II-70号 2015.2.6 発行

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【目次】知らないで済ませられますか?/群馬大学の給与 〜人事院勧告を踏まえて〜新たに導入される教員の年俸制給与体系野島新学長候補「対話と議論」「一体感」を協調/組合主催立会演説会のご報告
2014年度中央執行委員会

2014年度中央執行委員会・中央が櫻井委員長


知らないで済ませられますか?

群馬大学の給与 〜人事院勧告を踏まえて〜

群馬大学教職員組合広報部

群馬大学は,平成16年4月1日より国立大学から国立大学法人となり独自の運営方針にしたがって運営されています。給与体系は,国からの運営費交付金の補助を受けていることから,基本となる国家公務員の人事院勧告を参考に大学経営戦略や財政状況を勘案した上で支給されると大学ホームページでも周知されています(学内向けページ「本学の給与改定について」)。基本となる人事院勧告は,毎年8月上旬に民間給与水準を反映させて人事院より公表されます。今年度も2014年8月に勧告が出されましたが,主な内容は以下の通りです(詳細は人事院ホームページなどで確認できます)。


〈2014年給与勧告のポイント〉

1.月給例,ボーナスともに7年ぶりに引上げ

民間給与との格差(0.27%)是正のため若年層に重点をおいて俸給表(給与)を引き上げ

ボーナスを引き上げ(0.15ヶ月)→ 勤務実績に応じて勤勉手当に配分

2.俸給表や諸手当のあり方を含めた給与制度の総合的見直し

地域の民間給与水準を踏まえて俸給表(給与)の水準を平均2%引き下げ

地域手当の見直し,職務や勤務実績に応じた給与配分

人事院勧告に準じた場合,以下の改定が行われます(詳細は全学掲示板を確認ください)。

① 俸給表(給与)が2014年4月に遡り引き上げられます。

② 通勤手当,初任給調整手当が2014年4月に遡り引き上がられます。

③ 勤勉手当(ボーナスの一部)が0.15ヶ月引き上げられます。

④ 給与制度の見直しに伴い俸給表(給与)は2015年4月より切り換えられます。

では,実際はどうなっているでしょうか。群馬大学の対応は以下の通りです。

① 俸給表(給与)が2015年1月より引き上げ(9ヶ月分の遡りなし)。

② 通勤手当,初任給調整手当が2015年1月より引き上げ(9ヶ月分の遡りなし)。

③ 勤勉手当(ボーナスの一部)が0.15ヶ月引き上げを現時点では予定。

④ 給与制度の見直しに伴い俸給表(給与)は2015年4月より切り換えを予定。

群馬大学の場合,勧告とは異なり俸給表や勤務手当の遡っての支給(遡及)はなく,現時点では勤勉手当も未支給のままです。震災復興の財源に充てるという名目での大幅な減給措置は昨年終ったばかりですが,これまでも「一般の社会情勢に合わせる」ためとして人事院勧告にしたがって給与を引き下げてきた以上,引き上げが勧告された場合もこれに従わなければならないはずではないでしょうか。群馬大学教職員組合はこの問題をめぐって近く大学法人側と団体交渉を行う予定です

交渉の際には組合員の数が重要となりますので,教職員組合皆様のご協力のみならず非組合員の方にもご協力(加入)を求めます。不満を訴える前に皆で団結することがまずは必要となります。

教職員組合は,大学職員の待遇改善を求め労働環境を改善することで,財政のみならず教育,研究,診療のより良い環境づくりを目指しています。今後も教職員,学生,患者さんにとって魅力的な大学になることを望み,交渉を進めていきます。

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新たに導入される教員の年俸制給与体系

長谷川 信(書記長/昭和地区支部)

(※ 病院職員に導入される年俸制給与体系とは異なります)

文部科学省の国立大学改革プランにより,国立大学全体として1万人規模での年俸制導入が検討されています。群馬大学でも教育研究等の活動活性化及び優秀な人材確保を図るためとして導入準備がすすめられています。部署によっては2014年11月より導入されており,2015年4月には60歳以上の教授職全員に適応されます。この年俸制導入について不明点があることから大学側に説明を求め,2014年11月12日,大学本部において,教職員組合より申し入れた「教員年俸制度に関する公開質問状」(本誌号外・2014年10月16日発行)について懇談を行いました。公開質問状に対する回答を田学長よりいただきましたので,その内容について報告いたします(年俸制の詳細については大学ホームページ資料を参照ください)。


〈群馬大学の教員年俸制〉

1.年俸制の対象(※ 職位が変更した場合も年俸制が適応される)

(1)60歳以上の教授(全員) 60歳到達後,最初の4月1日に移行

(2)55歳以上の教授で希望する者

(3)新規採用の講師及び助教(教育学部,社会情報学部,教育学研究科は除く)

(4)生体調節研究所の教員,未来先端研究機構を主担当する教員

2.基本給与設定について

現在,教職員については年俸制導入されても大きな不利益がないような設定となっている。今後,新規採用や職位変更で年俸制になった場合は生涯賃金は減額になる恐れがある。しかし,新たな業績給が導入され業績に応じてボーナスが支給される。

〈公開状質問状の回答及び懇談〉

(1)年俸制導入の問題は労働条件の改変となるので,労使交渉で決定すべき事項と考えるが,大学法人の見解を伺いたい。

回答:大学として労使交渉すべき内容と認識しており,各キャンパスの教授会にて説明している。

(2)これまでの月給制の給与を基本給(月給の70%)と業績給(基本給の30〜70%)に切り換えるとの説明を受けている(資料「新たな年俸制の導入について」平成26年8月26日付)。基本給70%,業績給30%という数字の根拠はあるのか。また,仮に業績給を最低ラインの30%とすると,支給額は月給制の場合よりも1割程下回ることになり,さらに退職手当分が削減されることになるので,かなりの不利益変更と考えざるをえない。太田事業場過半数代表者に対して「不利益変更でない」と回答した(10月3日付けメール)と聞いているが,それはどういう意味か。

回答:政府の方針も方針を踏まえ,退職金の額を加味し現職の教員に対して不利益がないよう考慮した制度となっている。

(3)年俸制への移行は本人が同意した上で行われると考えてよいのか。本学の場合,「60歳以上の教授全員」は,本人の同意にかかわらず移行させるように説明されているが,そういう理解でよいか。「60歳以上の教授」についても本人が同意した上での移行であるならば,その旨を明確にすべきではないか。60歳以上の教授が年俸制に移行した場合,月給制の給与と諸手当(退職手当を含む)は保障するのか。

回答:年俸額は大学在籍期間などによって一律ではなく個々に異なり個別の計算が必要となるため,個別に説明した上で同意を得るようにする。月給制や諸手当については手取額で減額にならないような設計をしている。

(4)60歳以上で切り替えたとして,業績給最高の場合と最低の場合,それぞれどの程度現行の給与水準と変わるのか,モデルケースを示してほしい。

回答:(3)で答えた通り,給与水準は個々に異なるため示すことが難しい。個別に説明する際に確認できるのでご理解いただきたい。

(5)どのような基準で業績が評価されるのか,60歳以上の教授,55歳以上の教授,新規採用の講師・助教等,未来先端研究機構主担当教員で移行する教職員のそれぞれについてご回答いただきたい。また,個々の教職員に事前に知らされなければ判断のしようがないと考えるが,評価基準はいつどのように決まるのか。また,業績評価に対する個々の教職員からの,中立的で全学的な異議申し立ての仕組みを整備することは不可欠とわれわれは考えるが,大学法人としてはどう考えるか。

回答:群馬大学は総合大学であるために同一の評価基準では不可能と認識している。評価基準に関しては,各部の特徴を加味した評価制度を確立させるよう準備を進めている。また,業績給の配分については大学ミッションを勘案した上で配分割合を検討する。評価結果の異議申し立てについては,苦情処理委員会で対応する。

(6)年俸制導入促進費の予算措置について第2期中期目標期間(平成27年度まで)は措置されるとは思われるが,その後はこの経費が打ち切られて学内予算の持ち出しとなる可能性がある。この点をどう考えるか。

回答:予算に関しては政府の政策によって変わることがありハッキリとした回答ができない。しかし,年俸制導入された教員に不利益が生じないように概算して予算化しているが,今後の社会情勢(経済状況)の変化により基本の給与減額や運営交付金減額などによる影響で変化する可能性はある。


教職員組合としては,今後も高等教育機関を国から支援してもらうためには,現在の国の財政状況や政策,時代の流れを踏まえ,年俸制導入についても制度を理解した上で冷静に判断することが必要と考えます。そのためには,高等教育の必要性に対する政治家や国民全体の理解が不可欠であり,大学法人執行部のみならず教職員組合も同様に啓発していく必要があると考えます。

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野島新学長候補「対話と議論」「一体感」を協調 組合主催立会演説会のご報告

群馬大学教職員組合広報部

12月5日に開催された学長選考会議は,野島美久理事・附属病院長を2015年4月からの群馬大学の学長候補者としました。これに先立って,群馬大学教職員組合は教職員の意向調査の参考にしていただくために,2014年11月21日(荒牧キャンパス・ミューズホール)と11月27日(桐生キャンパス・総合研究棟402教室)の2回にわたり,立会演説会を開催しました。当日は石川理事・野島理事の両候補をはじめ,多くの教職員にご参加いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

立会演説会の場で野島理事は,病院長として組織横断的な体制づくりを心がけてきたことを協調し,「学長のリーダーシップとはヴィジョンを示し,決断し,責任を全うするもの」だが,「決断するにあたっては,組織を構成する人々と対話と議論を尽くし,単なるトップダウンではなく,現場との共有感・一体感をしっかり醸成することが重要」だと訴えました。また,近年の国立大学文系学部をめぐる動きに対しては,「理系だけになったら群馬大学は総合大学の体をなさない」「理系だけでは広い視野をもった高度な人材を育成することができない」と述べ,今後も総合大学としての体制を重視する考えを示しました。

労働環境に関しては「大学にとっての顧客は学生であり患者であるが,提供する側の満足度が高くないと満足なサービスは提供できない」「仕事のやり甲斐,達成感,職場環境や報酬も重要な要素なので,職員の満足度を高められるように努力していきたい」とし,「現場の生の声を聞くこと」を協調しました。

また,フロアーから今回の大学病院の医療死亡事故の学問的な検証が必要ではないか,という意見も提示されるなど,活発な議論が行われました。

教職員組合は,今後も大学の民主的運営のために貢献するとともに,現場の教職員の声を大学法人の執行部に伝えていきたいと考えます。教職員のみなさんの要望や不満をぜひ組合にお寄せください。

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