号外 2024.8.23 発行

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令和6年度人事院勧告を受けて

労働条件改善を求める 申し入れ送付


令和6年度人事院勧告を受けて,群馬大学教職員組合は国立大学法人群馬大学に対して教職員の労働条件の抜本的改善を求める申し入れを送付しました。以下に全文をお知らせします。



本学における給与・手当・働き方に関する抜本的改善を求める申し入れ

〜少なくとも令和6年人事院勧告に準拠すべき

令和6年8月21日

群馬大学教職員組合中央執行委員会


人事労務課 御中

日ごろお世話になっております。

本年度も人事院勧告が出され,給与・手当・働き方に関する抜本的な改革をするよう求められています。

群馬大学は国立大学法人であり国家公務員ではありませんが,教職員は国家公務員に準ずる立場にあり(いわゆる準公務員扱い),人事院勧告は給与・待遇の適切さをはかる上で決定的な意味を持ちます。

人事院勧告は民間との格差(私たちの勤労の対価が民間と比較してどれほどマイナスか)を是正するものであり,本来受け取れるべき給与を示すものであります。したがって,人事院勧告通りに給与が引き上げられない場合には,実質的な給与引き下げを意味するものと考えます。働き方改革も同様であり,今回示された内容は「遅れを取り戻す」ために講じるべき措置であると認識しています。

本年度の人事院勧告は大幅な改善を求めるものであり,すべて実現していただけるよう組合は強く望みます。具体的な要求については学長交渉の申し入れ時に提示させていただくこととなりますが,大学側の真摯な対応を期待しています。

【具体的な内容について】

https://www.jinji.go.jp/content/000005211.pdfでは,以下のようにあります。

「国家公務員の人材確保が危機的な状況に至った要因として,勤務環境や給与面での魅力の低下,働き方やキャリア形成に対する若年層の意識の変化などが挙げられる。具体的には,必ずしもやりがいと結びつかない長時間労働の常態化,人材獲得で競合する業種や規模の民間企業との比較で競争力があるとはいえない給与,将来的な転職も視野に仕事での成長を重視するといった若年層のキャリア意識の変化などである。こうした中で,長期雇用を前提とし,採用年次に重きを置いた昇進管理,職能的な報酬体系による人事管理が広く行われている国家公務員は,若年層にとって魅力的な選択肢として映らなくなっている。」(2頁)

ここから「国家公務員の人材確保の状況を改善させるための抜本的な施策」として,三つの柱がたてられています。

  1. 多様で有為な人材の確保
  2. 職員の成長支援と組織パフォーマンスの向上
  3. Well-beingの実現に向けた環境整備

人事院勧告で示された給与は生活給(教職員が同水準の生活を維持するのに必要な所得)であるというのが組合の基本的な立場です。しかし,ここから分かるように今回の勧告では,教職員の待遇改善は手段とされ,組織として中長期的な立て直しをはかることが目的であるようです。今後も活力ある群馬大学を維持するためには人材確保は不可欠であり,待遇改善を怠ることは将来にわたり禍根を残す結果になることが懸念されます。

とりわけ初任給の大幅引き上げについては,「採用市場での競争力向上のため」とあります。県・市町村は間違いなく人事院勧告通りの措置を講じるため,群馬大学が引き上げを行わない場合には,採用市場で大きく出遅れることが懸念されます。

また,今回人事院が人材確保難を意識した勧告を行ったことは,「現状の無期転換ルールなしの非常勤職員採用では能力のある職員確保が難しくなり,群馬大学の力が低下する危険性がある」という組合の長年の主張と軌を一にしています。非常勤職員の無期転換については今回の人事院勧告では謳われていませんが,方向性は同じであり,制度導入が急がれる理由が間接的に示された結果となっています。

給与改定・各種手当・待遇改善についても同様で,人材確保のために「おおむね30歳台後半までの職員に重点を置いて改定」とされています。30〜40代前半の職員はいわゆる子育て世代であり,転職市場でも人気があるため,優秀な職員を群馬大学に留めるためにも,最低でも今回の人事院勧告に準拠することは必要です。

今回の人事院勧告は,「人件費は悪であり,コストカットが善である」という20年来の価値観の転換をはかるものだと理解しています。現在は少子高齢社会であり,また必要なスキルの要求水準も上がっているため,人材確保が難しくなってきています。人道的な面からだけでなく経営戦略上も,働いている人間を大切にする群馬大学であるようお願い申し上げます。

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