II-42号 2006.10.5発行
【目次】8月7日に団体交渉をしました団体交渉にあたって組合が提出した要求項目交渉結果不払い残業が次々に明るみにデータでみる群馬大学の給与の低さ全大教第38回定期大会に参加して県内の教育関連団体と共同で、教育基本法改悪反対アピール工学部の衛生管理

8月7日に、学長らと団体交渉をしました

学長、学長選考に関する組合の提案に耳を貸さず

8月7日、13時30分から16時まで、本年度第1回の団体交渉が行われました。組合からは中央執行委員会役員ほか11名の組合員が参加。大学側は、鈴木学長、谷本事務局長・労務担当理事、石川総務部長、岡田人事労務課長、桐生企画評価課長、戸澤副課長、清水副課長ほかが出席しました。

労働条件面では重要な成果
 不払い残業是正、附属学校園教員の給与改善など、大学側が約束

学長選考方式については、学長は組合の提案に耳を貸そうとしませんでした。一方、労働条件をめぐっては、以下の5点を両者で確認するという重要な成果を上げることができました。


1 地域手当の最終的な支給率は、現在、大学と組合の間で交渉中である。
2 今年度試行の教員評価の基準作成に当たっては、教授会等で各部局の意見を反映させることが大切である。
3 2007年度のできるだけ早い時期に、附属学校教員の給与水準の改善を図り、群馬県公立学校教員の給与水準との格差を解消する(学長の強い意志表明)。
4 不払い残業をなくすよう、4月以降の時間外労働申請方式を、各職場の実態に応じて徹底してゆく。
5 今年定められた日々雇用職員の3年雇用期限を6年までとする「取り扱い」は、従来の期限を延長する上での中間的な判断であり、対象となる職員の範囲の拡張も含めて、今後さらに検討してゆく。
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団体交渉にあたって組合が提出した要求項目

組合からの要求項目は以下のとおりです(IIIは大学側の強い要請で「懇談項目」となっています)。


【要求項目】
I.賃金問題に関わる要求
(1)全教職員に3%以上の地域手当を保障すること。
(2)昇給査定の導入を見送り、教職員の合意形成をはかること。仮に査定を導入する場合には、当面、D(2号俸)、E(昇給なし)の評価を付けないこと。
(3)附属学校の教員給与水準を改善すること。

II.労働環境に関わる要求
(1)不払い残業をなくすこと。
(2)人員削減案については労働者代表および組合と協議すること。また事務職員を教育研究医療の現場に重点配置すること。
(3)非常勤職員・日々雇用職員の待遇を改善すること
1、非常勤職員の常勤化、日々雇用職員の雇用期限延長、特別休暇(夏季休暇)の改善について回答すること。
2、パート職員の時給引き下げ部分を撤回すること。

【懇談項目】

III.大学の民主的運営に関する要求
(1)今秋の学長選考の実施に当たって、少なくとも教職員等の意向聴取が実効的なものとなるよう、当面、以下の4点について、学長選考規程の適正な運用と同実施細則の見直しを行うこと。
1、学長適任者が一人の場合であっても、意向聴取投票を実施すること。
2、意向聴取の投票は「適任ではない者」に「×」を付ける方式ではなく、「適任者」の氏名を記載する方式に改めること。
3、投票結果は全員の氏名と票数を公表すること。
4、投票の実施に当たっては、学長適任者(候補者)の選考理由や本人の所信などを早めに公表し、立会演説会を行い、直接候補者の意見を聞く機会をもうけること。

なお、現行規程・細則については、投票資格者の範囲の問題など、上記以外の点でも引き続き全学的な検討が行われるべきことを申し添えておく。

(2)評議会で実質的審議を行い、学内の民主的な意思形成に努めること。

上記の学長選考規程が一度も評議会で審議されなかった事実に端的に示されるように、「国立大学の教育研究に関する重要事項を審議する機関」(国立大学法人法)である評議会が実質的な審議の機能を果たしていない現実がある。評議会で実質的審議が行えるよう大学運営を改善し、学内の民主的な意思形成に努めること。


IV.その他
(1)人件費5%削減問題に関する学長の理解を説明すること。
(2)教員の十分な合意に基づかない教員評価は実施しないこと。
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《 交渉結果 》

●地域手当・給与水準・・・・交渉継続を両者で確認●

大学は、前橋の地域手当が人事院勧告で3%であるにもかかわらず、0%の桐生地区にも同率の地域手当を支給するためとして、両地区2.4%を提案しています。組合は、「平均4.8%の給与引き下げを強行したのだから、両地区に3%以上の地域手当を支給できるはず」と、富山大学など他大学で同様の措置を実施している例を引いて、全教職員に3%以上の地域手当を保障することを要求しています。今回は結論はでませんでしたが、「交渉中である」ことは両者で確認しました。このことは意味のあることです。

文部科学省が毎年発表するラスパイレス指数を見ると、群大教職員の給与は他大学に比べてきわめて低位にあります。この点については、大学側も原因を検討すると約束しました。

●教員評価基準・・・・教授会等で意見をと総務部長●

現在、教員評価のデータ収集作業が進んでいますが、今後問題となるのは、いかなる評価基準に基づいて評価の実施(試行)が行われるかです。組合は「十分な合意に基づかない教員評価は実施しないこと」を要求しています。団交の席上、組合が「現場の教職員の声は基準作りに反映されるのか」を質したところ、総務部長は、「各部局から意見を出すようお願いしているので、教授会等で出してほしい」旨を回答しました。教授会等での議論の必要性を総務部長の方から語ったことは重要です。

なお、2008年度以降に大学が導入を予定している昇給査定(評価の低い者はゼロ昇給、半分の昇給)について、組合は従来の特昇に相当する一部のプラス査定にとどめるように要求していますが、今回はその前段の評価基準をめぐる議論にとどまりました。

●附属学校園教員の給与水準改善・・・・学長が強い意志を表明●

附属学校園(教育学部附属小学校・中学校・養護学校・幼稚園)の教員と群馬県公立学校園の教員との待遇格差が大きく、県教育委員会(公立学校園)と附属学校園との人事交流に支障を来すような事態になっています。組合は、従来から附属学校教員の待遇改善を訴えてきましたが、今回の交渉で、学長が改善に向けて強い意志を表明しました。このことは評価できることです。ただし、地方公務員の給与問題に対する群馬県の対応を見定めてから2007年度早いうちに、ということですから、県の引き下げ待ちの姿勢とも言えます。

●不払い残業・・・・予算を追加してでも支払うべきものと大学側●

組合等による不払い残業への批判に対して、大学は4月から時間外労働の事前申請方式を実施していますが、実態は新方式の趣旨(不払い残業ゼロ)を実現するにはほど遠い現状にあります。具体的事例を挙げた組合の批判に対して、大学側はそうした実態のあることを認めたうえで、新方式の趣旨を徹底し、職場の実態に合わせて「ひとつひとつ潰してゆくしかない」との姿勢を示しました。このことは評価に値します。また、必要な場合に予算措置をとるべきこと、労使協定(36協定)の定める上限の時間数(月45時間、年360時間)を超えた場合でも残業手当の支払い義務があることについても、組合と大学の考え方は一致しました。だたし問題は原則の確認ではなく、職場の実態に合わせて具体的にどう対応してゆくかであり、すべてこれからの課題となります。

●日々雇用職員の雇用期限・・・・大学側、改善に向けた検討を約束●

今年日々雇用職員の3年を超える雇用の取り扱いが定められたことは基本的に評価できることですが、内容的には対象範囲が狭く限定されており、しかも6年までを原則とするもので、待遇改善としてきわめて不十分なものでした。組合との議論のなかで、大学は今回の取り扱いが中間的な判断であることを認め、今後のいっそうの改善に向けた検討を約束しました。今回の団体交渉の成果といえます。

●学長選考の民主化・・・・学長は投票による選考を真っ向から否定●

今秋の学長選考に対する組合の要求・提案については、学長と組合の意見がまったく折り合わず、厳しいやりとりとなりました。上に掲載した懇談項目III(1)にあるように、組合の要求は、学長選考規程にある「意向聴取投票」を実質的に意味のある投票にするための最低限の提案でしたが、学長はそもそも投票によって教職員の意向を集約することに、まったく否定的であることが明らかになりました。

「みなさんの考え方は町中の選挙をそのまま大学に持ち込んでいる。投票だけが民主主義ではない。」「民間の会社で社長を投票で決めているところはない。」「日本の大学がだめなのは直接選挙のせい。」これが学長の考えです。

組合としては、昨年秋、ほとんど一般教職員が誰も知らないうちに決定されてしまった現行の学長選考規程および実施細則について大きな疑問をもっています。しかしながら、今回は、その撤回を求めたのではなく、それどころか規程・細則の変更を求めたわけでもありません。ともかく間近に迫っている今秋の選考に当たって、意味のある意向投票にするため、別紙様式第9号(投票用紙の様式)、別紙様式第10号(投票結果の公示様式)の様式を変えるだけで済む、現実的な最低限の提案をしたのです。にもかかわらず、学長の発言は、予想をかけ離れた、投票そのものを頭から否定するものでした。このような学長の議論に面食らって、組合としても建設的な議論を展開できなかった面もあります。

組合の主張は、これまでずっと大学人が当たり前と考えてきたことに過ぎません。学問の自由のもとで一人ひとりの自立した研究者・専門家が真理を追究して集う大学という場において、学長のリーダーシップと権威は、一人ひとりの大学構成員の意思に基づかなければあり得ない、ということです。実際、今もほとんどの国立大学法人では、あるいは多くの私立大学でも、学長選考にあたって大学構成員による投票制度を生かしており、少なからぬ大学では、法人化以前にも増して投票の範囲を拡大するなど、投票制度をより重視しているのが実情です。本学の学長選考規程についても、より根元的なところから今後の議論を尽くしていかなければならないと感じます。その点では、残念ながら今回の交渉は、学長との大きな隔たりを確認したにとどまりました。

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不払い残業が次々に明るみに ― 全国の国立大学で、群馬の民間企業で

時間外労働・休日労働について賃金を支払っていなかったとして、国立大学が労働基準監督署から是正勧告を受け、高額の手当を事後的に支給する例が相次いでいます。この半年に報道されたものだけでも、新潟大学、長崎大学、香川大学、弘前大学、富山大学、筑波大学の事例があります。不払い額は、対象となった期間の長さにより異なっていますが、いずれも高額です(詳しくは下の表をご参照下さい)。このうち、新潟大学は、入試に際しての教員の休日出勤にかかわるものです。また、つい最近の群馬県内のニュースでは、群馬銀行が前橋労働基準監督署から指導を受けて調査を行い、3250人の従業員について不払い残業があったことを確認し、約12億円を支給した、というものがありました。

群馬大学当局には、労働基準監督署から言われる前に、しっかりと実態を把握し、支払うべきものはきちんと支払うことを期待したいものです。

 是正勧告対象教職員数不払い時間数不払い(追加支給)額
新潟大学新潟労働基準監督署から  1000万円超
長崎大学長崎労働基準監督署から531人 6700万円
香川大学高松労働基準監督署から595人約50000時間1億3200万円
弘前大学弘前労働基準監督署から822人14740時間2960万円
富山大学富山労働基準監督署から245人 4234万円
筑波大学土浦労働基準監督署から354人約40000時間1億0395万円
※ 空欄は、新聞記事からはわからないもの。
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データでみる群馬大学の給与の低さ

団体交渉の場で組合が再三にわたって指摘しているように、群馬大学の教職員の給与水準は、国家公務員や 他の国立大学と比べてかなり低く、民間と比べるとさらに大きな格差がみられます。以下にデータを掲載しま す。余計なコメントは差し控えますので、じっくりとご覧下さい。

国家公務員・他の国立大学法人等を比べると...

文部科学省が発表した「国立大学法人等の役職員の給与等の水準(平成17年度版)」 から、群馬大学の数値を抜き出し、全法人の数値と並べてみました。

  平均年齢平均年間給与対国家公務員*対他法人*
事務・技術職員群馬大学44.6歳5876千円83.9(全91法人中68位)96.8
全法人43.6歳5980千円86.9
大学教員等群馬大学47.5歳8646千円95.8(全91法人中76位)94.5
全法人47.6歳9168千円101.3
医療職員(看護師)群馬大学34.7歳4610千円91.7(全42法人中42位)94.3
全法人36.5歳5100千円97.4
* どちらも、年齢構成別人員構成をウエイトとして用いて算出されたラスパイレス指数。なお、「大学教員等」の比較対象とされた国家公務員の給与は、法人化前の国立大学教員のそれです。

私立大学教員・民間の看護職員の月給と比べると...

「平成18年人事院勧告」の附属資料(民間給与)から大学教員と看護職員の月給の数値を抜き出し、「国立大学法人群馬大学の役職員の報酬・給与等について」に示されている数値から算出した群馬大学の平均月給額と並べました。なお、事務・技術職員については、民間給与のデータに大学等に限定したものがなく業種が幅広くなりすぎるので、ここでは取り上げません。

民間給与(2006年4月分平均支給額)群馬大学(2005年度月あたり平均支給額)**
 平均年齢支給額 平均年齢支給額
学長66.4999947円学長114.5万円
副学長60.5835041円常勤理事94.8万円
 
教授
助教授
講師
助手
 
55.9
45.9
42.1
37.7
 
742827円
594476円
516516円
431666円
大学教員
 教授
 助教授
 講師
 助手
47.5
55.7
46.3

38.7
52.0万円
63.3万円
50.4万円

38.8万円
 
看護師長
 
看護師
 
46.2
 
34.0
 
425963円
 
333899円
病院看護師
看護師長
副看護師長
看護師
42.1
49.8
42.1
31.0
28.2万円
39.7万円
34.6万円
25.0万円
**「(年間総支給額−賞与)÷12」として算出。「大学教員」と「病院看護師」のそれぞれの中の職種については、年間総支給額中の賞与の比率が同じものとして算出。
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全大教第38回定期大会に参加して 狩野源三(副委員長)

7月29日、30日の両日、東京で開催された全国大学高専教職員組合(全大教)第38回定期大会に参加して来ました。

日教組と全教代表が連帯の挨拶

議事に入る前に来賓の挨拶がありましたが、今年は私大教連の代表とともに日教組副委員長と全教委員長が出席し、連帯の挨拶を行いました。教育基本法を巡る最近の情勢の反映でしょうが、このようなことは初めてのことと思われます。全大教結成時、日教組と全教の対立が激しくなる中で、全大教はどの上部組織にも属さず中立を貫き、将来、教職員組合運動の大同団結を目指すと言っていたことが、思い起こされました。

組合員が増勢に/公大連の発足

第一日目は、1号議案の2006年度納入人員確定承認の件で一部代議員から意見が出され、長時間の論議になりました。今年度、組合員の実数は増勢に転じ、34大学・高専で納入人員増を行っていますが、全大教への納入人員は減となりました。組合員が増えたものの退職者の組合費を補填するまでに至らず財政的に苦しいところや減員になったところがあったことと、ある公立大が大幅な減員申請をしてきた事によるものです。論議は後者に集中しました。人員については引き続き当該組合と協議すると言うことで決着しましたが、この背景には、公立大の組合が新たに公大連を結成し、この公立大が事務局を担当、財政的にも人員的にもこれを支えることになったという事情があります。公大連には全大教公立大学協議会参加校の倍の大学が結集しているとのことで、大局的に見れば運動の発展です。公大連が成長発展し、全大教との関係が整理されるまでの、過渡的な問題かと思われました。いずれにしても、大学の組合が設置形態別に3つの組織に再編成され、それが連帯しつつ活動を展開するということになるようです。

組織・財政問題や諸課題で率直な議論の応酬

第一日目の後半は、2006年度運動方針と「全大教と単組の組織拡大・財政改革」に関する件の提案があり、質疑が行われました。二日目も昼までこれらについて質疑、討論が続けられ、多くの代議員から率直な発言が相次ぎ、修正案もいくつか提出されました。

執行部からは、人勧準拠を打破する闘いの重要性や高等教育への社会的応援団形成の提起、厳しい財政の下で節減を図りつつも必要なところには手当をして、過半数組合を目指す組織拡大計画の提案がありました。

討議では、地域給により大学間でも新たな格差が生じ、地方大学では人材確保が難しくなりつつある問題、助教等の新たな教員制度の問題、評価基準も未確立・未成熟な現状で査定給制度を導入する問題、人件費5%削減問題、サービス残業の問題、事務幹部人事の在り方、病院の現状と取り組みなど、大学・高専が抱える様々な問題が出されました。

国大協が作成した「教員給与に関する参考モデル給与表」に関連し、国大協が経営者団体としての機能が弱い問題、交渉の席につかせる問題も論議されました。また、職場でうつ病が増えているが、3か月の休暇では病気は治らないので、結核並みの1年に延長させる必要があるとの修正提案があり、メンタルヘルス対策を要求に加えることになりました。一方的な不利益変更に対し、単組や組合員が労働委員会への申立や裁判闘争を行う場合の支援についても追加提案があり、一部修正の上、採用されました。

組合員拡大の取り組みについては、琉球大学から発言がありましたが、時間が足りず、拡大に成果を上げている大学や過半数を実現した高専・大学の経験や教訓についてあまり聞くことができませんでした。本学の経験についても発言してこいと言われて出かけましたが、紹介出来ませんでした(病院問題や幹部人事の在り方では発言してきました)。

その後、旅費規程等の改正や予算を承認、補充役員を選出。最後に「労使交渉・協議を軸に、全国的諸要求の前進、自立的な賃金体系をめざし奮闘すること」「組合がその力量を高め、大学の中での発言力を強化することが、われわれの労働環境を守り、また高等教育をよりよいものにしていくことを認識し、『過半数組合づくり』をめざして、組織拡大に総力をあげること」「憲法・教育基本法改悪に反対し、一層幅広い協同をすすめること」「公的セクターへのバッシングと闘うためには、高等教育への社会的応援団形成をはじめ、大きな潮の流れを変え、正していく取り組みがともに必要であること」を内容とする特別決議を採択し、終了しました。

増勢の勢いを更に大きく/過半数組合づくりに向け意志統一

大会では、代議員と執行部、あるいは代議員間で率直な意見の応酬があり、議事を中断し執行部が協議するような場面もありました。法人化後2年を経過し、苦闘している現状が現れているようでした。議論を尽くし、多くの修正意見を取り入れるなど執行部も柔軟な姿勢で対処しておりました。最終的に、組織・財政を立て直し、ようやく増勢になった組合員拡大の流れを更に大きくして、過半数組合づくりに向けて頑張ろうと意志統一出来たことで、ハードな2日間の疲れも報われたような気分になりました。なお、個人的には、懐かしい友人と会うことができ、また、近隣の大学等の皆さんとも情報交換ができたことがうれしいことでした。

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県内の教育関連団体と共同で、教育基本法改悪反対アピール

現在開会中の国会では、政府提出の教育基本法改正案が最大の争点になっています。去る5月19日、本組合は、群馬県内の教育関連5団体(創造学園大学教職員組合、群馬県高等学校教職員組合、全群馬教職員組合、群馬県学校事務労働組合、全国福祉保育労働組合群馬県支部)と共同で、教育基本法の改悪に反対するアピールを出しましたので、ご紹介します。ご一読下さい。


「教育基本法の改悪反対・改悪法案の廃案」に向かって
父母・教職員・県民の皆さんへの緊急アピール

子どもたちの健やかな成長とゆきとどいた教育を実現したいと願う父母・教職員・県民の皆さんに、緊急に呼びかけます。

教育基本法は憲法の掲げる「理想の実現は根本において教育の力にまつべきもの」として1947年に制定されました。憲法が日本の平和と民主主義を貫く柱であるのと同様、学校や地域で守るべき教育の根本を解明し、普遍的な教育の在り方を宣言した、いわば「教育の憲法」に相当するものです。

教育の目的として「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者」を育成することを謳い、その目的を達成するために「学問の自由を尊重」しなければならないこと、国民は、「ひとしく、能力に応」じて差別の無い教育を受けられる機会が保障されていること、義務教育を受けさせる義務があることを明示しています。また男女共学の必要性、学校教育や社会教育のあり方を規定し、さらに教育が「不当な支配に服する」ことを制し、教育行政に「必要な諸条件の整備確立」を義務づけています。

これらの内容が完全に実行されれば少人数学級実現は当たり前のことになり、教職員の創造的な教育活動が保障され、子どもたち一人ひとりの成長や能力の開花が促される教育になるはずです。

ところが、今までの教育行政は憲法・教育基本法を無視し、子どもたちに競争を押し付け、差別や選別の制度を強め、子どもたちの人間性や人格を歪め、点数や「学力」だけを重視するような政策をすすめてきたのです。さらに、「いじめやニートが増えることや耐震強度偽装が起こることは教育基本法に根源がある」という荒唐無稽な論理を前提に、国民不在の密室協議をすすめて、政府与党は改悪法案を国会に提出しました。このままでは、憲法と教育基本法の改悪がセットになり、日本を再び「戦争する国」に変え、「戦争する人」づくりがすすめられることは明白です。

こういう事態のもと、「教育基本法の改悪は許さない、憲法や教育基本法を生かす学校や教育をつくりだそう」という主旨に賛同した、幼児期から青年期までの教育に携わる県内の教育関係組織・団体が共同し、連名のアピールを発表することになりました。

皆さん。子どもたち一人ひとりは「世界に一つだけの」かけがえのない存在です。子どもたちの確かな人格の形成と成長が保障される社会を守っていくことは大人の責任です。今こそ教育基本法をみんなで読み、話し合い、子どもたちの未来を閉ざさせないために、教育基本法の改悪を許さないとりくみをすすめましょう。そして、教育基本法改悪法案の廃案に向けて、大きな声を上げていきましょう。

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リレー・エッセイ「あんな仕事、こんな仕事」その4

工学部の衛生管理

労働安全衛生法では、業種を問うことなく、50人以上の労働者を使用する事業所では、衛生管理者と呼ばれる者を一定の資格者等の中から必ず指名しなければならない。工学部では、私を含め多くの教職員が法人化直前に大学から受験料等を負担してもらえるということで衛生管理者資格を取得し、私個人は他の2名の教職員と共に法人化の際に桐生事業場の衛生管理者として大学から指名された。

衛生管理者の用務は、その名の通り職場内の衛生状態を保持することにある。具体的な用務として、週1回以上の職場巡視があって、法令で義務づけられているが、私も含めて本務が他にある関係で、週1回の巡視は実質無理なので、実際は月に1回程度の頻度で行われている。ただ、限られた時間の中で、それなり以上の活動はできているだろうとは思っている。有機溶剤、特定化学物質等にかかる特殊健康診断は、衛生管理者を主要な構成メンバーとする安全衛生委員会の主導で進められているし、事業場内の喫煙対策も、衛生管理者を中心に安全衛生委員会の主導で進められている。

(安全)衛生委員会というのは、労働安全衛生法によって設置を義務づけられている委員会で、それぞれの事業場のトップを総括(安全)衛生管理者として、法定数の衛生管理者、産業医を必ず選任する必要がある。必要であれば、作業環境測定士を選任しても良いし、作業主任者、あるいは特に資格のない者を職場代表者として指名しても差し支えない。委員会は、法令によって月に1回以上の開催を義務づけられており、議事録は3年間の保管が義務づけられている(桐生事業場安全衛生員会の議事録は、今年4月以降Webページでも公開されている。http://www.tech.gunma-u.ac.jp/local/Staffs/indexStaffs.html)。また、一定の有害業務等のうち、法令で定められたものは「作業環境測定士」が有害物質等の環境濃度を測定する必要がある。作業環境測定士には1種、2種の免許があり、全部の行程を行う場合は1種免許が必要である。昨年までは、年2回の測定を外注で行っていたが、今年12名の1種の作業環境測定士の誕生によって、工学部教職員による自前の作業環境測定が始まった。

こういったシステムは、一般労働法にのみに存在するシステムだと誤解される場合がある。しかし、国家公務員法や人事院規則も、基本的には一般労働法に準じた法令であるので、労働安全衛生法とほぼ同様の規定がある。例えば、衛生管理者に相当するものとして「健康管理者」というのがある。産業医は「健康管理医」に相当するし、作業主任者は「危険防止主任者」が相当する。特定の有害業務にかかる作業環境測定も、ほぼ同義の規定が存在する(人事院規則一〇―四(職員の保健及び安全保持))。国家公務員とて労働者である。民間であろうと公務員であろうと、安全衛生の基本理念に違いはない。違いがあるとすれば、対応する人事院規則には違反に対する罰則規定がないことくらいである。

具体的活動を一例挙げておきたい。昨年、クボタ旧神崎工場における石綿公害騒ぎが社会的に問題になり、文科省の指示で全国の教育機関において石綿使用調査が行われたが、その過程で本学でも吹きつけ材等として一部使用が明らかになり、除去作業が行われている。当初は学内には石綿関連業務に従事した者は公式にはいないとされていたが、数人の教職員から取り扱い作業を経験したという申し出があったため、委員会で実態調査を行った。石綿による健康障害は非常に潜伏期間が長く、例えば悪性中皮腫を発症するまでに最長で52.2年という報告もある。これを踏まえ在職者の他、退職者等についても追跡調査を行った。詳しい説明は略すが、回答者196名のうち、軽微なものを含め、40名の方に取り扱い業務の経験があると回答された。これは、意外な数値だ。

法人化は、雇用者と被雇用者との違いを意識させ、労使の自治を促すという“効果”がある。異論を承知で言わせてもらえば、安全・衛生面を含め、労働条件の構築や議論がまともにできるようになったのは“法人化の恩恵”と言えなくもない。

(技術職員 T)
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