる給与削減に強く反対してまいります。前回の交渉において,21年度当初計上していた人件費と実際の給与削減による人件費の差額の使い道について,教職員の待遇改善に使用するよう求めましたが,「大学の必要な事項に回す」という回答でありました。

そこで,実際にどのような事項に使用されたのか,公開を求めます。
具体的には,

a) 平成21年度予算・収支計画,決算,および財務諸表の公開,

b) 21年度当初予算よりも増加した決算費目につき,具体的な支出項目の公開,

c) 会計監査報告の公開,

d) 平成22 年度予算・収支計画の公開,

等を求めます。


2 . 負担の大きい仕事,特別の技能等を要する仕事についての手当等の新設・増額

(1) 附属病院,工学部関連:

私たちは負担の大きい仕事,特別の技能等を要する仕事につき,その技能と危険性に見合った調整額・手当等を支給するよう求めてきました。その必要性は大学当局も合意文書として認めているところですが,財源難を理由にいまだ実現に至っておりません。この間,当該職場では不満が高まっています。具体的には,本学附属病院の全看護師職員の9割以上が夜間看護手当増額を求める署名に賛同しております。この署名については,既に本学附属病院長に提出しております。この要求は,職員の労働意欲に直結する問題であり,円滑な看護態勢の維持に有用である調整額・手当等の早急の実現を求めます。また,工学部の技術職員に関して,法人化以降において労働安全衛生態勢の向上に大きく貢献しているにも関わらず正当に評価されず,負担だけが増しているという不満の声が上がっています。役割に見合った手当の支給を求めます。当面,以下の点についてお知らせください。

a) 当該職場における調査・実態把握の結果。

b) その後の進捗状況(優先順位の検討結果)。


(2) 入試手当関連

私たちは入試手当導入を強く求めてきました。前回交渉において,他大学の入試手当の内容を精査するという回答をいただきました。

a) その結果をお知らせください。

b) それを踏まえ,本学で入試手当をどうするか,検討結果をお知らせください。


3 . 教職員の休日労働に関して

一部教職員に偏重している過重労働を早急に解消していただきたい。その上で,以下の諸点の確認を求めます。

a) 休日期間内に振替可能な日が無い場合は期間外での週休日の振替を,またそれも不能な場合は休日給の支給をすること。

b) 割増賃金・休日給の財源を,部局の予算以外で確保すること。


Ⅱ. 労働時間・労働環境(総労働時間の短縮など)

a)「休憩時間・超過勤務」の実態把握を求めます。前回交渉における回答では,看護師以外はおおむね昼休みを1時間取れているとのことでしたが,看護師についてその後の状況について報告されたい。

b) 休憩時間・週休・年休が完全に取得できるよう求めます。

c) 不払い労働を根絶することを求めます。

d)本学に働く教職員の精神的労働環境の改善を強く求めます。


Ⅲ. 学長選考について

学長選考について,以下の要求をいたします。

a) 意向調査投票は,各投票者が適任者1名を選ぶ方式を取ること。

b) 意向調査投票結果(各候補の票数)の公表をすること。

c) 学長選考会議の選考過程(投票で決める場合はその投票結果)を公表すること。

d) 学長選考会議は意向調査投票結果を尊重すること。


Ⅳ. 教職員評価について

a) 本学での教職員の評価にあたっては,評価を本人に開示するとともに,「苦情処理」の仕組みを整え,苦情処理委員会には複数の組合代表を加えることを求めます。

b) 評価の結果は業務の改善に用いるものとし,昇給の査定には用いないことを求めます。


Ⅴ. 非常勤職員の待遇に関して

a) 負傷又は疾病による特別休暇の有給化を求めます。

b) 前回の団体交渉において,長期にわたって勤務が見込まれるパート職員への財形貯蓄適用は制度上困難という回答がありました。私どもが,(独)雇用能力開発機構のホームページで調べた所,「アルバイト,パートタイマーでも継続して雇用がみこまれる場合は契約を締結できる」とありました。そこであらためて,これら職員への財形貯蓄取扱いを求めます。


Ⅵ. 安全衛生(昭和キャンパスでの医務室の設置)

過去の団体交渉において,昭和キャンパス医務室の設置につき早急の検討をお約束くださいました。

a) その後の進捗状況をお知らせください。


Ⅶ. 情報公開について

a) 前回交渉の結果,全学で獲得する外部資金のうち本部で管理する間接経費総額,各事業所別の分配額,及び使途内訳が公開されました。しかしながら,公開された資料において,一部分の費目が合算されておりましたので,個々の費目の公開を求めます。

  また,これら費目の21年度決算の公開を求めます。


Ⅷ. 組合(荒牧キャンパスの組合事務所の拡充)

当組合は主たる事務所(本部事務所)を昭和キャンパスに置いておりますが,法人化による労使関係の変化をふまえ,荒牧キャンパスにその機能を移転することを決定しました。しかしながら,現在の荒牧キャンパスの組合事務所の広さ(約20m2)では,本部事務所機能を持たせるには不十分です。そこで,

a) 現在の3倍以上の広さの部屋を,荒牧キャンパス内の適切な場所に確保するよう求めます。

以上

団体交渉の模様については,本誌「ぐんだいタウン」でお伝えしていきます(※ 前回の団体交渉については、昨年10月15日付の「ぐんだいタウン」U-54号に掲載してあります。組合ホームページで本誌バックナンバーをご覧いただけます。

群馬大学ではたらくみなさんお一人おひとりの支持が組合の力となります。組合を応援してください。

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【リレー・エッセイ「あんな仕事、こんな仕事」】

人々の幸福につながる手段としてのデザイン

齋江 貴志(荒牧支部会計/教育学部)

齋江先生

教育学部美術教育講座でデザイン分野を担当している齋江と申します。

私は教育学部とはどういうところか,また,群馬がどういった土地か,全くといって良いほど知識のないまま,ここに来て6年が経ちました。未だ職場・生活環境に不慣れで自身の足下すら勉強中,模索中といったところでしょうか…。

さて,一般的に「デザイン」というと服飾あるいは広告などのグラフィック分野での活動を思い浮かべられると思いますが,私の専門はプロダクト(製品)デザインです。ここが常勤の教育研究職として初めての職場になりますが,着任前は母校の美術大学で実習助手をしながら博士課程学生をしていました。さらにその前は,飛騨高山の木工家具会社に1年,東京の大手電機メーカーに7年間デザイナーとして勤めていました。電機メーカーに勤めている頃に携わった製品ではテレビ,エレベータ,発電所のコントロールルームなどがあり,短期間で様々なデザインに関わることがました。

現在は,博士課程で行った専門家の視点から専門家養成のための造形研究から,教員養成課程という環境に合わせ,教育内容と関連づけられるよう研究内容をシフトさせています。

ランプシェード

(ランプシェード)

具体的には環境(エコロジー)を起点として,材料や加工方法とデザイン分野教育について考察を試みているのが私の現在の研究です。

デザインというと多くの方は,流行を生み出し,大量にモノを売るための手段であると捉えがちです。しかし「デザイン」の本質は,近代以降の新たな社会システムの中でそれまで美的な生活に無縁だった人々の生活を,機能という新しい美的概念で充実させようとする活動でした。物質的な充足と人々の幸福が等しいと思われていた時代は,特に深く考えることなく,新しいモノ(デザイン)を供給することだけに邁進していれば良かったといえます。しかし,今日モノの大量生産とそれに伴う大量消費が引き起こした問題はご存じのとおりです。

私自身,電機メーカーに勤務しているとき,本当は現行の製品の方が良いデザインだと感じているにもかかわらず,ほんの少しの機能変更のためデザインを刷新しなければならないという経験をしてきました。以来,「デザインという行為は一体何なのだろう。」「本当にデザインは社会に貢献しているのだろうか。」と自問してきました。

モビール

(モビール)

科学技術とは異なり,直接的な環境問題の解決手段としてデザインがあるわけではありません。しかし,大量消費を促すための広告がある一方,環境保護の広告があるように,デザインは方向を見いだせば,その方向へと変えていく力になると考えています。これまでデザインは経済的発展を中心に動いてきましたが,これからは原点に立ち帰り,もう一度人々の幸福につながる手段としての役割を担う時が来ていると感じています。

今,私が教えている学生は未来を創っていく子どもたちにつながっています。その子どもたちにどのようにデザインを伝えるか,あるいはデザインという行為をもとに,如何に様々な問題に答えを出していくのか。私自身の研究から,学生にそして子どもたちに伝えていきたいと考えています。(了)


※ 写真はいずれも齋江先生による作品です。

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4コママンガ

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シンポジウムのお知らせ ― 大学法人化問題を考える

群馬大学教職員組合主催

群馬大学の各職場では2004年の法人化以降,人員削減と経費節減によって労働条件が悪化し,教職員の疲労度は限界点に近づいています。人手不足と事務仕事量の増加を受けて,職場によっては昼休みが十分に取れなかったり,休日労働やサービス残業を強いられ,心身の不調を訴える仲間が増加しています。

こうした法人化による歪みを洗い出し,教職員で問題点を共有するために,群馬大学教職員組合は法人化問題を話し合うシンポジウムを企画しました。

是非ご参加下さい。

シンポジウムの流れ

法人化後の成果

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