号外 2006.8.1発行 | |
秋の学長選考は新方式
教職員の声は聞き流される!?
組合は、密室での学長選びに反対し、教職員の考えに基づいて学長を選ぶ方式を提案します。
組合は、学長に対して団体交渉を申し入れ、近く開催される見通しです。今回の申入書では、今秋に予定されている学長選考のあり方についても、組合の要求を示しました。すなわち、「今秋の学長選考の実施に当たって,少なくとも教職員等の意向聴取が実効的なものとなるよう、当面、以下の4点について、学長選考規程の適正な運用と同実施細則の見直しを行うこと」を求め、下記の4項目を提示したものです。
1 学長適任者が一人の場合であっても、意向聴取投票を実施すること。
2 意向聴取の投票は「適任ではない者」に「×」を付ける方式ではなく、「適任者」の氏名を記載する方式に改めること。
3 投票結果は全員の氏名と票数を公表すること。
4 投票の実施に当たっては、学長適任者(候補者)の選考理由や本人の所信などを早めに公表し、立会演説会を行い、直接候補者の意見を聞く機会をもうけること。
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ここで提案している4項目はきわめてあたりまえのことであり、逆に言えば、新しい学長選考規程は、このようなあたりまえのことさえ、しないで済ませようとしているのです。つまり、これら4項目は、組合からの最低限の要求なのです。そこで、前述の申入書では、「現行規程・細則については、投票資格者の範囲の問題など、上記以外の点でも引き続き全学的な検討が行われるべきこと」も求めています。
【解説】新しい学長選考規程のどこが問題か?
昨年秋、学内的な議論もなく、またほとんどの教職員が気づかぬままに、新しい学長選考規程が定められ、今年の秋には、新規程の下、法人化後初めての学長選考が行われます。以下では、「ぐんだいタウンII−40号」掲載の記事から抜粋・要約し、新規程の問題点を明らかにします。
●選考規程は評議会で一度も審議されずに決められた
従来、大学の学長は教育公務員特例法の考え方に基づいて、全教員の直接投票によって選出されることが当然とされ、群馬大学でもずっと投票で選出してきました。法人化後も、他の多くの大学では、[一次投票+二次投票]というしくみなど、従来の制度を実質的に維持・改善した形で学長選挙を実施しています。ところが昨年11月29日、本学の学長選考会議はたった4回の会議で、一度も教職員の意向をはかることなく、評議会の議題とすることさえなく、従来の選挙とはまったく異なる新しい選考規程を決定したのです。そして新規程は直ちに12月1日施行とされ、施行後、12月の教授会・評議会で「報告」されたというわけです。これほど重大な問題を、ほとんど誰の意見も聞くことなく、学長選考会議の10人だけで決定してよいのでしょうか。
●投票は他大学に類を見ない×票方式、助手層は除外
今回の規程で助手の投票権が奪われたことがまず大問題として指摘できます。加えて、そもそも投票自体の意味がまったく変わってしまったことに注意しなければなりません。学長選挙ではなく、学長選考会議による「意向聴取」のための投票だというのです。
「意向聴取投票」というこの制度は、学長選考会議の資格審査で適任とされた者が複数の場合に行われるとされ(適任者が一人なら投票は行わない)、投票が行われる場合にも、なんと投票は「適任ではない」者に×を付ける方式で、最適と思う候補者に投票する従来の選挙とはまったく異質です。他大学の学長選考規程の多くは従来どおりの選挙を定めており、群大の×投票はきわめて異例のものと思われます。また助手層が除外される一方、新たに管理的な職員のみに投票資格が与えられ、教職員の意向を広く聴取しようとするものとはとうてい思えません。しかも、×票が過半数を超えた候補者は学長に選出できないという規定さえありません。
●票数も氏名も公表されない! 驚くべき意向投票のしくみ
驚くべきことに、各候補者の票数さえも公表されません。×票が有効投票数の過半数を超えた候補者の人数は公表されますが、肝心の氏名は公表されません。学長選考会議は「意向聴取の結果を参考にする」ことになっていますが、票数も氏名も公表せず、二次投票もなく、意向投票の結果がどのように学長選考に反映するのか、まったく不明です。
この制度では、学長選考過程はきわめて不透明にならざるをえません。選考会議はあたかも密室と化し、教職員の意向とは無関係に恣意的な選考が行われても、教職員はその経過について知る手だてがありません。仮に教職員の過半数が×票を投じた候補者がいたとしても、「過半数を超えた者 1人」と公表されるだけで氏名はわかりません。そして、その候補者が選考会議で学長候補に決定されることもありうるのです。
●不透明な選考過程、各大学で噴出する学長選考問題
学長選考会議による学長選考は、すでにいくつかの大学で混乱を引き起こしています。いずれの場合も、教職員の投票結果が尊重されず、投票で2位となった候補者が最終的に学長選考会議で学長候補者に推薦されたケースで、新潟大学や岡山大学では大学側を被告とする訴訟にまで進んでいます。教職員の意向を顧みない学長選考会議による選考過程の不明朗さが、問題になっているのです。ところが、あろうことか、群大の場合には、そうした不明朗さを指摘することさえ困難なほどに、選考過程が闇に包まれてしまいます。
群大の学長選考会議の構成は経営協議会から4人、評議会から4人、理事から2人です。経営協議会委員と理事は学長指名ですから、10人中6人は学長に指名された委員です。評議会選出の4委員は現在4学部長となっていますが、この中から学長候補者が出ると、その委員は学長選考委員を外れる(補充規定はない)ので、学長選考会議は学長指名の委員がほとんどということもありえます。上記のような意向聴取だけで、学長選考会議による選考がどのようにして公正さを確保できるのか、はなはだ疑問といわざるをえません。