II-69号 2014.6.17発行 | |
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群大ノ未来ツクル 新しい現実 新しい挑戦 |
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(2014年5月20日 団体交渉の様子)
団体交渉特集号
学長 調整手当検討を明言
― 給与・入試手当増額は拒否 ―
群馬大学教職員組合広報部
5月20日に群馬大学教職員組合は国立大学法人群馬大学(田学長,井出事務局長ら)と団体交渉を行いました。組合からは,荒木委員長,櫻井書記長,野村書記次長,長谷川執行委員,高草木書記,山田書記の6名が参加しました。以下で,組合の要求内容と大学法人側の回答をお伝えします。
教員人事:「必要な所に配置」されているか
組合は,最近立て続けに行われている大学の組織改変について大学法人の考えを質しました。教員組織の一元化に伴い,教授会の人事権が実質的になくなり,それに伴い役員会の独裁にならないかとの懸念があります。田学長は,学長選考の際の意向投票に際して「ボトムアップで大学運営をする」と発言したはずです。特に近年「グローバル化」を声高に主張して,英語教育のみに大風呂敷の配分をしているように見えます。学内の資源配分として現在のやり方は適正なのか,質問しました。
[大学法人の回答]
国立大学法人法では予算は経営協議会,教学は学長・役員会で決め,人事の発令は国が行う。法人化の枠組みでは最終的には学長がすべて決める枠組みになっている。学長がすべて決めることはできないので,教授会の推薦で人事をきめている。大学では本来専門家が自主的に運営するのだが,国立大では自由ではない。世の中が変わってきている。新しい分野もある。大学として必要なところに資源配分する必要がある。
国に金がなく,運営費交付金はほとんど人件費になる。国に対して説明できるようちゃんとやる必要がある。それぞれ大学のプログラムがある。学部の教授会だけでなく,他学部のメンバーも含めた全学の執行委員会できちんと説明できるようする必要がある。
日本だけの閉じた社会ではやっていけない。グローバル化は必要である。一回や二回の資源配分で十分とは思はない。第3期に向かって大学のあるべき姿がある。世界のトップを目指す大学,日本の中で全国レベルの大学,地域貢献を目指す大学に分かれるであろう。経済界からの圧力が強い。すべてトップとはいかないが重粒子線治療などトップであるものをやらないと明るい未来はない。
教員人事については,ミッションの再定義があってそれに対応していく。今までと同じように人事を進めていくわけにはいかない。
社会情報学部については,早急に新しい体制を議論する必要がある。少子化で大学の生き残りが厳しい。私立の文系大学から,「同じような教育研究をしているのに国立大学は財政的に厚遇されている」との批判が早晩でるだろう。荒牧はそれに対抗できるだけの存在感がないと,大学としては苦しい。そのような人事をすすめる必要がある。
理工学部については,完成年度までは定員を埋めておく必要があるとの意見もあるが,実は今回の人事凍結分は設置審の枠からはずれている。どういう方向を強化するかが大事で,学部から紙に書いた提案があればオプションとして検討する。世界で輝く分野を一つか二つ作りたい。後任補充はそのカードである。学年進行が終わったところで対応したい。
従来は目標の達成度が評価指標だったが,今後はそうはいかない。
[コメント]
国や経済界に対する説明,大学の生き残りのために現在の不都合は我慢しろという趣旨に聞こえます。しかしながら,教育機関である国立大学として現在のやり方は適切といえるでしょうか。群馬大学としては,数年後を見据えた改革なのかもしれませんが,現在在籍している学生に対して「数年のことだから我慢しろ」というわけにはいきません。今年度履修している科目がまさに問題なのです。ほとんどの学生にとっては,やり直しの効かない一度限りの大学教育です。それぞれが夢や目標をもって入学してきた学生に対して,専任の先生が(大学の都合で)不在です,と言うわけにはいかないはずです。税金が投入されている以上,国民に対する説明責任を負っているはずですし,実際に授業料を納めている学生と保護者に説明できるのでしょうか。
労働問題として考えた場合も,現在の群馬大学の対応は問題だといわざるをえません。専任教員の数が減った分だけ,入試や広報などの業務,各種委員会の仕事など在籍している教員の負担は増えることになりますが,その分の手当が支給されるわけでもなく,見返りのない労働強化ばかりが横行しています。大学を取り囲む状況の厳しさを説いて教職員を不安に晒すばかりではなく,余裕をもって教育研究に打ち込める環境を整えることこそが,執行部が果たすべき役割なのではないでしょうか。
給与問題:国立大学間でも格差
震災復興のための臨時特例措置として平成23年度〜25年度にかけて国家公務員給与が削減されましたが,法人化して国家公務員でなくなったはずの群馬大学の教職員の給与も削減されました。組合は,臨時特例措置に伴う給与削減分を教職員に戻すこと,平成25年3月退職者から適用されている退職金減額を中止し,元の水準に戻すこと,本学は他の国立大に比べ教育研究実績は高いものの給与水準が低いので,5%引き上げることを求めました。
[大学法人の回答]
財源がないのに人件費が膨らんでしまう。給与は国の基準に則って決めており,大きく逸脱していない。第3期にむけて人件費の縛りが厳しい。
研究費も潤沢ではない。共同利用設備の更新などで多くが消えている。自主的に新しいアイデアを出すべき,新しい学問の芽となる研究には研究費が配れていない。
第3期の枠組みが明確ではないが,かなりの部分は競争的になるだろう。給与は頑張っている人により配分され,そうでない人は減るような仕組みになるかもしれない。
[コメント]
「国の基準に則って決めているはず」と大学法人側はいいますが,例えば入試手当や病院職員の待遇にしても,他の国立大学と比べて見劣りがするのは事実です(本学教職員の給与は国立大学86法人中75位で,下位15%程度)。大都市の大学と比べて給与が低いのは「地域手当」が原因の部分もありますが,埼玉大,宇都宮大,茨城大,新潟大といった隣接する県の国立大学と比べても低いのは,諸手当が貧弱だからとしか考えられません。これについては,本紙「ぐんだいタウン」Ⅱ-68号(2013年12月16日付)に詳述しましたのでご覧ください。
頑張って業績をあげても報われない職場では,有能な人材の流出に歯止めがかかりません。
病院職員の待遇改善:調整手当に言及
組合は,病院職員の待遇改善として,①夜間看護手当1,000円以上を引き上げること,②平成26年4月制定の年俸制適用職員給与規則の改訂における放射線技師と臨床検査技師の手当について,患者と直接接して業務を行うことを常例とする他の医療技術職員および医療ソーシャルワーカーにも同様の手当を支給すること,③患者と直接接して業務を行うことを常例とする調整額が支給されていない他の医療技術職員に対して,業務内容に見合った調整額支給できるよう給与規則別表第8の俸給の調整額適用区分表を(第14条関係)の現状にあった内容になるよう修正すること,④看護師の数を確保すること,を求めました。
[大学法人の回答]
病院の運営が大変であることは承知している。看護師の手当は国の基準に則っているとの認識である。7:1看護について,ぴったり人をとったのではうまくいかない。多めに採用して,重労働にならないようにしている。病院収入,診療報酬は上向きであるが,職員が増えたので人件費が増えている。職員を増やすか,一人あたりの給与をあげるかということになる。技師などは法人化後勤務実態が変わってきている。労働環境については病院長と相談したい。
[コメント]
組合はさらに,人事院の基準では調整手当がついているはずだが群馬大学はついていないことを指摘しました。これに対して学長は「人事院に従うよう病院長と相談したい」と回答しました。
国の基準に則っているという回答を繰り返していますが,国が示している最低ライン(6,800円)に従っているだけで,国立大学病院で独自に手当を上乗せしているところも少なくありません。以前にも本紙(Ⅱ-64号, 2013年1月18日付)でお知らせしたように,群大周辺の大学病院では7,100〜8,800円へ引き上げられています。県立病院と比べても,看護師の初任給で月12,000円,年間190,000円ほど少ないのが現状です。
入試手当増額要求:大学法人は拒否
組合は,全学教職員の待遇改善として,①前期日程・後期日程等の入試手当を増額すること(問題作成担当者は年間5万円,採点担当者は年間3万円),②労働安全衛生・安全管理にかかる資格(作業環境測定士,作業主任者,電気主任技術者,高圧ガス製造保安責任者)を取得した職員に対して手当を支給すること,③昭和キャンパスの職員駐車場についてキャンパス近傍に確保すること,を求めました。
[大学法人の回答]
大学入試は本来業務と認識しているが,大変な業務と思うので入試手当をだした。各学部の実態が多岐にわたり,簡単なところもあれば難しいところもある。頑張った人には勤勉手当として配慮されているはずである。
労働安全衛生等の業務も本来業務と考えている。手当にして固定経費になってしまうのは困る。
昭和キャンパスの駐車場については,リリカの駐車場を借りている。距離的には昭和キャンパス西の駐車場と変わらない。活用してほしい。
[コメント]
数千円の勤勉手当では他大学の入試手当に到底及ばないことは,大学間の給与格差を見れば明らかです。頑張った人が正当に評価される職場になるよう,組合は引き続き入試手当の増額を求めていきます。入試業務にしても,大学法人は2年前まで「本来業務」として負担を評価していませんでした。言葉の真の意味で「頑張った人を正当に評価する」仕組みを実現していかなくてはなりません。
組合は今後も粘り強く大学法人と交渉していきます。みなさまの声を組合に届けてください。
《定期大会のお知らせ》
- 日時: 2014年6月23日(月)19:00〜21:00
- 場所: 昭和キャンパス 多目的アメニティ講義室
* 定期大会では,この1年の活動を振り返り,今後の活動について話し合います。
* 定期大会には,各支部から代議員が参加します。
* 組合員のみなさんには,あらかじめ議案書をお渡しします。