号外 2006.12.11発行

学長候補としての所信を問う公開質問状に鈴木守氏が回答を拒否!

−鈴木氏は、学長に「適任」か?

まもなく12月14日、学長選考のための意向聴取投票の投票日がやってきます。群馬大学教職員組合は、意向聴取投票に当たって教職員の投票の参考とするために、公開質問状を鈴木候補に提出し、回答を求めました。大学の将来のビジョン、経営上の重要課題、教職員一人ひとりの賃金・待遇の問題や教育研究環境の問題など、これから2年間の大学運営・経営に当たる学長候補者に聞いておかなければならないことばかりです。これに答えられないようでは、学長候補者の資格はありません。ところが、回答期限の12月1日、なんと鈴木候補は、組合に対して回答を拒否してきました。


このたびの公開質問状については、学長の選考方法が法人化前の学長選挙と異なっており、所信表明については、学長選考規程の手続きに則り、行っているところであります。その表明以外に、別途意見を述べることは不適切と考えますので、所信調書の内容をもって回答に代えさせていただきます。


なんということでしょう。これから大学の運営・経営の責任者たろうと名乗りを上げ、そこで働く教職員・労働者から「適否」の審判を受けようとする候補者が、教職員・労働者を組織する正規の、しかも唯一の団体からの切実な質問に、何一つ答えることができないとは。

そもそも学長選考規程による候補者の「所信表明」は、講師以上の教員と幹部職員にしか届きません。鈴木候補は、それ以外の多数の教職員の意向には関心がないのでしょうか。しかも鈴木候補の「所信表明」がいかなる内容かと言えば、「次期の2年間を全力を尽くして臨む覚悟であります。」とか、「学内の皆様には、引き続きご協力をお願いする次第です。」とか、おおよそ具体性を欠いた「所信」でしかありません。法人化後、効率化を追求する経営のなかで厳しい労働環境にさらされ、賃金を減らされ、研究費を減らされてきた教職員への配慮を、その「所信」に見ることはできません。「今は皆で耐えなければならないことも数多くあります。……皆で力を合わせ日々の業務に励みたいと私は念願しています。」と、ただ教職員に忍耐を求めるばかりなのです。

私たちは、教職員の具体的で切実な質問に回答することで、すでに十分に忍耐を重ねてきた教職員に対して、今後2年間の大学運営への希望を示してくれることを鈴木候補に期待していましたが、失望したと言うほかありません。「結局、鈴木学長は、教職員のことなんか関心がない、というわけですね。」「教職員に向かって未来を語れないなら、もうそれで失格です。」「重粒子線施設の将来を、みんな心配している。きちんと説明すべきだ。」「労働者に顔を向けない経営者。群大は潰れるかも」。「回答拒否」を知って、組合のメーリングリストには怒りの言葉がいくつも寄せられています。

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組合から鈴木守氏への公開質問状の内容は、以下のとおりです。

1)過去3年間の大学運営の自己評価と今後のビジョンについて

法人化後3年間の大学運営をふり返り、ご自身のリーダーシップと成果をどのように自己評されていますか、お聞かせください。また残された課題と今後の大学運営のビジョンについてお聞かせください。


2)大学および附属病院の経営環境の悪化と今後の対策について

法人化後、効率化係数1%、経営改善係数2%等によって、大学および附属病院の経営環境は年々厳しさを加え、教育・研究、医療の現場では大幅な経費削減によって年々勤務環境が悪化しています。学長はこのような法人化後の経営環境の悪化、教職員の勤務環境の悪化についてどのような認識をお持ちでしょうか。また、このような事態をどのように改善しようとお考えでしょうか。


3)重粒子線照射施設の将来について

本学では平成20年度を目標に重粒子線照射施設の完成を目指していますが、稼働後、莫大な運転維持費が必要になり、大学経営を大きく圧迫することが懸念されます。患者数の予測なども含めて、重粒子線照射施設の収支の見通しについて具体的にお示しください。


4)教職員の賃金・待遇の改善について

この4月、本学教職員の賃金が平均4.8%引き下げられ、今後数年間にわたって昇給を見込めない教職員が多数に及びます。また文部科学省が毎年発表するラスパイレス指数を見ると、本学教職員の給与水準は他大学と比べても相当に低い水準にあります。本学教職員の賃金・待遇改善の方策について、お考えをお聞かせください。


5)査定による昇給制度について

現在、教員および管理的職員の勤務評価が試行されており、追って全教職員を対象に査定に基づく昇給制度を導入することが検討されていると聞きます。人事院の案では、勤務評価によって5段階にも及ぶ大きな昇給格差が設けられています。大学という教育・研究・医療の職場において、そのような昇給制度は教職員の協力関係の妨げとなり、大学の発展に好ましくない影響を生むと考えられますが、学長はどのようにお考えでしょうか。

6)教員の教育研究環境の改善について

法人化後、各教員の教育・研究費が大幅に削減され、日常の教育・研究活動に大きな支障をきたしています。実験設備どころか薬品さえも購入できないとの悲鳴が聞こえてきます。日常の教育・研究活動の停滞は、直ちに大学の活力の根源を衰弱させるものです。こうした事態について学長はどのようにお考えでしょうか。対策も含めてお考えをお示しください。


7)科研費申請にかかわるペナルティについて

厳しい財政状況の中で科研費の申請・獲得を促進するためとはいえ、科研費の申請がなじみにくい分野の教員や短期の課題設定を好まない教員にまでペナルティを課して申請を強要することは、学問の自由の点からも研究効率の点からも問題があると言わざるをえません。ペナルティの制度は取りやめるべきだと考えますが、いかがでしょうか。


8)法人化後の大学運営について

法人化後、学長・役員会中心の大学運営が行われていますが、過度なトップダウンとも言うべき運営に陥っていると思われます。学長選考規程が一度も評議会で審議されなかったように、評議会での実質審議が保障されず、各学部教授会の意向が尊重されない状況が広がっていることを憂慮します。私たちは、各学部教授会、評議会での議論を尽くして民主的な運営を推進することが大学の発展にとって肝要であると考えます。この点、学長はどのようにお考えでしょうか。これからの大学運営のあり方について、お考えをお聞かせください。


9)学長選考のあり方について

現行の学長選考規程による候補者氏名も票数も公表しない「×」投票は、「意向聴取」としてきわめて不可解であり、教職員の意思を集約する点でまったく有効性を欠いていると言わざるをえません。また、学長適任候補者の推薦・立候補が評議員に限られ、しかも評議員の過半数の賛成を必要とするという評議会の「申し合わせ」は、現職の学長以外の候補者を排除するしくみになりかねないと危惧します。

私たちは、現行の学長選考規程および評議会の「申し合わせ」を抜本的に見直し、本学の学長選考のあり方について根本から議論し直す必要があると考えます。この点について、学長の見解をお示しください。

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