II-号 2009.3.30発行 | |
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群大ノ未来ツクル 新しい現実 新しい挑戦 |
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《 団体交渉報告 》
2月17日に,鈴木学長・谷本理事(事務局長)ら法人経営陣と,団体交渉を行ないました。組合からは,11名が参加しました。以下で,組合の要求内容と経営陣の回答を紹介します。
1.給与(負担の大きい仕事,特別の技能等を要する仕事についての手当等の新設・増額)
2004年に群馬大学を含む国立大学が法人化されてから,5年が過ぎようとしています。現在の群馬大学には,法人化前はなかった重要な仕事や,法人化後に労働密度が大きく高まった仕事がいろいろと存在します。そこで,組合では,それらの仕事を担当する職員について手当等の支給を要求しています。
第1に,附属病院では,医療技術の進歩や診療状況の変化等に伴い,法人化前にくらべて精神的・身体的な負担が大きく増した業務が数多く存在します。ME部(臨床工学技士),リハビリテーション部(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士),歯科口腔外科(歯科技工士,歯科衛生士)は,感染の危険に日常的にさらされている職場であり,仕事は緊張の連続です。また,放射線部,検査部,薬剤部,看護師は,長時間の夜間勤務が頻繁にあり,大きな負担となっています。今回の団体交渉では,仕事のたいへんさについて経営陣の理解を求めるため,臨床工学技士,理学療法士,歯科技工士,看護師が参加し,職場の実情を紹介し,手当等の必要性を訴えました。
第2に,工学部と附属病院では,安全衛生等にかかわって,法人化後に新たに行われるようになった重要な業務があります。作業環境測定士,作業主任者,電気主任技術者,放射線取扱主任者がそれにあたります。大学の職員が担当することで,大学の経費削減にもなっています。
第3に,入試での出題・採点についての手当も要求しています。出題・採点は,どちらも大きな労力を要する仕事であり,多大な責任と緊張感を伴うばかりか,万一ミスが発生した場合には給与等での不利益も生じます。最近,出題・採点について手当を支給する国立大学が増えています。
これらの要求に対して,まず谷本理事は,感染の危険への給与面での対応については検討の余地がある旨を答えました。続いて,鈴木学長は,「こんな手当はいらないのではないかというものはひとつもないが,今のような財政状況で全部認めることはできない。プライオリティをつけざるを得ない。ただ,ブレイクスルーだけは作っておく,プライオリティのある分野からやっていくことが現実的だと思う。どれがいちばんプライオリティが高いか,早急に考える」と回答しました。
2.労働時間(所定労働時間の短縮)
昨年8月の人事院勧告を受けて,群馬大学の経営陣も,所定労働時間を1週:38時間45分,1日:7時間45分に短縮することを決めています。この所定労働時間短縮にあたって,すべての教職員の実労働時間が現実に短縮されるよう,組合は要求しています。例えば,現在でも昼休みが20分程度しかとれていない職場があります。このような職場では,昼休みをきちんととれるようにしなければ,就業規則上の休憩時間が45分から60分に延長されたとしても意味がありません。
この点について,谷本理事は,休みが取れない職場については人員増を含めて検討したい,と回答しました。
また,所定労働時間短縮に伴って,多くの教職員は1時間あたりの給与の額が上がりますが,経営陣は一部のパート職員については時給を据え置く方針です。組合は,全教職員について時間あたり給与額を引き上げるよう求めています。
この点については,経営陣は,組合の要求を拒否しました。
3.雇用(再雇用制度の運用の改善)
現在,定年後の再雇用に際しては,当該職員が定年を迎えるときに所属している部局に対応が委ねられています。そのため,週32時間で従来通りの職場に再雇用される場合,その職場の他の職員の仕事を増やすことになりかねないので,定年を迎える職員が再雇用を断念することがあります。そこで組合では,事務系職員の再雇用の場合も週40時間勤務とするなどの対応を求めています。
この点について,経営陣は,必要があれば週32時間勤務の再雇用職員に(超過勤務により)40時間働いてもらうことも可能である旨を回答するにとどまりました。
4.安全衛生(昭和キャンパスでの医務室の設置)
昭和キャンパスには,荒牧キャンパスと異なり,体調を崩した教職員向けの医療施設がありません。附属病院は学内者用の施設ではないので,教職員も一般患者のひとりとして受診することになり,多額の費用(紹介料を含む)と相当の時間を要します。したがって,昭和キャンパスの教職員は,ちょっとした体調不良でも休暇を取って開業医を受診するか,あるいは受診をあきらめて勤務を続けることになっています。そこで組合は,昭和キャンパスに医務室を設置することを求めています。
これについて,谷本理事は医務室設置の必要性を認めた上で,今すぐ実現するとはいえないが,場所や人件費の負担のことも含めて部局長と協議したい旨を回答しました。
団体交渉に参加して
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「補助業務」とは名ばかりでは? ― 一般職系非常勤職員向けアンケート報告
非常勤職員が働く環境には,様々な問題が横たわっています。組合では,問題を客観的に把握すべく,一昨年11月下旬から昨年1月下旬にかけて,一般職系の非常勤職員を対象にアンケート調査を実施しました(常勤職員へのアンケート結果については「ぐんだいタウンU‐49号」をご覧ください)。
全部で104名(荒牧27名,昭和56名,桐生21名)からの回答がありましたが,これは,組合が調査対象とした非常勤職員の40%を超えます。回答者のうち,2名を除いた102名は女性です。
回答者の声(自由回答より,抜粋):
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1.非常勤職員として勤務している理由は?
グラフ1をご覧ください。「a. 正社員・職員の仕事をしたいが適当な職が見つからないため」44%(47名)「b. 正社員・職員の仕事をしたいが個人的な事情で正社員・職員の仕事ができないため」10%(11名)と,過半数の者が,やむを得ずに非常勤職員として勤務していると答えています。
グラフ2は,世代別の傾向です。20〜30歳代において,「a. 正社員・職員の仕事をしたいが適当な職が見つからないため」と回答した者が,半数以上を占めています。この世代のうち26〜36歳前後の者は「失われた10年」と言われる就職氷河期に就職時期を迎えており,非正規雇用労働者の比率が他の世代より高いと言われています。本学でも「失われた10年」の影響を受けている人が少なからずいると思われます。一方で,20歳代において,「d. 民間のパート・アルバイトよりも労働条件が良いから」という回答の比率が少し高いですが,これらの5名のうち4人は,別の項目「組合に取り組んでほしいこと」として,「休暇・特別休暇」や「賃金」の改善を求めています。
これらの人達も,本学の労働条件を手放しで受け入れているわけではないことがうかがわれます。
2.仕事の責任の程度についてどう思いますか?
非常勤職員の本来の仕事は,「常勤職員を補佐する」ことであり,あくまでも"補助業務"です。しかし,右のグラフ3,4に示されるように,60名の非常勤職員(約60%)が,自分自身の職務について,職員と同等か,むしろ重いと答えています。
「補助業務」という"前提条件"を盾に,平成18年度に,パート職員の時給単価が大幅に引き下げられました。「補助業務」という認識は当の非常勤職員には薄いという現実と,大学経営陣の意識の間に,乖離が見られます。
3.組合に優先して取り上げて欲しいこと(複数回答)
結果をグラフ5に示します。圧倒的多数(72名)が「e. 賃金(一時金・退職金を含む)問題」と答えています。特に問題になるのは,パート職員に対して一時金がないことですが,仕事内容に比して時給単価が低いという不満の声も聞かれます。
2位が「c. 雇用期間にかかる問題」であり,43名の回答です。よく,「日々雇用職員」のいわゆる「3年雇用」が問題になりますが,非常勤職員の雇用契約は全般的に1年単位であるため,契約更新回数に制限がないパート職員でも不安感を持つ人は多く,このような高い回答数となっていると思われます。
「休暇・特別休暇制度の改善」の回答も23名からありました。夏期休暇や忌引休暇が設けられるなど,改善されましたが,まだ格差があります。たとえば,「無給の特別休暇」について,「欠勤と変わらないのでは?」という声をときどき聞ききます(「産前産後休業」「病気休暇(パート職員)」等がこれに該当します。常勤職員の場合は有給です)。
「育児・介護」「ハラスメント」なども比較的多くの回答がありました。
以上をまとめると,常勤職員との間の職務内容の差が少ないという実態がある中,「補助業務」という"前提条件"を盾に取る大学の言い分が実態に合っていない,そういったことを表しているように思われます。
単に,「日々雇用職員」「パート職員」といった名称だけで,労働条件の格差を設け続けることは,社会的に否定されつつあります。非常勤職員を対象とした採用試験も行われていますが,それに該当し得ない人(フルタイム勤務が困難なパート職員等)でも,優秀な人材には従来の枠を超えた処遇を与える,そういった制度の創設も必要なように思われます。
※ 本アンケートのより詳細な結果については,下記に掲載してありますのでご覧ください(新しいウィンドウが開きます)。
http://www.union.gunma-u.ac.jp/enquete2007/index.html
【リレー・エッセイ「あんな仕事、こんな仕事」特別編】 ご好評をいただいてるリレー・エッセイ「あんな仕事、こんな仕事」。同じ群馬大学の教職員であっても,勤務地や職種が異なるとなかなかお互いの職場について理解できないものですが,こうしたヨコのつながりを作り出すことも組合の重要な役割です。 今回は特別編として,この3月に退職される方にお願いして寄稿していただきました。 |
安心して働ける職場づくりのために
「1人はみんなの為に,みんなは1人の為に」。夫の故郷である前橋に来て,1974年秋群馬大学病院に入職し,先輩に誘われて組合に入りました。組合の部屋に初めて訪れたとき,机の上の新聞のこのキャッチフレーズが目に入りました。
知らない土地で,なれない職場での不安な心にこの言葉は,安心感を持ちました。 そして,この言葉は組合の存在意味を端的に現しているものだということを,それからずっと実感してきました。
今,看護職の現場は,7:1看護体制で多少ゆとりをもって患者に向かえる時間が出来るようになりました。しかし,以前の国立大学時代は,総定員法の枠に縛られていた上,公務員定員削減の流れで,医療が高度化して増員が必要な時代になっていても,医療職は増員できない状況でした。それでも,看護部は,暫定的に他の職場の定数を借りて必死で看護師の数を補充しておりました。
定員の補充は4月しか出来ないので,途中退職は職場に欠員を生じさせることになり,許されないことでした。産休の交代も自分で探してこないと無いわよと看護部に言われたと困っていた人もいましたが,看護部もぎりぎりの人数で,綱渡りの人事をしていたので,苦し紛れに言ったのではなかったかと思います。日々の勤務も厳しく,風邪をひき高熱でも座薬を入れて勤務している人。子供にもそうして,保育園の先生から「お母さん看護婦なのに」と言われていました。
医療協(医療労働組合協議会)のアンケートで,看護職は過労働で疲労度が強く,医療安全の上からも問題との結果がでて,それがニュースで報道されました。過去に教職が,行き届いた教育を目指し,40人学級運動を展開しているときに,社会・保護者が一緒に考えているニュースを見て,なぜ看護職はそうできないのだろうと思っていました。
行き届いた看護は,看護職の問題だけでなく,市民一人一人の問題ではないかと考えていたので,2007年に医療法改定で7:1看護加算が設定されたとき,看護職が社会に認知されたと嬉しく思いました。 大幅な看護師増員が可能になった7:1看護加算は,チャンスでした。組合は,看護部へ早急な導入をと働きかけてくれました。
三次救急の患者を受ける群大病院が,患者を送る病院より看護数が少ない矛盾。患者のための看護を展開するなら,もっともっと主張しなければならないことが沢山ありました。職場で,いろいろな意見や愚痴を耳にします。しかし,そこだけで終わっていることがあります。単なる愚痴で終わらせず,その思いを結集しないともったいないと思うことがあります。
現在では信じられないことですが,昭和50年代には,病院長交渉で「職員検診にHB抗体の採血を」と交渉したとき,予算が無い,必要ないと却下された時代もありました。そんな例はいくつもありました。安心して働ける職場づくりのため組合は必要です。
組合に加入し,他職種・他職場の人たちと多く知り合いました。そして,支えてもらいここまで働き続けられました。ありがとうございます。長い間お世話になりました。こらからも組合のますますの発展を祈念しております。
技術職員としての41年
多くの皆様のお世話になりながら,定年を迎えました。私の組合活動は,41年前,4月1日に誓約書をはじめとしたさまざまな就職に関する提出書類の中に,組合の加入申込書が混ざっていたらしく,自覚なしに組合員になったことから始まりました。青年婦人部の諸活動に誘われ,「赤城職懇(群馬大学教職員組合主催の赤城山寮を会場とした職種別懇談会)」「関ブロ職懇(関東甲信越静ブロック単組職種別懇談会)」等にも参加した楽しい思い出があります。
技術職員としての組合活動の始まりは,「職場と仕事の見直し運動」でありました。当時は,講座の構成が,教授1,助教授1,助手1,技官2が標準であったため,今考えると運動の課題がおおらか(?)なものでした。その後,技術職員問題は,その専門性にふさわしい「職群」の確立と「組織化」がテーマになり,関ブロ等で議論に加わってまいりました。群馬大学においても「組織化」問題は,医学部や,内研(内分泌研究所,現在の生態調節研究所)の方たちとともに議論をしてきましたが,統一した意見にまとまらず(未だに?)に経過してまいりました。
技術職員問題は,工学部においては,1988年に技術職員世話人会が発足,技術職員の待遇改善,専門行政職問題等を検討してまいりました。1992年に桐生地区技術部が形式だけの組織として発足(51名)し,1993年からの「3日間研修」,2002年からの「技術発表会」など研修を中心として活動していく中で,業務内容と組織のあり方が検討されました。2005年7月に国立大学としては全国初の,技術職員を「技術部長」とした新技術部が発足しました。新技術部では従来の講座や学科の仕事のほか,安全衛生,作業環境測定,廃液処理といった工学部全体にかかわる仕事を行うなど,業務内容の改善が行われてまいりました。
2006年4月より技術部長に指名され,多忙な3年間をおくらせていただきました。独法化に象徴される大学の大きなうねりの中で,技術職員もまた大きな岐路を迎えてきており,技術職員組織,業務のあり方,人事評価など多くの課題が提起されております。2007年には,企画室技術職員問題WG(ワーキング・グループ)として,技術職員の将来における定数と職務内容を規定した「教室系技術職員および教室系パート職員の配置について」(2007年10月10日専攻長会議決定)の検討を行いました。人事評価に関しては外部集会などで得た先進大学の状況から学びつつ検討を進め,2007年7月より職員評価実施専門部会の教室系技術職員(工)等WG主査として2007年に試行,2008年より実施いたしました。組織改革としましては,2008年4月に3系からなる新組織に改組し,技術環境整備G(グループ)を立ち上げ,すべての技術職員が工学部全体にかかわる業務に従事することとしました。こうした中で,外部研究会等の出張は,述べ21名(35名中:2008年)と,過半数の技術職員が参加できる予算も獲得できるようになりました。
こうした経験の中で,人事・予算などを含めた技術部の更なる待遇改善・地位向上のためには,全学の技術職員組織が不可欠な状況であると考えております。多くの大学で総合技術部・全学技術部といった技術職員の全学組織を立ち上げてきております。
「技術職員の新規雇用は行わない」など,厳しい声も漏れ伝わってきております。大学から技術職員を無くさないためにも,組合と医学部の技術職員の協力のもと,群馬大学でも,全学の技術部が誕生できることを願っております。
最後に,群馬大学教職員組合の更なる発展と,「技術職員が大学にとって不可欠である」との認識が大学内外に定着していくことを心から祈念いたします。