II-46号 2007.8.1.発行
【目次】山西委員長から荒木委員長へバトンタッチ2007年度定期大会の報告新任と連帯のご挨拶(新委員長 荒木詳二)団体交渉の積み重ねで一歩ずつ前進−2006年度第4回団体交渉報告

山西委員長から荒木委員長へバトンタッチ
6月25日の定期大会で,新執行部が選ばれました

活動することで大学を創る力となる〈委員長退任のごあいさつ〉
山西哲郎(前委員長/教育学部)

「生きること,それは呼吸することではなく,活動することだ」(ルソー)

「われわれ組合は大学にとって足のような存在」といって委員長になって2年過ぎました。そして,その任務を終えるときの一言は「組合とは,単に存在することではなく,活動をすることによって,初めて大学を創る力となる」ということです。

この4月に実現した附属学校園教員の給与水準の引き上げは,一昨年の研究集会に参加し,他大学の状況を直接聞くことができたからの行動の成果でした。それは,組合員の拡大,地域手当3%....と解決しなければならないことのほとんどは,動くという活動によって我々のなかから湧き出る力で一歩一歩達成に近づく,ということにもいえることです。また,運営費交付金の競争的資金化を平然と唱える政府に対しても,われら組合に留まらない主張で,大学人として,いや,大学とは何かを市民とともに語り行動をともにしなければならないと思います。

昨年の一橋大学での集会で,「当局と組合が民主的な関係で存在していることが,緑豊かなキャンパスと同様に一橋の特長である」と学長があいさつで述べられたことは,わが大学に欠けている法人としての大学の民主的精神であります。まだまだ組合員は少ない現状のなかで,組合員になるべき権利と責任を説きながら,これからも民主的な風を吹かせていきたいものです。

ともかく,委員長として,多くの職場の教職員や学生の方々に会え,語り合い,喜怒哀楽をともにしながら,互いに新たな視点を見つけられたことに感謝しています。今後は荒木委員長や中央執行委員会の役員を支えるべく,手足となって組合活動を続けていくつもりです。皆様,ありがとうございました。

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2007年度定期大会の報告
豊泉周治(前書記長/教育学部)

2007年度定期大会は,6月25日(月)19時より,昭和キャンパス医学部大会議室において開催されました。議長に山崎雄介氏(荒牧),阿部正樹氏(昭和),書記に柴内香織氏(桐生)を選出し,山西執行委員長の挨拶の後,前年度活動報告,今年度活動方針を中心とする7つの議案について活発な討議が行われました。以下,議案と討議の概要を報告します。

■第1号議案 2006年度活動報告(案)

書記長より,議案書に即して大学を取りまく情勢,中央執行委員会の活動,支部・専門部の活動について報告しました。

大学を取りまく情勢として,@昨年末の教育基本法の改定,今年5月の国民投票法の成立など,戦後の教育研究,学問の基盤が大きく転換されつつあること,A法人化による大学の経営基盤の弱体化に加え,さらに運営費交付金までも「競争的資金化」する動きが強まっていること,B群馬大学では教職員の意向を汲まない学長選考制度のもとで現学長が再任され,教職員と学長・役員会との乖離が進んでいること等を報告しました。一方,このような情勢の下,組合活動の重要性と組合への期待も高まっており,昭和支部を中心に組合員の拡大が進み,大学との交渉もしだいに軌道に乗りつつあることを併せて報告しました。

中央執行委員会の活動としては,まず第一に,4回にわたる団体交渉の成果を報告しました。(1)地域手当について「3%をめざして検討を続ける」という姿勢を引き出したこと,(2)附属学校園教員の給与を県の水準にまで改善したこと,(3)非常勤職員の夏期特別休暇の改善を実現したこと,(4)休息時間廃止による労働条件改悪を実質的に阻止したこと,(5)非常勤職員を対象とする職員採用試験の実施を実現したこと等です。さらに大会直前の4回目の団体交渉では,(6)技術職員の給与改善に向けて検討を進めること,(7)現場に即した休日労働の扱いについて組合との協議を進めることが合意され,これらの点を口答で補足しました。

第二に,学長選考への取り組みについて報告しました。第1回団体交渉での学長への申し入れ,学長選考会議への意向投票実施の申し入れ,意向投票に際しての学長への公開質問状など,現行選考制度の問題点を教職員に周知し,よりましな学長選考とすることを目ざした昨年の一連の取り組みについて報告しました。また今年6月には,学長再任後の新規の学長選考会議に要望書を提出し,学長選考制度の抜本的な見直しを提案したことを報告しました。

支部・専門部の活動については書記長から概略を報告し,鹿田昭和支部書記長,山崎荒牧支部書記長,横尾桐生支部書記長から具体的な活動状況が報告されました。

■第2号議案 2006年度決算(案)

松村委員より,議案書に基づき報告されました。

■第3号議案 2006年度会計監査報告(案)

石川会計監査委員より,決算案に相違がないことを確認したとの報告がなされました。

 

以上の3議案について,一括して討論がなされました。決算報告(案)の人件費支出に関連して専従書記のサービス残業の有無について質問があり,書記長より「超過勤務分を支給しているが十全ではない面があり,今後は超過勤務分を正確に把握し是正してゆきたい」と回答しました。また,議長より休息時間に関して,従来どおり適宜休息を取って差し支えないことになっているが今までと変わった職場があるかとの質問がありましたが,特に「変わった」という回答はありませんでした。

以上の討論を踏まえ,第1号から第3号議案まで,拍手多数により採択されました。

■第4号議案 2007年度活動方針(案)

書記長より議案書に基づいて活動方針を提案しました。第一に,賃金・労働条件の改善要求。地域手当3%の要求や時間外休日労働,評価と査定の問題など,全職層にわたる要求と各職層毎の要求とを整理して提案しました。第二に,新規加入者組合費2000円キャンペーン2年目の活動を継続して過半数組合をめざす方針を再確認しました。第3に,学長選考制度の見直し要求や,運営費交付金の競争的資金化や教育基本法に基づく法改正,改憲に向けた動きへの反対など,大学の民主的な発展・充実のための活動を提案しました。

■第5号議案 2007年度予算(案)

松村会計より,議案書に基づき提案されました。

以上の2議案について一括して討議がなされました。

特に討論になったのは,活動方針(案)の「3 群馬大学の民主的な発展,大学・高等教育の充実・発展のための活動」のなかの,「新教育基本法に基づく法改正の動き,改憲に向けた動きに対しては,全大教等と連携して反対行動に取り組みます」の箇所でした。組合員でも改憲に賛成の人もいると思われるため,活動方針とすることの妥当性について質問があり,書記長より「大学・高等教育の充実・発展に逆行する」改憲に反対するとの趣旨であると説明がなされました。この点をめぐって活発な意見交換があり,「教育基本法だけで十分で,改憲は不要」「過半数組合を目指すなら,個人的に意見が分かれる問題は掲げない方がよい」という意見と,「根になっているのは憲法なので入れていい」「組合員運動が戦争の反省から出てきたことを鑑みて入れた方がよい」という意見が交わされました。

一連の議論を踏まえて,執行部より,「改憲」の語を削除し「等」を入れて「新教育基本法に基づく法改正の動き等に対しては,(中略)反対行動に取り組みます。」とし,「等」の中に憲法の問題についてこれから組合がどう行動していくか考えて議論することを含める,という修正案が提案されました。

以上の討論を踏まえ,第4号議案については修正提案のとおり,第5号議案は原案どおり,拍手多数で採択されました。

■第6号議案 新規加入キャンペーンおよび組 合費引き下げ・統一

書記長より,新規加入者組合費2000円キャンペーンの継続,組合費の引き下げ・統一の見通しについての検討結果,統一組合費の「目標」額の変更と統一までの年度毎の進め方について,提案しました。

討論では,提案の内容について補足説明を求める若干の質問があり,それぞれ回答の後,第6号議案は原案どおり,拍手多数で採択されました。

■第7号議案 2007年度役員選挙結果および承認

箱田選挙管理委員より,6月14日に開票が行われ,投票率は66.7%,97%の圧倒的多数で全候補者が信任されたとの選挙結果が報告され,承認されました。

新しい中央執行委員は,執行委員長・荒木詳二(荒牧),副執行委員長・石川巧一(昭和),書記長・山崎雄介(荒牧),書記次長・上野耕平(昭和),会計・松村雅夫(桐生),執行委員・野村隆浩(昭和),岩永健司(荒牧),横尾享弘(桐生),以上の皆さんです。


以上で,すべての議事を終了し,2006年度役員を代表して山西委員長より退任挨拶,荒木新委員長より就任挨拶と新役員紹介がありました。

山西委員長のこの2年間,昭和支部を中心に組合員の拡大が進み,まだまだとはいえ大学との関係でも組合の交渉力は着実に前進しています。荒木新委員長を中心に,さらに組合を大きくし,「群大ノ未来ツクル」ための「新しい挑戦」をともに進めたいと思います。

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新任と連帯のご挨拶
荒木詳二(新委員長/社会情報学部)

荒木新委員長

群馬大教職員組合の皆さん、今年度中央執行委員長の荒木から新任と連帯のご挨拶を申し上げます。この一年、皆さんとともに、群馬大学に働く仲間の労働環境の改善に努めていきたいと思います。

またこの場を借りまして、前年度の中央執行委員の皆さん、とりわけ山西委員長と豊泉書記長に心からお礼を申し上げたいと思います。私どもは、皆さんの築かれた基礎の上に立って、組合活動を進めていきます。

現在運営交付金の競争的配分問題など地方国立大学は、まさしく北風に晒されてはいますが、どっこい赤城おろしに慣れた私たちは、連帯して明るく元気に世の荒波と戦っていこうではありませんか。

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団体交渉の積み重ねで一歩ずつ前進−2006年度第4回団体交渉報告−

6月20日(水),2006年度第4回の団体交渉が行われました。大学からは鈴木学長,谷本総務担当理事,石川総務部長ほかが出席,組合からは山西委員長はじめ中央執行委員会役員等9名が出席しました。午前10時20分から2時間余り,組合の交渉要求項目に従って,学長・局長の意向を質し,要求実現を求めて精力的に交渉を行いました。従来,定期大会前のこの時期には団体交渉を行っていませんでしたが,今年は執行部が変わる前に,この1年間の交渉の積み重ねを基に課題を一歩でも進め,新執行部にバトンタッチしたいとの意図で交渉を要求し,開催となりました。

●学長,地域手当「3%を目指して検討を続ける」方針を明言

交渉の成果として,まず「一歩前進」と言えるのは,地域手当について,学長に「3%を目指して検討を続ける」という大学の方針を明言させたことです。前回交渉の合意は「3%以上の支給について今後も交渉を続ける」というものでした。「3%を目指す」とは言えないのかという組合の追及に,学長は断固として「言えない」と回答していたわけですから,今回の交渉は3%の実現に向けて,大きな転機となりました。

●技術系職員の給与改善にも意欲

一般職職員の国家公務員との格差是正を求める要求についても,意欲的な回答を引き出すことができました。一般職のなかでも,とりわけ5級昇格の道が厳しい技術系職員について,大学は一般職とは別に独自の俸給表を検討することも含めて,改善の方途を探る姿勢を明らかにしました。前回は「職種に応じた具体的検討も含めて,人事制度全体の中で改善を図ってゆく」という漠然として回答でしたから,これはかなりの「一歩前進」と言えます。それ以外の要求では,超過勤務問題に関して,事前申請方式導入後1年目の超勤の実態について調査することを約束したこと,休日労働の代償措置のあり方について,各職場の実情を踏まえて組合と協議を行うとしたこと,助教の任期に関する附則の不十分な表記を改めるとしたこと等が挙げられます。

●大学側も組合との関係を尊重

限られた交渉時間のなかで突っ込んだ意見の応酬ができたのは,多くの要求項目のなかでも以上のような一部の要求にとどまりましたが,それ以外の要求についても,組合側の主張を突きつけ,大学側に回答を求め,諸々の改善を要求しました。なかには改善の見通しが容易に開けそうもない問題もありますが,全般的に見て建設的な討論となり,この間,組合との交渉関係を尊重する大学側の姿勢が見えてきたと感じます。この4月に実現した附属学校教員の給与引き上げ,非常勤職員の夏期特別休暇の改善,非常勤職員対象の職員採用試験など,そうした姿勢の現れであり,法人化以降の組合活動の成果です。団体交渉によって教職員みずからが労働条件を改善してゆくこと ─ そうした組合活動の発展に向けて,「一歩前進」です。

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