号外 2016.2.12 発行

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組合 附属病院問題で公開質問状を提出

教職員に対する説明を求める

本紙「ぐんだいタウン」でもお知らせしているように,附属病院問題に関する教職員に対する説明が不足しているとして,大学法人に対する公開質問状を提出することを組合は昨年の団体交渉で予告していました。2月5日付で公開質問状を提出しましたのでお知らせします。


群馬大学附属病院問題に関する公開質問状

 国立大学法人群馬大学学長 平塚浩士殿

 国立大学法人群馬大学医学部附属病院長 田村遵一殿

平成28年2月5日
群馬大学教職員組合執行委員長 櫻井浩


2010年から2014年の間に起きた「群馬大学病院腹腔鏡手術後8人死亡事故」(名称はWikipediaから,以下「8人死亡事故」)は,群馬大学医学部附属病院および群馬大学の社会的地位・信用を失墜させる重大かつ深刻な事故でした。私たち教職員は一丸となってこの事故について真摯に反省するとともに,社会的信頼を回復すべく努めなければなりません。

にもかからわらずこの事故に対する学長・病院長以下大学当局の対応は不透明であり,説明不足であると言わざるをえません。HPで公開されている群馬大学医学部附属病院医療事故調査委員会(以下「事故調査委」)および改革委員会(以下「改革委」)の報道発表資料などに目を通しても「ヒアリングを行った」などの記述ばかりで,大学当局が事故についてどのような認識を有し,どのような事故処理を考えているのかが不透明です。本質問状は基本的なことも含め,現段階で認識・想定されている事柄について問い尋ねるものです。

事故調査委員会からの結論が出る直前の時期に当たりますが,お答えできる範囲で回答して頂きたく存じます。なお,本公開質問状は2015年11月26日の団体交渉において約束されたものです。お忙しい中大変恐縮ですが,3月6日(金)までにご回答をお願いします。

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Ⅰ.これまでの経過と背景

2014年11月16日に読売新聞が「8人死亡事故」を報道して以来,大学当局はこの事故の調査と処理を行っている。そこで,これまでの経過と背景についてお聞きしたい。

(1)今回の事故について

マスコミの報道によると,「8人死亡事故」のみならず同一執刀医による計30名の死亡例が明らかになっている。さらに,平成27年12月29日付の事故調査委による「報道発表資料」によると,「日本外科学会では調査委員会が設置され,群馬大学医学部附属病院の消化器外科全般の診療体制を検証するため,腹腔鏡下肝切除術に限定せず,平成19年度から平成26年度までの8年間,手術後に群馬大学医学部附属病院で亡くなられた患者(64症例)の皆様の基礎データを評価したうえで,調査を進める方針が決定されました」とある。この64症例は医療事故の疑いのあるものではないとされているが,医療事故の範囲がどこまで拡大するのか不透明である。

それゆえ最初に確認したいのは次のことである。@学長・病院長が認識し,処置に当たっている,また事故調査委が対象としている「事故」とは,そもそも何を指すのか。たとえば同一執刀医による「8人死亡事故」以外の死亡例やその他の事例は「事故」として認識しているのか。認識していないとすれば,それらについての調査・処理についてはどのように考えているのか。Aこの@をふまえて,「事故」の経緯と背景について説明を求める。

(2)大学当局の対応について

平成27年5月25日付の「改革委」第一回からすでに,「制度改革,組織改革,風土改革,意識改革が重要」であり「医学部及び附属病院の体制及び関係のあり方を見直す必要がある」という意見が出ている(「報道発表資料」より)。構造的な要因については平成27年10月26日付の「中間まとめ」でも厳しく指摘されている。

そこで,構造的要因の除去および再発防止体制の確立のためにこれまで大学当局が何をどのように進めてきたのか,今後何をする予定なのかをできるだけ具体的説明を求める。

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Ⅱ.責任の所在と責任の果たし方

今回の事故は多くの死亡例を出す痛ましいものであるとともに,群馬大学および群馬大学病院を根底から揺るがす重大かつ深刻な事態であった。最低の国立大学法人評価,医療機関としての信頼喪失はもとより,資金面からも大学経営に多大な損失をもたらした。

すでにI−(2)で確認した通り,今回の事故は大学および大学病院の構造的な要因に拠るところが大きい。

① 事故調査委の「中間まとめ」でもガバナンスの項目で「病院長や診療科長が指導力を発揮しなかったため,状況が改善されなかった」旨が明記されている。そのため,事故発生当時の管理者には管理責任が発生すると考えられるが,この点についてどのように考えているか。大学経営という観点からみたとき,医療事故を引き起こす組織運営をした経営責任についてはどのように考えているか。

② 一回性の事故とは異なり,「8人死亡事故」は2010年から2014年という幅を持ち,また日本外科学会の調査も8年間という長期に渡るものである。このように複数の管理者の下で繰り返し生じてきたのが今回の事故であるため,事故に関連する管理責任者を特定するのはたしかに困難である。しかしだからといって管理責任・経営責任が曖昧にされてはならないのではないか。

当時の責任者(旧学長・旧病院長以下責任者)に対して,どのような責任追及をするのか。

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Ⅲ.病院および大学全体での雇用・給与・手当のあり方

平成27年11月26日の団体交渉でも主張したように,大学当局は今回の事故による資金面での損失と先行きの不透明さを理由に,近隣の国立大学法人で実施されている人事院勧告にしたがう給与増を実施できず,入試や病院夜勤などに関する新たな手当ての導入も不可能だと回答した。群馬大学における給与・手当ての水準は他大学や近隣の病院と比較して最低水準にあるにもかかわらず,大学としてのガバナンスが不十分であった(大学としてのガバナンスが及ばなかった(中間まとめ))ために,教職員が給与増の機会を逸したことは大変残念である。低賃金は人材流出やモチベーション低下による新たな入試・医療・その他の事故を引き起こす温床である。したがって組織経営・リスクマネジメントの観点からも,速やかな改善が求められている。

事故による財政悪化については組合としても理解を示すものであるが,財政支出を見直し,無駄な(相対的に優先順位の低い)支出を削減し,限られた資源の中でも教職員へのインセンティヴを創出することは重要であると考えられる。

① 「事故による最終的な金銭的影響は分からない」というのはもっともな意見であるが,経営の観点からすれば大学当局はいくつかのモデルケースを考えシュミレーションしているはずであると考えられる。それゆえ,今後の傾向については何らかの見通しをもっているはずである。そこで,事故による財政難で群馬大学および附属病院における雇用・給与・手当のあり方について,できるかぎり具体的な見通しの開示を求める。

② 事故調査委の「中間まとめ」では,「旧第二外科の肝胆膵チームはスタッフ数に見合わない数の診療行為を行っていた」ことが指摘されている。肝胆膵チームに限らず,病院全体が過重労働の傾向性にあったと推測されるが,その点はどうか。病院における過重労働の実態について,学長・病院長はどのように認識しているのか。また,過重労働解消のための措置について,どのような取り組みを具体的に行うつもりか説明を求める。


Ⅳ.教職員に対するメッセージ

最後に,教職員に対して何かメッセージがあればお書き下さい。


質問は以上です。

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