号外 2014.10.16 発行 | |
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組合から大学法人に公開質問状
不当な一方的不利益変更の可能性も
すでにお聞き及びと思われますが,大学法人群馬大学は教職員の年俸制を導入しようとしており,各学部の教授会でも学長による説明が行われました。これは,文部科学省「国立大学改革プラン」(2013年)において「人事・給与システムの弾力化」として掲げられている「1万人規模で年棒制・混合給与を導入」に対応するもので,文科省は改革加速期間(平成25年度〜27年度)中に導入推進費として24億円を計上しています。
大学法人の資料(「新たな年俸制の導入について」平成26年8月26日付)によると,「文部科学省から本学に対し,①平成28年度当初までに承継職員の10%(約80名)を年俸制に移行させること②シニア教員が年俸制に移行する仕組みを構築することが求められている」,とあります。
さらに,年俸制の対象者として「(1)60歳以上の教授(全員) ※60歳到達後の最初の4月1日に移行,(2)55歳以上の教授で希望する者 ※ 55歳に到達後,希望の申し出後最初の4月1日に移行,(3)新規採用の講師及び助教(一部の学部等を除く。)※1 在職中は昇格後も年俸制とする。※2 生体調節研究所にあっては,全職位を対象とする。(4)未来先端研究機構を主担当する教員」としています。
これはこれまでの国立大学の月給制とは大きく異なる労働条件であり,労働契約法が認めていない就業規則の一方的な不利益変更である可能性があります。群馬大学教職員組合は,大学法人に対して以下のような公開質問状を送りました。
国立大学法人群馬大学長・田邦昭 殿 就業規則の改正(年棒制導入)に関する公開質問状 平成26年10月15日 現在導入が検討されている就業規則の改正(年棒制導入)に関して,当組合の多くの組合員から疑問の声がよせられています。労働条件について組合員に対して明確に示すことは組合にとって重要ですが,使用者である大学法人にとっても,従業員の労働条件を明示することは当然果たすべき義務と考えます。本件に関する公開質問状をお送りいたします。 本日より2週間程度をめどに文書にて回答をお願いいたします。 質問項目 (1). 年俸制導入の問題は労働条件の改変となるので,労使交渉で決定すべき事項と考えるが,大学法人の見解を伺いたい。 (2). これまでの月給制の給与を基本給(月給の70%)と業績給(基本給の30〜70%)に切り換えるとの説明を受けている(資料「新たな年俸制の導入について」平成26年8月26日付)。基本給70%,業績給30%という数字の根拠はあるのか。 また,仮に業績給を最低ラインの30%とすると,支給額は月給制の場合よりも1割程下回ることになり,さらに退職手当分が削減されることになるので,かなりの不利益変更と考えざるをえない。 太田事業場過半数代表者に対して「不利益変更でない」と回答した(10月3日付けメール)と聞いているが,それはどういう意味か。 (3). 年俸制への移行は本人が同意した上で行われる,と考えてよいのか。本学の場合,「60歳以上の教授全員」は,本人の同意にかかわらず移行させるように説明されているが,そういう理解でよいか。「60歳以上の教授」についても本人が同意した上での移行であるならば,その旨を明確にすべきではないか。 60歳以上の教授が年俸制に移行した場合,月給制の給与と諸手当(退職手当を含む)は保障するのか。 (4). 60歳以上で切り替えたとして,業績給最高の場合と最低の場合,それぞれどの程度現行の給与水準と変わるのか,モデルケースを示してほしい。 (5). どのような基準で業績が評価されるのか,60歳以上の教授,55歳以上の教授,新規採用の講師・助教等,未来先端研究機構主担当教員で移行する教職員のそれぞれについてご回答いただきたい。また,個々の教職員に事前に知らされなければ判断のしようがないと考えるが,評価基準はいつどのように決まるのか。 また,業績評価に対する個々の教職員からの,中立的で全学的な異議申し立ての仕組みを整備することは不可欠とわれわれは考えるが,大学法人としてはどう考えるか。 (6). 年俸制導入促進費の予算措置は第2期中期目標期間(平成27年度まで)は措置されるとは思われるが,その後はこの経費が打ち切られて学内予算の持ち出しとなる可能性がある。この点をどう考えるか。 (7). 短期的な成果主義は,長期的視点に立つ研究・教育に対する悪影響を及ぼす怖れがあると考える。大学法人としてのこの点はどう考えるか。 以上 |
手続きの上で問題だとわれわれが考えるのは「本人の同意」の扱い方です。一般に労働者本人の同意を得ずに,労働条件を一方的に不利益に変更することはできません。大学法人の説明では60歳以上の教授は有無を言わさず適用しているように読めます。
また,年俸制を導入する「趣旨・目的」として「①教育研究等の活動の活性化,②優秀な人材の確保を図る」としていますが,業績評価の基準が示されないうちの拙速な導入は慎むべきではないでしょうか。やり方によっては,短期的な成果主義を助長するだけで却って教育研究に及ぼす悪影響が大きくなる可能性もあります。
この質問状への回答は,「ぐんだいタウン」や組合ホームページでお知らせいたします。
みなさまの声を群馬大学教職員組合にお寄せください。