II-52号 2009.6.8発行

★このニュースは、組合費と支援者からの募金で作られています★

群大ノ未来ツクル
新しい現実 新しい挑戦
群馬大学教職員組合 [URL]http://web.union.gunma-u.ac.jp
[電話]027-220-7863 [fax]027-234-4140 [e-mail]kumiai@showa.gunma-u.ac.jp
【目次】《団体交渉報告》大学法人は夏期ボーナス凍結の姿勢 ― 組合の主張とは平行線 合理的根拠示さぬまま大学法人は誠意を見せるべきでは ― 2月の団体交渉合意文書加藤書記を迎え新しい事務局スタート事務職員から組合職員へただ夢中で走り続けた日々定期大会のお知らせ
初夏の桐生キャンパス
初夏の桐生キャンパス/© 横尾 享弘(桐生支部)
《団体交渉報告》
大学法人は夏期ボーナス「凍結」の姿勢
組合の主張とは平行線 ― 合理的根拠示さぬまま

5月27日に,高田学長・中島事務局長(総務・財務担当理事)ら新経営陣と,団体交渉を行ないました。組合からは,14名が参加しました。以下で,組合の要求内容と経営陣の回答を紹介します。

1.大学運営と労使関係について

組合は,新しくなった経営陣がどのような姿勢で労使関係にのぞむつもりであるのか尋ねました。昨年の学長選(意向聴取投票)に際して組合主催で開催した立会演説会において,現学長は大学運営における「ボトムアップ」を強調した経緯があります。それを労使の間でいかにして実現していくのか,また,以前から組合が指摘している本学の学長選考過程の問題点について考えを聞きました。

高田学長は「広くいろいろな立場の方の意見をうかがって進めていきたい,日々の教育・診療にあたっている現場の人が大学の最前線なのであるから,ピラミッドといって下を大きく書くが本当は逆である。公開できる情報はできるだけみなさんと共有していきたい」と回答しました。

また,学長選考過程については意見を述べる立場にないと学長は言及を避けましたが,中島局長からは「いままでの問題点・課題について議論し,検討が始まっている」旨の発言がありました。

2.本年度夏期期末手当・勤勉手当(夏のボーナス0.2カ月「凍結」)について

前回のぐんだいタウン号外(5月22日付)でお伝えしたように,5月1日の人事院勧告は国家公務員の夏期期末手当・勤勉手当0.2カ月分の「凍結」を勧告し,群馬大学もこれに合わせた就業規則の改定案を公表しました。組合はこれに対して,法人化した後の本学教職員はもはや公務員ではないのだから人事院勧告に従う理由はなく,労働契約法上も認められないことを申し入れました。

労働契約法第9〜10条は,使用者が労働者との合意なしに就業規則を変更して労働条件を改悪することを「合理的なものであるとき」にしか認めていません。最高裁も,賃金のような重要な労働条件の不利益変更には「高度の必要性」がなければならないと考えています。

確かに民間の不景気は深刻ですし,大学法人への運営費交付金は年々減らされていることも事実です。しかし,今回の人事院勧告に連動して今年度の運営費交付金が減らされているわけではなく,「凍結」に合理性はありません

教職員の夏のボーナスを0.2カ月「凍結」すると,大学法人は1億5千万円の経費が「浮く」計算になります。この新しく発生した経費を何にあてるのか,大学法人は教職員に説明する責任があるのではないか,教職員の労働条件(福利厚生や教育・研究条件を含む)の改善に充てるべきではないか,と組合は質しました。

これに対して大学法人は,運営費交付金という税金で成り立っている部分が大きい以上,人事院勧告には従わざるを得ない,そうしなければ国民の納得が得られない,と回答しました。今回のボーナス「凍結」で浮くはずの1億5千万円の使途については明言せず,「運営費交付金が減らされていくなかで全体のバランスを考えて使い道を検討する」と一般論を述べるのみでした。納得できないという組合との議論はどこまでも平行線を辿り,この件については物別れに終わりました。

ただ,この中でも大学法人は,法人化して以降教職員が過重労働になっていることは認めています。業務改善を含めて経営努力を行うこと,超過勤務手当は当然払うことを明言しました。

今回の団体交渉において,経営陣は労働契約法に照らしての「凍結」の合理性を説明できず,「凍結」する1億5千万円の使途についてもまともな回答はありませんでした。自らの主張を繰り返すだけでは「交渉」とはいえません。経営陣の姿勢は,誠実交渉義務に違反する違法・不当なもの(不当労働行為)であり,何よりも群馬大学で懸命に働いている教職員の努力に応えようという気持ちが感じられませんでした。

3.前回合意した手当の新設・増額について

2月17日に前経営陣と行った団体交渉で,大学法人は「負担の大きい仕事,特別の技能等を要する仕事」についての手当,ならびに入試手当の必要性を認め,優先順位を検討すると約束しました。今回,新経営陣に対して組合は改めて現場の声を届ける(臨床工学技師,理学療法士,歯科技工士,看護師が参加しました)とともに,約束した検討の進捗状況を質しました。

これに対して大学法人側は,群馬大学は公務員に準拠した給与体系になっているので,独自の手当を作るのは難しいと慎重な態度を崩しませんでしたが,手当の重要性は認め,検討を続けると明言しました。

組合は,法人化してから現場がどんなに大変になっているのか,経営陣も現状を見に来るべきだと重ねて要求しました。

4.安全衛生(昭和キャンパスでの医務室の設置)について

昭和キャンパスは,附属病院がありながら,荒牧キャンパスのように体調を崩した教職員が受診できる施設がないため,教職員は休暇を取って開業医を受診するか受診をあきらめて勤務を続けざるをえない状況が続いています。このような現状を改善するために,組合は昭和キャンパスに医務室を設置することを求めています。2月の団体交渉では,当時の谷本理事が医務室設置の必要性を認め,部局長と協議したいと回答しました。

今回の団体交渉で大学法人側は,早急な協議を約束しましたが,要員の確保が難しいと,ここでも慎重な姿勢を見せました。

5.その他

上記以外にも,組合はいくつかの要求項目を事前に提出していましたが,当日の時間の都合により,大学法人から書面での回答を受けることにしました。組合の要求と大学法人からの回答の内容は以下の通りです。

(1) 教職員の評価

このところ成果主義の導入が多くの労働現場でみられるようになっていますが,様々なマイナス面(高い評価を受けようと努力するが内的な意欲はかえって減退する,同僚間の個人競争が強まる一方で協力・教え合いが弱まり総体としての仕事の質が低下する,評価されにくい仕事には力を注がなくなるなど)が指摘されています。そこで,組合は,本学での教職員の評価にあたって,評価を本人に開示すること,「苦情処理」の仕組みを整え,苦情処理委員会には複数の組合代表を加えること,評価の結果は業務の改善に用いるものとし昇給の査定には用いないことを要求しました。

大学法人からは,評価は業務の改善に資することを最大の目的としており,部局長等が賞与及び昇給を判断する際の参考データ(査定資料ではない)として活用できるようにしている旨の回答がありました。また,評価の過程については,評価結果を本人に開示し,苦情がある場合には申し出を受け,教職員評価不服審査委員会に諮る仕組みを整備している旨の回答がありましたが,組合代表の関与については言及がありませんでした。

(2) 労働時間(総労働時間の短縮)

本学の各職場が繁忙の度を増している中で,年休が満足に取れないばかりか,休憩時間や週休さえとれない例が続出しています。また,不払い労働もなくなっていません。そこで,組合は,休憩時間・週休・年休が完全に取得できるようにすること,不払い労働を根絶することを要求しました。

これに対する大学法人からの回答は,休憩時間,年休取得状況等の実態を把握し,改善を要する点について検討したいというだけのものでした。

(3) 雇用(再雇用制度の運用の改善)

定年を迎える職員が週31時間で再雇用される場合,その職員が所属部局にとどまり代わりの職員が配置されないならば,当該部局の他の職員の仕事を増やすことになります。そこで組合は,再雇用職員の労働時間を原則として38.75時間とすることを要求しました。

法人側からの回答は,財政上の制約をあげ「フルタイムでの雇用はきびしい」としつつ,再雇用の場所や業務の内容について検討したいというものでした。

TOPに戻る

大学法人は誠意を見せるべきでは

今回の交渉ではっきりしたことは,新しい経営陣への引き継ぎが十分に行われていないということです。2月の団体交渉で合意したさまざまな項目についてもこれから検討するという回答ばかりです。経営陣が交代してすぐの交渉ですのでいたしかたない面はありますが,大学法人として組合と合意した以上,大学法人は合意内容を尊重し,遵守する義務があるはずです。

以下に,2月17日の交渉に基づいて交わした合意文書を掲載します。組合は引き続き大学法人と交渉を重ね,労働環境の改善に努めていきます。


2月の団体交渉合意文書
『合意事項』

1 給与(負担の大きい仕事,特別の技能等を要する仕事についての手当等の新設・増額)

(1) 大学は,組合の要求する調整額または手当(ME部の臨床工学技士,リハビリテーション部の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士,歯科口腔外科の歯科技工士・歯科衛生士の職務の特質によるもの,放射線部・検査部・薬剤部・看護師の夜間勤務に関するもの,放射線取扱主任者・作業環境測定士・作業主任者・電気主任技術者の職務に関するもの)については,それらの職種に感染の危険性等があることからその必要性を認め,現在の財政状況等においてどれを認めることができるか,優先順位を検討する。

(2) 大学は,入試手当の必要性を認め,他大学の入試手当の実情を調査して,本学での対応について検討する。


2 労働時間(所定労働時間の短縮)
 大学は,所定労働時間の短縮にあたり,どの職員も1時間の休憩時間が確実にとれるよう,労働環境を整える。

3 雇用(再雇用制度の運用の改善)
 大学は,週31時間での再雇用により,他の職員の業務が過重にならないよう対策を講じる。

4 安全衛生(昭和キャンパスでの医務室の設置)
大学は,昭和キャンパスに医務室を設置する必要性を認め,関係する部局と協議を開始する。

   2009年3月19日
国立大学法人群馬大学長       鈴 木   守  印
群馬大学教職員組合中央執行委員長  荒 木 詳 二  印
TOPに戻る

加藤書記を迎え新しい事務局スタート!

群馬大学教職員組合は,4月から加藤書記をお迎えして新しい事務局体制がスタートしました。安藤書記も再雇用という形で組合に残ってくれています。加藤書記と安藤書記それぞれからご挨拶を頂戴いたしました。


左から,荒木委員長,加藤書記,安藤書記

左から荒木委員長,加藤書記,安藤書記

事務職員から組合職員へ

加藤 文雄(書記)

4月から書記としてお世話になります加藤です。昭和34年2月6日生まれのB型,水瓶座です。よろしくお願いいたします。

ご存じの方もいると思いますが,私は,今年の3月まで事務職員として群馬大学で働いていました。事務職員として昭和53年4月に教育学部会計係に採用され,その後事務局経理部・庶務部,医学部総務課等に勤務し,主に人事・労務事務に携わってきました。その間,共通一次試験の開始,医学部・病院の事務一元化,給与・人事事務の電算化等を経験し,陰ながら群馬大学のために31年間がんばってきました。

採用当時の教育学部では,旧師範学校の香りを醸しだしつつも職場全体に群馬大学あるいは群馬大学教育学部としてのアイデンティティが感じられ,かつアットホームな雰囲気の中,教員や技術職員の方たちと一緒に学部運営の一躍を担っているという実感がありました。その中には,体育大会で学生を相手に競技したこと,先生たちと一緒に野球やテニスをしたこと,酒を酌み交わし深夜まで語り合ったりしたことなどがありました。しかし,その後,時代の変化ということもありますが,教職員を取り巻く環境は大きく変化し,特に法人化後は,評価,削減,地域貢献等の言葉が飛び交い,過重労働が蔓延し,心のオアシスを失い,大多数の教職員が疲れ果てているような感じがしていました。そんなときに,たまたま教職員組合の職員募集案内を見た瞬間に,直感的に「これだ!」という感覚が沸いてきました。群馬大学を変えるには教職員組合の力が絶対的に必要であり,そのために,何かお手伝いすることが出来るのではないかと思いました。

教職員組合のためにこんなことをしたい,あんなことができるなどといった具体的なことは,何もありませんが,今まで事務職員として培ってきた経験を最大限に活用して,皆様のお役に立てるようがんばりたいと思いますので,前任の安藤さん(再雇用で,一緒に居てくれるので安心してます)同様によろしくお願いいたします。

TOPに戻る

ただ夢中で走り続けた日々

安藤 正代(書記)

大変長い間お世話になりました。3月末をもちまして,私なりのゴールへ辿り着くことができました。今はホッとした気分を味わいながら,加藤書記と引き継ぎをかねて一緒に仕事をしています。

思えば1971年春,ひょんなご縁で群馬大学教職員組合に就職して以来38年間の歳月が流れました。当時,右も左もわからないまま,吾妻谷から出てきた「イモ姉ちゃん」そのものでしたので,随分,皆様を不安にさせたことだろうと今更ながら赤面する思いです。

1970年代は,全国的な組合の盛り上がりの中で,人事院勧告4月実施の要求やインフレ手当の支給,看護師の夜勤制限,夜勤食(牛乳)の支給,定員外職員の給料保障などなど,「国民に開かれた大学の実現」をスローガンに労働者の待遇改善と大学の自治が飛躍的に前進した時期でした。

学内保育所「桐の子保育園」では,子どもたちはみんなの子どもとして見守られ,そのエネルギーは,働く母親同士が慰めあい,励ましあう「力」になりましたし,そのかなめとして組合がありました。

しかし,その後,労働組合のナショナルセンター切り崩しや制度改悪など働く者にとって厳しい状況が続きました。気がついてみれば,3人いた書記が私1人になっていました。それからは,ただ夢中で走り続けた日々だったような気がしています。

いまになって,しみじみ感じるのは,時代の荒波に揉まれ組合員が減っていくなかでも,「組合は必要な組織であり労働者の財産」として,その存在を守るために絶え間なく支え続けてくれた多くの組合員のご苦労と継続させようとする強固な意志です。

法人化以来,当然のことながら,多くの教職員が加わり,パワーアップしています。今も,若い組合員たちが,新しい組合創りに参加してくれています。確実に,先人達から新しい教職員にしっかりバトンが渡されていると感じます。

群馬大学教職員組合50周年記念誌のタイトルは「継続は力なり」でした。まさしく,その力に励まされての38年間でした。本当にありがとうございました。

さて,わが組合に新しい書記加藤文雄さんを迎えました。みなさま,もうお会いになったでしょうか。とても気さくな人です。実務能力も信頼できる人です。群馬大学の事務職員として組合を見ていた方が「仕事場」として群馬大学教職員組合を選択してくれた事実に,感慨ひとしおです。

さらに大きく発展する予感の中で,定年を迎えられた幸せをかみしめながら,4月からは新たな気持ちで後方の仕事に専念しています。

これからもよろしくご指導下さい。

組合を通じてたくさんの素敵な方たちと出会えたことが安藤の宝物です。皆様のご健康とご多幸を心より祈念し,お礼とさせていただきます。感謝。

TOPに戻る

定期大会開催のお知らせ

群馬大学教職員組合では,下記の通り,定期大会を開催します。

【日時】2009年6月29日(月)19:00から

【会場】医学部大会議室

TOPに戻るHOMEに戻る