II-78号 2019.3.4発行

★このニュースは、組合費と支援者からの募金で作られています★

群大ノ未来ツクル
新しい現実 新しい挑戦
群馬大学教職員組合 [URL]http://web.union.gunma-u.ac.jp
[電話/FAX] 027-220-7863 [e-mail] kumiai@showa.gunma-u.ac.jp

大学法人群馬大学と団体交渉

 18年度人勧をめぐって対立

期末勤勉手当の一方的な引下げは違法

団体交渉に臨む組合側出席者

団体交渉に臨む組合側参加者(左から2番目が豊泉委員長)


去る2月12日,組合は国立大学法人群馬大学と団体交渉を行いました。

先日,1年先送りされることが決定した社会情報学部の改組や,人事院勧告(人勧)への対応,教職員の待遇改善の問題(臨床系助教の裁量労働制,病院スタッフの勤務時間インターバル,有期雇用職員の無期転換等)について交渉を行いました。特に,2018年度の人勧では期末勤勉手当について0.05月分の引き上げが勧告されていますが,群馬大学では逆に昨年度より0.175月分引き下げられており,その手続きの正統性をめぐって組合と大学法人は激しく対立しました。

団体交渉における主なやりとりについて,お伝えします。

1. 社会情報学部改組について

組合:組合では,社会情報学部と理工学部の改組についていくつかの申し入れを行ってきた。特に,設置準備委員会から社会情報学部長が外れるなど,社会情報学部の教員との考えが乖離したまま改組が進み,大学運営の在り方として大変問題があると申入れをしてきた。その後,各教員個々に対して新学部参加の意思があるかないかを問いかける意向確認を求め,さらに,学部全体としては「保留」という意見を出している中で,個々の教員に対する面談を強行した。組合としては,各教員の研究の自由を脅かす,あるいは研究者としての将来を不安に陥れるような進め方がされたことに関しては糾弾をしたいと思っている。新学部の設置は1年以上延びたということだが,改めてこれから振り出しに戻って,社会情報学部の改組に向けた意思形成をしてもらうように,強く要請する。

大学法人:本学の改組の問題について組合との交渉の場で取り上げるのは適当かどうかは疑問であるが,この問題については,手続き上少なくとも経営協議会や教育研究評議会で議論した上で,役員会として決定したものだ。進め方に問題があるという話だったが,先生方各個人の参加の意思を確認したときに,先生方のご意見をいろいろ聞くことができたので,結果的にはやってよかったと思っている。時期的に難しくなってきたこともあって1年延期したが,これは振り出しに戻すということではなく,もう少し協議した方がいいだろということだ。各先生方との対話をなるべく尊重してやっていきたい。

組合:各教員との対話ではなくて,まず,社会情報学部の教授会との対応が前提にならなければいけないはずだ。この間の進め方は瑕疵がなかったというが,一般の組織で進める意思決定と,大学法人の意思決定との仕方はやはり違わざるをえない。学問研究を担っている主体である,一人ひとりの教員が動かなければ,大学は何も動かない。大学における意思形成をするためには,教授会の議論をきちんと踏まえながら進めていくことが大事ではないか。

大学法人:大学執行部としても学部に説明には行っている。それが不十分だったという結論だと思うが,今後もなるべく協議の機会を設けたい。

組合:確かに教員の声を聞くことは大事なことだが,今回の個人面談は「業務命令」と称して個々の教員に対してメールで連絡をし,しかも14時半ぐらいに送っているのに当日の17時までに回答を求めるという,あまりにも性急なやり方だった。教員一人ひとりが学長や理事と会うというのは,それだけでプレッシャーになるし,パワハラと言われても仕方ない面があったのではないか。意見を聞きたいというのが本旨だとしても,やり方はもっと考えてもらいたい。学部を通して進めてもらいたい,ということは強く申し入れる。

大学法人:性急すぎたということは認める。3月中に申請したいということがあった。ただ,先生方のご意見を聞いて,ちょっとまだ難しいだろうという判断に至った。先生方への連絡が性急すぎたということは,お詫びしたい。

組合:「業務命令」という言葉は,やはり大学という組織にはふさわしくない。しかもその文章の中ではあたかも最後通牒であるような表現がとられていて,大変に大きな威圧,プレッシャーを与えたと感じている。それは組合としては本当に容認できない問題だ。

大学法人:ご意見は承る。

組合:組合としては,社会情報学部長や学部の教員組織との協議を続けることを要求する。一人ひとりの意見を聞くときでも,個別面談だとどうしても圧力を感じてしまうので,学部長や,教員組織との協議を続けていただきたい。個別面談をするにしても,任意で行い,決して強制しないでもらいたい。

大学法人:了解した。

組合:組合はさらに,新学部に参加する全ての教員に不利益変更が生じないような措置を講じることを求めているが,これは特に,理工学部の先生が桐生と荒牧を行ったり来たりすることが,本当にできるのかという問題だ。太田キャンパスを作るときと全く一緒で,太田・桐生間を通うのも結構大変で非常に負担が大きいので,考えてもらう必要がある。

大学法人:これは,施設設備の方の問題とも関連しているが,なるべくそういうことがないように,と思っている。

組合:改組などの話は言えないこともあると思うが,上の方でどうなっているのか全然わからないので不安だ,という声が多く届いている。状況説明や情報提供というのはなるべく,できるところはオープンにしてもらいたい。

大学法人:なるべく情報は提供してるつもりでいる。本部からも情報は出しているので,学部の中でも情報きちんと伝えてもらうことが必要だ。

組合:組合のスタンスとしては,改組をどうするかとか改組そのものに反対とか,そういうことを言っているのではなく,そのやり方の中でやはり教員に不利益がないように,さらに言うと,結局は教員がきちんと働くかどうかが新学部の成功に関わってくるので,そこをむしろ上手くモチベートして,みんなでいい大学にしていけるように,ということを申し上げている。

TOPに戻るHOMEに戻る

2 給与水準の引き上げについて

組合:従来から申し上げているが,群馬大学の給与水準は他大学に比べても公務員と比べても低く,しかもこの間,格差がさらに開いている。人事院勧告に基づいて,給与の引き上げ,期末勤勉手当の改善を,2018年の4月に遡って実施してもらい,さらに格差を縮めるような努力をしていただきたい。

今回特に問題として取り上げたいのは,期末勤勉手当の扱いについて。平成30年度の公務員の期末勤勉手当の支給月数は,昨年度の4.40月から0.05月引き上げて4.45月になったが,群馬大学は,期末勤勉手当の追加支給を加えても4.225月で,公務員とは0.225月の差がある。昨年度の4.40月から4.225月に引き下げるという結果になっている。この件,間違いがないか。

大学法人:間違いない。


◎ 公務員と群馬大学教職員の期末・勤勉手当の比較(月数)
 公務員
(人勧,改定後月数)
群馬大学
(改定前月数)
公務員との差
期末勤勉期末勤勉追加支給
30年6月1.2250.904.451.2250.6750.2754.2250.225
12月1.3750.951.3750.675
29年6月1.2250.8504.401.2250.6750.4504.400.000
12月1.3750.9501.3750.675
28年6月1.2250.8004.301.2250.6750.2254.1750.125
12月1.3750.9001.3750.675
27年6月1.2250.7504.201.2250.6750.1754.1250.075
12月1.3750.8501.3750.675
26年6月1.2250.6754.101.2250.6750.1504.100.000
12月1.3750.8251.3750.675

組合:繰り返しになるが,人事院勧告では4.40月分から4.45月に引き上げられており,国家公務員をはじめ各公務員は4.45月分の期末勤勉手当が,今年度分として支給されている。問題なのはここから。群馬大学の今年度の給与規程の広報が,平成30年の12月の全学掲示板に,次のように書かれている。

本年度給与規則改定の広報(平成30年12月全学掲示板)
「就業規則の改正の概要(平成31年1月1日施行)」
教職員給与規則 国家公務員給与法の改正に伴い,以下の事項を改正するもの
・勤勉手当 平成30年12月期の勤勉手当支給月数を国と同水準の0.95月に引き上げ

昨年4.40月の期末勤勉手当が今年度は4.225月に引き下げられたのに,ここでは12月分だけを取り上げて「国と同水準の0.95引き上げ」とだけ公表している。この引き上げというのは,職員に対して誤解を招かせる書き方ではないか。引き下げを引き上げと誤解させようと意図的にやったとはいわないが,普通に読めば群馬大学でも0.95月で公務員と一緒になったんだな,と多くの人が思うはずだ。この点については,反省して改めてもらわなければならない。

就業規則による労働契約の内容の変更を定めている労働契約法の九条・十条では,労働者の全員と合意しなければ就業規則の変更によって不利益な変更することはできない,ただし,変更後の不利益な内容を周知させて,そしてその不利益な内容が,程度とか必要性とか,あるいは労働組合の交渉等に照らして合理的であったら,それは可能になる,と書いてある。労働契約法の一番大事なところだ。

【参考】労働契約法
(就業規則による労働契約の内容の変更)

第九条 使用者は,労働者と合意することなく,就業規則を変更することにより,労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし,次条の場合は,この限りでない。

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において,変更後の就業規則を労働者に周知させ,かつ,就業規則の変更が,労働者の受ける不利益の程度,労働条件の変更の必要性,変更後の就業規則の内容の相当性,労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは,労働契約の内容である労働条件は,当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

つまり,就業規則の不利益変更が合理的なものであり,かつ,変更後の就業規則が労働者に周知されている場合には,使用者は,労働者の同意がなくても,就業規則の変更により個々の労働者の労働条件を労働者に不利益に変更することができるということである。

今回,大学が行ったことは,就業規則を不利益に変更し,にもかかわらず,それをあたかも引き上げであるかのように広報しており,そしてこの件に関して,労働組合,私たちとの話し合いは一遍も行われなかった。驚くべきことである。私たちは,今回の12月の勤勉手当の「引き上げ」と称する引き下げは,違法だと,無効だと考える。

これは,うっかりしたというレベルの話ではなくて,大変な話だ。

大学法人:あくまで29年度の変更は,附則の中で29年度限りと決めているので,30年では不利益となっているとは考えない。

組合:本気でそう言っているのか? そんな議論が成り立つとしたら,群馬大学は,いつでも本則まで労働条件を引き下げられることになる。就業規則を見れば分かるが,毎年毎年,附則で勤勉手当をいくらにすると書いてある。毎年1月に附則を定めて,そこで初めてその年度の勤勉手当が確定するが,それが次年度に入ったら,本則で定めたところまで下がるというのか。

大学法人:普通は本則を毎年変えていって,そこから人勧に対応して上げたり下げたりするのだが,本学はそういうことにはなってない。そのこと自体が本当は問題だ。賞与の年間支給額が減っていないとは全く言っておらず,12月のみ引き上げた,ということを言っているに過ぎない。

組合:引き上げたというのは本則からで,前年度の月数には及ばない。そのことは,労働契約法違反だとここで申し上げている。就業規則を変えて,労働条件を切り下げた。変えるためには全労働者の合意が必要だが,それが無理な場合には,改正の内容を周知して,組合ときちんと協議をしなければいけない。全部抜けている。それどころか,周知する場合に逆のことを周知している。あたかも,労働条件が上がるかのようにような周知の仕方で。組合としてこれはあってはならないことだ。

大学法人:これで誤解を受けているとは思わない。昨年度行った引き上げは昨年度限りなので,年度が変われば本則通りになるはずだ。

組合:もしそういう解釈であれば,その時にちゃんと組合にそのことを通知して,交渉しなければいけないはずだ。そのために民間では,春闘をやってるではないか。本学はずっと以前から,附則によって期末勤勉手当の対応をしてきた。なぜ本学がそうしてるかというと,一時金の額を決めるのに人勧の様子やそのときの大学の財政状況をみて,附則という形で対応してきたからだ。

引き上げか引き下げかというのは,前年と比べて判断する。これまで引き下げるというときには,人事院勧告が下げたんだから,という形でずっとやってきた。昨年度は退職金が人によっては100万円近く減額されたし,震災のあとは2年間にわたって10%のマイナスを丸2年間続けたが,そのときにも公務員に準拠しているんだから,という形で説明をされた。それと今度は違う。公務員の方は0.05月引き上げ,群馬大学は0.175月引き下げた。そこに何の説明もないし,広報した内容はあたかも引き上げたかのように勘違いさせるような広報をしている。これは成り立たない。

大学法人:少なくとも,欺いてそういうふうに公表したものではない,ということはご理解いただきたい。これは,医療事故や診療報酬の返還という本学がおかれた特別な状況のためで,本則より上乗せできる部分はないか毎年検討して,つぶれない範囲で増やしてるという状況なので,手続き的に明らかに問題とまではいえない。

組合:その議論はいくらなんでも無理だ。これが不利益変更だと認識していなかったということか。

大学法人:内容を正確に伝えてある。

組合:不利益変更である可能性の認識はあったということか。しかしその説明は過半数代表者にもなかった。「増えますよ」としか言われていない。昨年度の4.40月が4.225月になるということを分かっていなかったのか。

大学法人:昨年度より少なくなることは認識していた。

組合:それは不利益変更ではないのか。

大学法人:明らかに不利益変更だと言い切ることは難しいと思う。この変更については,必要な手続きを取って変更したと認識している。

組合:労働契約法第十条の,「かつ」以下のことがずっと欠けている。「変更後の就業規則を労働者に周知させ」とある通り一応周知はしているが誤った周知であり,どこに合理性があるのか。労働組合との交渉は全くしていないし,不利益の程度について労働者に何も伝えていない。

大学法人:伝えてないということはない。過半数代表者に伝えている。

組合:過半数代表者は「上げます」としか聞いてない。不利益変更かどうかは聞いてない。

大学法人:内容は正確に伝わっているはずだ。法令上,問題のない手続きをとっている。

組合:この就業規則改正の概要を読んで,「給与が減るんだ」と読み取れなかった過半数代表者が悪い,ということになるのか。

大学法人:そんなことは言っていない。

組合:しかし,「引き上げ」と書いてあったんだから引き上げたと思ったら,実は引き上げではなかった。分からない方が悪いということか。

大学法人:本則とくらべてどれだけ上げたか,という連絡をこれまでもしてきている。

組合:ただ数字を言ってるだけであって,これで分かれというのは無理だ。そちらはプロなのだから,きちんと説明してくれなければ困る。2,000人働いている群馬大学の教職員全員の労働条件を引き下げるのだから,本来であれば2,000人に聞かなければいけないというのが大原則で,そんなことは無理なので以下のような合理性があればいい,というのがこの法の作りだ。その点で,今回の改定は完全に失格だ。

大学法人:主張されていることは理解できるが。


団体交渉に臨む大学法人執行部

団体交渉に臨む大学法人執行部


組合:人勧がいっているように4月に遡って給与を上げることはできないけれども,期末勤勉手当は人勧に準拠してるんだと,大学側は組合に対してずっと説明してきたはずだ。今回は人勧が0.05月上げるといっているけどそれは無理なので4.40月で何とかしてほしい,あるいは,下げるのであればなぜ下げなければならないのかを説明してもらった上で,交渉しなければならないはずだ。その手続きを一切欠いていて下げているから,今こういう大問題になっている。

就業規則による不利益変更は合意がない限りできない,というのが根本原則だ。特に,給与とボーナスというのは,圧倒的な重要な課題で,その点が,全く理解されていないのではないのか。とてもこれは認められない。

大学法人:周知した内容がミスリードだという指摘は分かったが,こちらとしては何か欺いて騙そうとしてそういう提示をしたわけではない,ということは理解してもらいたい。

組合:もう一度言うが,これは過半数代表だけの話ではなく,全職員に対しての話だ。そのことの意味をきちんと受け止めていただけるんだったら,今回の改定は無効になるはずだ。

大学法人:仮に無効だと考えて交渉し直しても厳しい状況は変わらないので,なんとかこれでお願いします,ということを言わざるをえない。

組合:それだったら労働契約の意味が何もなくなってしまう。大学側の都合だけで労働条件が決められるという話になってしまう。大学側はこれまでずっと人事院勧告をベースにして考えているから,附則という奇妙な手段をとってきた。そしてその人事院勧告がある種の最低限の合理性を保ってきた。しかしその合理性と反対のことを今回やっている。しかもその反対のことをやるための手続きが全部抜け落ちている。少なくとも4.40月に戻してもらわければ話にならない。国に合わせて4.45月にすることを求めているが,少なくとも労働契約法に違反しないのであれば,4.40月にしてもらうしかない。

不利益変更を認めてほしいのであれば,その不利益変更に係る合理性をしっかり説明してもらわないと,こちらとしてもチェックのしようがない。

大学法人:これからも説明はしっかりさせてもらう。

組合:まず,全職員に今回の就業規則についての公表の仕方は十分でなかった,ということを詫びていただかなければならない。実質的に労働契約法違反を問われるような事態を招いてしまったのだから。

大学法人:給与が下がったということは,もちろん認識している。そのための説明が不十分だった,と言われたので,そのことについては資料を用意して説明したい。

組合:就業規則の不利益変更を,私たち労働者全員にきちんと周知しなかったこと,そして組合との交渉もしなかったことは,これは労働契約法に違反する。その点についてどう考えるか。

大学法人:直ちに違反しているとは思わないが,周知が足りなかったという指摘については認識した。

組合:組合が主張している問題点については,理解してもらえたものと思う。そのことを受け止めて,大学としてどうするのか,検討してもらいたい。

大学法人:扱いについては検討させてもらう。

TOPに戻るHOMEに戻る

3. 臨床系助教の専門業務型裁量労働制適用について

組合:裁量労働制を適用する助教の場合は勤務時間の9割を研究に充てることになっているが,臨床業務がすごくあるのでこれはおかしいのではないのかということで,今,全国的に裁量労働制を外し,かつ,それまでの残業代を遡って出すということが,色々な大学,大学病院で行われている。本学でも,臨床系助教に専門業務型裁量労働制を適用しないことが,業務実態,勤務実態からして適切なのではないか。

大学法人:本学では未対応ということだが,現在は医学系の方も働き方改革ということもあって,見直しをしてるところである。他の大学ではフレックス制で運用している事例もあると聞いている。医学部附属病院については,裁量労働制を導入して3年経っているが,これをそのまま続けるかどうか検討する必要がある。今後,附属病院の各診療科で意見を出してもらい,検討したい。医師の過重労働は医療事故にも関係するので,真摯に対応していきたい。

組合:若手からも,研究も臨床も,というのはできないという声が出ている。是非ここは,改革してもらいたい。

TOPに戻るHOMEに戻る

4. 勤務時間インターバルの導入について

組合:働き方改革関連法の中で,勤務時間インターバルの導入が努力義務となった。医療ミスや過重労働を防ぎ,過労死を防ぐためにも非常に重要だと考えるが,努力義務が示されていることに対して本学はどう対応するのか。また,過労死や医療ミスを防ぐための労務管理は,どのように行っている,また行なっていくと考えるのか。

大学法人:4月からになると思うが,勤務時間を厳密に記録して,どれぐらい超過勤務しているかを明確にしていきたい。その後これを使って,オーバーしている方に関しては面接指導することになっている。診療科の方でも,業務の平準化を考えている。もう一つは,ストレスチェックを行って,高いストレスを感じている教職員に関しては,面接指導をやらなくてはならない,ということで,産業医の対応の強化を図っていきたい。いずれにせよ,過重労働の対策はきちんとやっていきたい。

組合:インターバル導入の方向性は,どのように考えているのか。

大学法人:インターバルは導入する方向で考えている。具体的に,規則を設けるのか運用でやっていくのかについては,これから検討したいと思っている。

TOPに戻るHOMEに戻る

5. 有期雇用の無期転換について

組合:東大はじめ多くのところが,有期雇用の5年期限を撤廃して,改正労働契約法の趣旨に沿って無期転換を進めるという大きな動きになっている。本学でもその方向に進めてもらえるように,というのが基本的な要求だ。特に直近の問題として,この3月31日に5年の雇用限度を迎える職員がいるが,現在の大学の規定においても,勤務成績等を考慮して更新できるとしてある。具体的に,大学はどのように対応して行くことになっているのか,詳しく説明してもらいたい。

大学法人:東大や一橋で有期雇用の5年限度を撤廃しているが,なぜそういうふうに変更したかをもう少し調べてから対応していきたいと思っている。手続きについては,12月に学長から各学部長宛に書類を送っており,学内ポータルサイトにも掲載して周知を図っている。

非常勤の人事評価は,昭和地区では一部やっているところがあるが,大学全体としてまだやっていない状況なので,今後は制度上,全体として考えていくつもりだ。

組合:当面は,今回5年になる人については,所属長が面談をして更新の意向を確認して,勤務成績等で適当であるとなれば更新されると考えていいのか。

大学法人:期間業務職員のことか。期間業務職員はもともと3年だったものを5年にする契約にしているが,基本的にはこの5年で切れる。5年が限度ということになっている。

組合:この大学の規則では,勤務成績等を考慮して更新できると書いてあるはずだ。

大学法人:勤務成績等を考慮して更新できるのは,5年間の間の話だ。毎年度の契約なので,それを,5年間を限度として更新できるということだ。 組合:ということは,5年目を迎えている期間業務教職員とは4月1日以降は契約しないということか。

大学法人:基本的にはそういうことになる。

組合:労働契約法では,5年勤務して6年目に入った人は,そのまま無期に変えられることになっている。そこを群馬大学では5年が限度だと言っているということか。

大学法人:そういうことになる。

組合:2017年以前から働いているパート職員はもう5年以上経ってるのだから,その職員は無期にできるのか。

大学法人:その人たちは別だ。

組合:無期転換の手続きをしている職員はいるのか。

大学法人:今,申請がかなり上がっている。本人に通知を出す手続きをとっているところである。

組合:もう一度確認するが,2017年以降に雇用されたパート職員が,5年経った時に勤務成績を評価して更新できるのか。

大学法人:それは5年間になる。2017年以降に採用になった方については5年間。

組合:それは,改正労働契約法の趣旨に反するのではないのか。組合はこの「勤務成績等を考慮して更新できる」という文章が,5年で多くの人が無期化できるという文章だと考えていた。

今後改めて交渉したい。

TOPに戻るHOMEに戻る

6. 病院職員の待遇について

組合:病院職員の調整額について。群馬大学では現在,臨床検査技師および診療放射線技師のみが調整額支給対象となっており,医療技術職種間で給与格差が生じている。人事院給与規則では,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨床工学技士,心理療法士,栄養士も対象になっている。本学の給与規則の元になっている人事院規則の方では,新たな職種ができたり,現状にあった変更がなされたりしているが,本学の給与規則は以前のままだ。実際に業務にあたっている現場では,感染の問題とか,リスクを負った状態で仕事をしているので,人事院規則で変更されている通り,群馬大学でも検討してもらいたい。

大学法人:これは以前から出ている話で,関東地域の他大学を調べてみると,臨床検査技師と診療放射線技師については患者さんと直接対して行われるということで調整を行っているが,それ以外の職に関しは,筑波大,千葉大,信州大,東京大学等では現在も本学と同様の取り扱いになっている。国立病院機構でも同じような取り扱いになっている。本学としては,財政状態が非常に厳しいので,今すぐには対応できないということでご容赦いただきたい。

組合:この調整額は事務員の方にも出ている手当だ。実際にリハに関しては,直接患者さんと接する業務であるし,臨床工学技士も集中治療室や手術室に普通に入って,また患者さんのベッドサイドで管理を行ったりしているので,臨床検査技師,臨床放射線技師以上に患者さんに近い位置にいるスタッフだ。

大学法人:引き続き検討する。

組合:今後も要望は続けて出させてもらう。

TOPに戻るHOMEに戻る

7. 宇都宮大学との共同教育課程(教育学部)の設置について

組合:教育学部で宇都宮大学と進めている共同教育課程の設置について。第一に,教育研究現場,学部の状況をよく踏まえて進めてもらいたい,第二に,共同教育課程によってある種の効率化,合理化が進むのではないかと危惧している。地域における教員養成や研修の期待に十分に応えるという課題は変わっていないので,教員に対して今以上の負担を課すことがないように,教員組織の充実と教員数の確保に努めてもらいたい。共同教育課程になったのだから,教員数をもっと減らしてもいいんだと考えられてしまっては,地域の責務を果たすことができないので,その辺についてはよく検討してもらいたい。

大学法人:われわれとしては,教育現場,研究現場の環境の維持・改善を目指してやっているつもりだ。財源を確保するためには早くやっておいた方がいいということだ。後からやると,多分,予算もつかなくなる。例えば遠隔授業ができるようにするとか,そういう設備を整えることを考えている。もう一つの,地域貢献については,教育委員会とも密接に連携をとって,中学校10教科を残すとか,地域の方にはご迷惑をかけないようにやっていくということを前提だ。今後カリキュラムの検討に入るが,なるべく先生方の負担が大きくならないようにやっていきたい。

第4期には,必ず,学生定員を減らすという話が来ると思っている。学生の定員を減らしたらその後来るのは教員の削減,ということになる。それがなるべく小数で済むように,というのが私たちの考えだ。

組合:宇都宮大学との共同教育課程だけではなくて,大学院の改組も進んでいて,専門職学位課程になると,チーム・ティーチングで2人以上かかわるとか,実習に頻繁に行かなければいけなくなるので,かなり大変になってくる。宇都宮大と共同でやるからといって仕事が減るわけではないので,教員の確保に努めてもらいたい。

大学法人:了解した。


***

この日の交渉では,時間の都合で,団体交渉の要求書に記載していた次の2項目については文書での回答を求めました。(1)教員評価を業績給査定に用いないこと,(2)a. 労働安全活動に関わる資格を有する技術職員に手当を支給すること,b. 技術職員の昇給状況が良くないと不満がでているので,本学はどのような基準で昇格措置が取られているのか回答すること,です。

これに対する大学法人からの回答(2月26日付)を以下に掲載します。

群馬大学教職員組合団体交渉要求書に対する回答について

○ 教員評価について

現在実施している教員評価の結果は,業績給査定に直接使用していませんが,文部科学省から示されている国立大学法人等人事給与マネジメント改革において,厳格な業績評価の実施と処遇への適正な反映が求められております。

人事給与マネジメント改革の実施状況が悪い場合は,運営費交付金が減額となり,人件費等への影響が懸念されるため,早急に全学的で厳格な業績評価の実施と処遇への適正な反映が必要となっており,新たな教員評価制度の作成が不可欠となります。

○ 技術職員の待遇について

(1)現在においても依然として厳しい財政状況であり,新たな手当の新設・増額ができるような状況ではないことをご理解願います。

(2)本学の昇格基準については,国の時代の基準に準拠しており,昇格状況が悪いと言うことはありません。

TOPに戻るHOMEに戻る

以上のように,組合と大学法人群馬大学とは,とくに平成30年度期末勤勉手当をめぐって激しく対立しました。これを受けて組合は,2月15日付で期末勤勉手当に関する団体交渉を申し込みました。

組合が要求しているのは,次の3項目です。

要求項目(2月15日付)

① 1月1日に実施された期末勤勉手当の引き下げが労働契約法に違反することを認め,引き下げの見直しを行うとともに,教職員に謝罪すること。

② 労働契約法に違反しないよう,少なくとも2018年度の期末勤勉手当を年4.40月分以上とし,支給済みの4.225月分との差額を2019年度6月期の期末勤勉手当支給時に支給すること。念のため述べれば,2019年度の国家公務員の6月期の期末勤勉手当は2.225月分であり,本学の給与規則(本則)は1.90月分である。

③ 組合は人勧水準の給与改善を最低限の要求としており,大学も「国家公務員法給与規則の改正に準拠」を掲げてきた。上記Aによっても人勧水準の年4.45月分に不足する場合には,その不足分については,2016年度,2017年度の不足分(合計0.2月分)と併せて,今後の給与改善において回復に努めること。

まだ大学法人からの返答はありませんが,組合は引き続き,粘り強く交渉にあたります。

交渉の結果については,本紙「ぐんだいタウン」ならびに組合ウェブページでお知らせします。ぜひみなさまの声を組合にお寄せください。

TOPに戻るHOMEに戻る