II-47号 2008.2.25発行 | |
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群大ノ未来ツクル 新しい現実 新しい挑戦 |
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「4月から全キャンパスで地域手当を3%に」− 団交で学長が方針を言明
1月28日に行われた団体交渉で,学長は,全キャンパスで地域手当を3%に引き上げる方針を言明しました。この方針を経営協議会に提案し,就業規則(給与規則)を改定して,4月から実施するとのことです。組合がねばり強く要求し交渉を続けたことで,人事院勧告を上回る水準での地域手当支給が実現する見通しとなりました。以下で,これまでの経緯を振り返ってお伝えします。なお,他の事項を含む今回の団体交渉の詳細については,あらためてお知らせします。
●2005年の人事院勧告を受け,2006年度から給与水準引き下げ強行
2005年8月15日の人事院勧告は,「給与構造の改革」の名の下に国家公務員給与の大幅引き下げを打ち出しました。「官民格差」を理由に平均4.8%引き下げる(若手係員層は引き下げず,中高齢層で7%引き下げる)というものです。また,民間賃金の地域間格差を反映させると称して,調整手当に替えて地域手当を設定することも掲げました。地域手当の支給区分は3〜18%で,前橋・太田は3%,桐生はゼロです。引き下げは5年間かけて段階的に実施し,原給は保障する代わりに昇給の抑制で実質的に給与水準を引き下げます。
2004年度から国立大学が法人化され教職員は国家公務員でなくなったので,群馬大学は人事院勧告の対象ではありません。組合も,団体交渉等を通じて,引き下げるべき理由のないことを強く主張し,2005年12月には,引き下げに反対する教職員681名の署名も提出しました(署名者はその後も増えて700名を超えました)。それにもかかわらず,群馬大学の経営陣は,国家公務員と同じ給与水準引き下げを2006年度から強行しました。
●地域手当をめぐって,ねばり強い交渉の継続
地域手当については,組合は前橋と桐生で給与が違うのは不適切だと指摘し,全キャンパスで3%以上とすることを要求しました。桐生キャンパスからは,同じ趣旨の署名が教職員の3分の2を超える賛同を集めて2006年3月に提出されました。
これに対して経営陣は,キャンパス間の格差を設けることは断念したものの,「前橋3%,桐生ゼロ」とした場合の総額を平均した「前橋・桐生とも2.4%」という方針を決め,2006年4月から地域手当を導入しました。これは何の経営努力もせずに,前橋地区の教職員に犠牲を押しつけることで格差の発生を回避するもので,組合は強く批判しました。
地域手当は,2006年度は1%,2007年度は2%と段階的に導入されました。群馬大学経営陣の考え方では,2008年度に2.4%で完成する予定でした。組合は「全キャンパス3%以上」を要求して,経営陣との交渉を繰り返しました。その中で,2006年8月には「大学及び組合は,前橋,桐生両地区の3%以上の支給について今後も交渉を続ける」という合意に達しました。そして2007年2月には「2.4%を超えて,できるだけ上げる方向で」,さらに6月にはより明確に「3%をめざして検討を続ける」という学長の回答を引き出しました。
2007年度には,太田キャンパスの誕生と昭和地区での病院看護師増員により,桐生地区の人員比が低下し,経営陣方針でいくとしても2.4%ではおさまらない状況になっていました。組合は,「群馬大学の給与水準が低いこと(たとえば病院看護師の給与水準は,国立大学法人中最下位)に照らしても,最低でも全キャンパス3%にするべき」との考えにたってさらに交渉を重ね,今回の学長回答に至ったものです。
●組合の道理ある主張は,労働条件を改善する
もし組合がなかったら,あるいはあったとしても「全キャンパス3%以上」を主張しつづけなかったら,群馬大学の経営陣は,地域手当を「前橋・太田3%,桐生ゼロ」か「全キャンパス2.4%」程度にしたでしょう。2007年4月から付属学校園教員の給与が引き上げられたことにつづく,大きな成果です。組合に多くの教職員が結集し,道理ある主張をすることは,労働条件を改善する大きな力をもっています。そのことが事実で示された地域手当問題でした。
全大教の教職員研究集会に参加−本組合からも3本のレポート−
昨年9月22日から24日にかけての3日間,全大教(全国大学高専教職員組合)の教職員研究集会が,京都大学を会場に開催されました。この集会は全大教が毎年開いているもので,大学をめぐる諸問題を全国の大学関係者が集まって議論する学会のような場です。今回の集会には,65の大学・高専・共同利用機関から302人が集まりました。群馬大学教職員組合のメンバーからも3本のレポートが提出され,それぞれ注目を集めました。以下では,レポート担当者から,集会の様子をお知らせします。
「過半数を目指す組織づくりと組合のありかた」分科会
荒木詳二(委員長/社会情報学部)
2007年度の全大教教職員研究集会の最重要テーマの一つは組合員拡大でした。ご存知のとおり,全大教は昨年の第38回定期大会において,5年間で純増11000人の組合員拡大を目標として掲げております。同時に「大学・高等教育機関の危機打開」のために,過半数組合の実現を目指す活動を全国的に繰り広げております。
こうした組合員拡大の全国キャンペーンのなか,分科会「過半数を目指す組織づくりと組合のありかた」では,過半数組合を実現している京都工繊大や,医学部で大幅な組合拡大を実現した京大や群馬大,さらにユニークな組合員拡大活動を展開している東北大教職組理学部支部がレポートしました。分科会参加者は20名程度で若干少なかったものの,報告後の活発な質疑応答には各大学・高専のこの問題に関する関心の深さが感じられました。
すでに過半数組合を達成し安定過半数を目指す京都工繊大学の岡田書記次長の報告は,同じく過半数組合実現を目指す他大学にとっても大きな示唆に富んだものでした。とくに法人化を迎えた2003〜04年度の活動はすさまじく,「全職員に毎週ニュースを配布し,公務員の世界から契約の世界へ移行することの意味,過半数組合の意義を訴え続け,勧誘対象者を明確化し,集中して組合員拡大を行った」との報告は,聞く人のハートを熱くさせるものがありました。
群大教職組からは,私が拡大成功の原因を,医学部PR委員会の熱心かつ地道な運動,オリエンテーションへの参加,組合の核つくりの重要性,組合費徴収の簡素化などを説明し,京大大教職組の大綱氏は「要求の実現」と「組合員の拡大」のスパイラルの確立の必要性を強調しました。東北大教職組理学部支部からは,助教任期制やパートの任期制の問題で徐々に組合員拡大を実現したこと,さらに落語公演,日フィルとの連携や昼食懇談会やビアパーティーといった企画を利用した広報活動が紹介されました。
「教職員の労働環境」分科会,「技術職員」分科会
横尾享弘(中央執行委員・桐生支部書記長/工学部)
京都大学にて行われた全大教の教研集会に,全日程出席させていただいた。今回で4回目となる。
分科会については,前半の「教職員の労働環境」分科会及び,後半の「技術職員」分科会に出席した。「教職員の労働環境」分科会では,桐生支部内で昨年度に行った労働条件等アンケートについて要旨を報告させていただいた。超過勤務の件について,東大の出席者から「不払い残業について明白なデータが出ているのに,労基署への申告はしていないのか。個別意見でも出ているようだから,申告するべきではないか」といった意見が寄せられたが,これに対しては「ご指摘の通りだが,全学的に調査範囲を広げる予定であり,その結果を見てから対応しようと考えている」と回答した。(このときは知らなかったが,教研集会直前の9月19日に,すでに群大への労基署の立入調査が行われていた。)
このほか,他大学の話題として,東大から,地域手当に代わる手当として「教育研究連携手当」という名称で,地域手当非対象地域も含めて一律14%支給されることになったとの報告があった。これに関連して「地域手当を取り巻く事情は各大学で全く異なり,各大学だけで取り組むのは限度がある。非支給地域の目線に立った全大教の方針を示していただきたい。」「地域という点に着目するのではなく,全大教が,全国の各国立大学の人材確保,養成していく上で,どういう給与水準が相応しいのか,真剣に議論して提案して欲しい。」との意見が出され,この問題に対して全大教に統一的な取り組みを求める意見が相次いだ。
また,京都大学からは,過重労働・メンタルヘルス不調による休職者の職場復帰への取り組みについての報告があった。質疑応答の中で,「面接指導」制度の運用状況について質問があり,「京大全体で3名の申し出者がいたが,結果をフィードバックできた例はまだない」との回答があった。また補足として,「京大では常勤一般職員1600人のうち,鬱病患者はバス3台分くらいはいるだろうと言われている」との指摘が司会者からあり,問題の深刻さが露わになった。
「技術職員」分科会においては,技術職員組織における人事評価について岩手大学から報告があった。技術職員組織においては,給与に実際に反映させた評価が行われているところは岩手大などごく限られている。この発表については,各出席者から「技術職員が考えた評価基準ではない,これで評価されてはたまらない」といった否定的な意見が多かったが,評価が実際に行われた場合の影響を見る上で大いに参考となった。分科会の後半になると,「技術職員を育てるという視点で技術職員自身の提案によって評価システムを作っていくべき」といった趣旨の意見が多く上がって盛り上がりも見られたが,全般的には,試行段階あるいは試行準備中という大学が多く,結論が出るというところには到らなかった。
あらためて,取り組むべき課題が山積していることを思い知らされた3日間であった。
「教員養成系大学・学部をめぐる諸問題」分科会 〜レポート「教員免許更新制をめぐって」〜
山崎雄介(書記長/教育学部)
●はじめに●
教職員研究集会の「教員養成系大学・学部をめぐる諸問題」分科会に出席し,「教員免許更新制をめぐって―2007夏説明会ツアーとその後―」と題してレポートもしてきましたので,ここにその概要を報告させていただきます。
私自身は教育研究者なので,教研集会というと,小〜高および特別支援学校のそれに共同研究者として参加するというイメージ(ちなみにここ7〜8年,全日本教職員組合のほうの教研集会―2005年度より「みんなで21世紀の未来を開く教育のつどい」と改称―にずっと出ています)しかなかったのですが,今回は初めてレポーターという運びになりました。
分科会では,事前に申請のあった5本+当日持込の1本,計6本のレポートが報告され,内容の内訳は,教職大学院を中心とした改組関係が4本,昨今の「改革病」のもとでの教員養成系大学の危機的状況についてのものが1本,そして私のものでした。 アメリカでは「子どもや学校・教師を叩けば票が取れる」という言い回しがあるそうですが,日本もご多聞にもれず,教育についての見識などまるでない政治家の思いつきが矢継ぎ早に政策化され,それが大学にも多大な影響を―とくに法人化後のトップダウンの運営のもとで―及ぼしています。その最たるものが,群大を含めた20強の大学で来年度開設にむけて設置申請が出された「教職大学院」であり,今回私が報告した「教員免許更新制」です。前者については別途ご報告の機会もあろうかと思いますので,今回は後者について少し詳しく報告します。後述しますが,教育学部以外の先生がたにも影響というか被害を及ぼしかねない問題でもありますので。
●「教員免許更新制」導入の経緯●
「教員免許更新制」は,今世紀初頭から断続的に検討されていましたが,当初,文科省は導入に消極的でした。たとえば2002年2月の中教審答申「今後の教員免許制度の在り方について」では,「教員の適格性確保(とくに不適格教員排除)」「専門性向上」の両面から検討を加えた結果,前者は授与時に適格性審査をしていないこととの整合性に難があり,後者は全員対象(当時はペーパーティーチャー―実際の教職経験の一切ない免許保持者―排除は想定せず)で行った場合にどこまで実効性があるか疑問,といった理由で棚上げになりました。
しかしその後,「教育改革国民会議」など官邸サイドの「改革」圧力におされ,2006年7月の中教審答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」では,導入を前提に形ばかりの「検討」を行った結果,次のように導入の「理由づけ」を行いました。 つまり,「不適格教員排除」色を薄め,「社会構造の急激な変化や,学校や教員に対する期待等に対応して,今後も専門職としての教員であり続けるために,最新の知識・技能を身に付け,更新後の10年間を保証された状態で,自信と誇りを持って教壇に立ち,社会の尊敬と信頼を得ていくという前向きな制度」だ,というわけです。これをうけて,先の第166通常国会で実際に法制化(教育職員免許法および教育公務員特例法の「改正」)されたのは周知のとおりです。
●制度の概要●
「教員免許更新制」の概要3は以下のとおりです。
- 2009年4月1日以降に授与された教員免許(基本的に現在の学部2年生以下の人たちがもらう免許)には10年間の有効期限が付され,10年ごとに更新が必要。
- 免許更新が可能となるのは,「免許状更新講習を受講した者」「知識技能等を勘案して免許管理者が認めた者(免除対象者―具体的には管理職,指導主事,都道府県レベル以上での優秀教員表彰者など)。教職経験の一切ないペーパーティーチャー,指導改善研修(いわゆる「指導力不足教員」対象に今回の教特法「改正」で義務づけられた研修。この結果指導力改善がみられない場合は分限免職もありうる)受講中の教員は更新講習の受講資格はない。ただしペーパーティーチャーについて,免許が完全にパーになるわけではなく,履歴書等への記載は可,また教員採用試験に合格して採用内定等の事態になれば,その時点で受講資格が発生する。
- 免許状更新講習は「教員として必要な最新の知識技能の修得」を目的に,大学等が文科大臣の認定を受け開設。受講者は30時間以上の受講が必要(どこで受講するかは文科省がHP等で提供する開設情報により受講者が選択)。講習については,受けっぱなしではなく修了認定を実施。
- 更新講習受講者に対し,職務専念義務免除等の措置は基本的にとられないため,免許状更新講習は長期休業期間や土日に実施。
- 大学は,各受講者に事前にアンケート等を行い,各々のニーズを把握してできるだけ講習内容に反映する。また講習終了時には受講者による授業評価を行い,大学はその結果を公表する。
- 更新講習は全国的には2009年度よりスタート(一部2008年度に先導的試行)。制度発足前に免許を授与された者については,そこから5ないし10年の間に第1回更新を実施(詳細は検討中)。
- 更新講習の内容は,大きくは子ども理解,政策動向など教育の最新動向など受講者間に共通する内容と,生徒指導,教科指導など学校種・教科等によって分かれる内容,がある。
(文科省サイドの情報はhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/index.htm参照)
●2007年8月の更新制説明会ツアー −高まる批判−●
さて,この更新制をめぐっては,この8月,東京で教育委員会むけの,東京を含め全国5会場で大学むけの説明会が開催されましたが,そこでの模様は,この制度をめぐって,大学はもとより,教育委員会からも強い批判があることをうかがわせるものでした。以下,『人権と部落問題』誌12月号によせた拙稿「教育関連法『改正』は教育実践にどう影響するか――『評価』によるしめつけを中心に」から引用しておきます。
「改正」された教育職員免許法に規定された「免許更新制」のための講習会について,この8月に教育委員会むけ,大学むけの説明会が開催され(後者は全国5会場6回),筆者はその初回,東京での大学むけのものに出席した。そこで印象的だったのが,大学関係者の憤懣がはしばしにあらわれていたことである。司会に立った文科省の若手職員の声が小さいとすかさず「聴こえませ〜ん!」と怒声が飛び,はては「マイクには指向性ってものがあるんだから,ちゃんと先を口に向けて……」と指導が入る。ちなみのこの一連の説明会は,事前に各地区の大学・教委から質問・意見を募ってそれに答える形で行われたのだが,そこでも,大学はもとより,教委からも手厳しい制度批判がとびかっている。
いわく「安倍内閣の『改革』ポーズづくりのための無内容な制度。安倍内閣への国民の審判も出た今,実行する必要があるのか」(大学),「十年経験者研修と重複するので,全部ないし一部を十年研と統合すべし」(大学,教委),「大学で講習を実施するというが,現在の十年経験者研修の状況をみる限り実効性には疑問」(教委),「『日常的に支障なく勤務できている教員なら問題なく修了できる内容』と文科省はいうが,逆にその程度のものなら法律を変えてまでやる必要はない」(教委)などなど。ちなみに,大学,教委からの質問と,一部地区については文科省からの答弁のまとめが,「教育基本法改正情報センター」のホームページ(http://www.stop-ner.jp/)で閲覧可能なのでぜひごらんいただきたい。
ともあれ,無責任きわまりない形で政権を放棄した内閣のもとで,教育のあり方の根幹にかかわる法律「改正」や「改革」が,必要なはずの教育内在的な検討をぬきに,文字どおり拙速に行われてしまったこと(たとえば「免許更新制」にしても,8月上旬の説明会と8月下旬のそれで文科省の説明が食い違っている点がある)は事実である。先のエピソードは,こうした状況への批判意識が予想以上に広がっていることを示している。
ただし,こうした批判に対して誠意ある応答がなされているわけではもちろんなく,文科省は着々と(?)更新講習にむけての準備――都道府県教委での「免許状データベース」構築の推進,課程認定大学を中心とした大学への講習開設の「お願い」(というより恫喝)を進めています。
●大学への影響/被害●
さて,この更新講習をめぐって,とくに旧制度の免許保持者への初回講習が一巡するまでは,対象者数にみあうだけの講習が開講できるか否かが焦点になります。文科省の試算によれば,10年計画で一巡させるとしてピーク時年間8〜10万人,5年計画では17〜20万人に講習を受講させる必要が生じます。しかも,上述のような,ペーパーティーチャーの採用試験合格など,秋から年度末にかけて生じる講習ニーズも考慮するなら,これを教員養成系大学・学部のみでさばききることは不可能です。
大学におしつけられる業務としては,教員については講習の実施と修了認定,職員については申込受付,講習当日のサポート業務,事前・事後のアンケート整理,修了認定結果の教委への伝達などがあります。上述のように,講習内容には,各教科の内容にかかわるものもあるため,文科省はすでに,自然科学系の教員(もちろん教員養成学部でない一般学部所属の)むけに講習開設をよびかける資料をつくっています(パワーポイントのスライド。ご覧になりたい方は山崎宛メールにてご連絡を)。
本学でも,昨年10月25日の教育研究評議会で松田教育学部長から説明と協力依頼があり,学長からも「教育学部におしつけるのでなく,全学で協力しなければできない問題」との発言があったといいます。
しかし,先にも述べたように,更新制については,行政の側に位置する教育委員会からさえ実効性について疑義が呈されており,また法律論的にも,制度導入前の免許取得者に遡及して適用することやペーパーティーチャーを排除することの正当性(たとえば教員免許を所持している大学教員もペーパーティーチャー扱いです),大学が講習を担当するという根拠(文科省側はあくまで「強制ではなくお願い」といっていますが,一方で,「とくに教員養成学部・大学は実施を拒否すれば学生の就職にも支障があり得る」など恫喝もかけています)など穴だらけです。
その意味では,他の一連の「改革」同様,この制度についても安直に飛びつくのでなく,大学人としてきちんと批判しつつ対応していくことが求められています。
文科省共済の人間ドック申し込み混乱問題で全大教が文科省と会見
文部科学省共済組合実施の人間ドックの申し込み方法が今年度から民間委託へと変更になり,その中でシステムトラブルが発生,混乱が生じました。群馬大学でも,予定していた日に受診できなかった方がいます。全大教(全国大学高専教職員組合)は,組合員の苦情を受けて,文部科学省に対し事態の説明と改善策の進行状況等の説明を求め,昨年7月24日に会見しました。その様子をお知らせします。 全大教:これまで,共済支部である各大学・高専で募集をしていた人間ドックの申し込みが,今年度から各自が民間委託業者を通じて共済本部に直接申し込む方式に変更された。ところが,申し込みが殺到してシステムダウンしたと聞いている。また代替対策としてとられたファックスによる申し込みも様々な問題が発生していると聞く。全大教の方にも問い合わせが来ている状況もある。事態については運営審議会の委員の方から一定説明を受けているが,なぜそのようなことになったのか理由がよく分からない。また改善策はどんな状況であるのか説明頂きたい。 文科省:ご指摘のとおりで,申し込み殺到でシステムダウンという状況はまったく想定できていなかったのであり,見通しの甘さを反省しているところである。 (1) 本システム導入の意図と経緯については,監査機関から共済業務のうちアウトソースが可能な部分について見直すよう度々指摘されていたところであり,来年度からのメタボリック対策を軸にした保険関連法令改定の状況も見据える必要があり,また各支部(大学等)での業務軽減にもなり得るなどの理由から,この期に本部で一括管理するのが望ましいと判断し,運営審議会に諮り了解を得て導入したところである。 導入に当たっては,いくつかの業者からのオファーがあり,各社について検討した結果,他省庁で導入実績のあるJTBベネフィット(JTBの100%出資の子会社)を委託業者に選定した。予算執行上4月1日からのシステムの立ち上げ作業,5月14日からの受付開始というかたちでスタートした。 (2) トラブルの発生と対応策についてであるが,受付を開始した5月14日(月)には約3万人の申し込みが殺到しシステムダウンしてしまうという事態になった。委託業者にはサーバーを交換させるとともに,システムの再立ち上げを指示した。これは6月5日に再スタートできた。その間に申し込みを急ぐ方についてはファックスで受け付けるという対応を取った。6月5日以降の再立ち上げ後,新規の受付を始めるとともに,ファックス受付済の分は業者が手作業で入力し軌道に乗せるという対策を採った。 |
ここで,次のトラブルが発生した。受け付けたファックス申し込みも膨大な数に上り,入力ミスや入力が間に合わないうちに申し込まれた検診希望日が過ぎてしまうという例まで出てくるという事態が生じ,問い合わせの電話が殺到するということになってしまった。7月半ば以降は1日に1千件以上の電話がかかっている状況である。この対策としては電話コールセンター,予約のお知らせなど各業務を急きょ増員させ,あわせて80名の体制で対応しているところである。この結果,これまでに受け付けた約2万5千件のうち,7割は処理することができ,未だ処理できていない約7千件(3割)は今月(=7月)中に確定し,お知らせできる予定である。 全大教:人間ドックはどれくらい希望があるのか。共済本部での申し込み一元化で,大学や高専にとってある程度業務軽減等になるというメリットは分かったが,組合員にとってのメリットとは何か。 文科省:これまでの実績からおよそ5万件である。JTBの関連事業ということで,多少のサービスがついているという点もあるが,これまで支部ごとに近くの病院など数機関に予約をされていたが,全国400の医療機関のいずれでも受診が可能になった。これにより大学間の人事異動することがあっても,共済組合本部から各支部に受診結果を知らせることができるので,引き続き同一の機関で受診できることもある。 全大教:これまでどおり大学ごとに希望日を取りまとめ,それを共済本部が各自に本人通知する方式にすべきとの意見が運営審議会でもあった。 文科省:実際に1月,2月のころから準備をして4月には取りまとめの段階にまで進んでしまっている支部もあったようで,一部にはそうした措置も取った。それを全体の柱とするのは導入の意図とはやや異なるところという事情は説明し理解いただけたと思っている。 全大教:大学が行なう職場検診の省略に共済組合が行う人間ドックの結果も集計される。法人化後,職場検診の集計結果報告はそれぞれの事業場のある労基署に提出しなければならない。大きな大学には幾つもの事業場単位が混在しているのが普通であり,ドックの診査結果の通知は大学本部にだけにまとめて送られても再分類の作業は大変である。なんとか工夫できないかとの要望も聞いている。 文科省:なんとか工夫は可能かと思う。検討してみる。 |
組合のサイトを開設しました
組合では,ウェブサイトを開設しました。URLは,http://web.union.gunma-u.ac.jp/ です。「群馬大学教職員組合」で検索していただいても,わかります。組合からみなさんへの情報提供を,ウェブサイトと「ぐんだいタウン」の2本立てで進めていきますので,ご期待ください。
これまで,昭和地区支部・桐生支部・荒牧支部のそれぞれのサイトはありましたが,組合としてのサイトはありませんでした。これからは,組合全体にかかわることはこのサイトでお知らせします。さまざまな活動をご紹介しますし,「ぐんだいタウン」の最新号とバックナンバーをご覧いただくこともできます。
もちろん,各支部のサイトにも,これまで通り種々の情報を掲載しています。各支部のサイトへのリンクを,組合のサイトの画面の上部に用意しました。是非とも,組合のサイトと支部のサイトの両方をご覧ください。